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東南アジアで地震と思ったら、デング熱だった話

昨日は、カンボジアのアンコール遺跡巡りでテンションが上がりまくった。残りはあと2日。遺跡でみる朝日は最高だ。明日も探検するぞ。興奮冷めやらぬ内、早めに寝た。

・・・

寝て何時間たっただろうか。急に目が覚めた。ん、ベットが揺れている!え、じ、地震だ!

(え、カンボジアでも地震あるのー!)
(やばい!え、てか遺跡大丈夫!?崩壊しない?)

そんなことが脳裏を巡る。部屋は10人ぐらいのドミトリーだったので、ふと横を見るが、あれ誰も起きてない。

(え?皆、やばいって!早く逃げないと!なんで揺れてるのに起きないの?!)

しかし、その理由はすぐわかった。

ベットは揺れてなかった。
なんと、自分が震えているのである。(えーーーー!)

寝ぼけていたのか、だんだん意識がはっきりしてくる。周りは揺れていない。そういえばベットも揺れていない。でも、自分は揺れている。そういえば、口のガクガクが止まらない。

(え、東南アジアなのに、寒い!)

これはあれか、高熱で汗流して、寒くなっているやつだ!もうパニックだった。地震と思うくらい、自分がガクガク震えているのである。

寒くて布団を被っても震えが止まらない。え、どうしよう。まじ止まらないんだけど。パニックがひどくなる中、ふとあるアイディアが浮かんだ。

(そ、そうだ、瞑想だ!呼吸に集中すればいいんだ!)

そう、僕はヴィパッサナー瞑想という呼吸と体の感覚に集中する10日間の瞑想修行を経験してから、よく瞑想するようにしていた。そして、この瞑想はひたすら呼吸に集中するのである。

よく考えれば、なんでこんな時に瞑想なんだと思う。でもそれくらいパニックだったから、すぐ瞑想を始めた。すると...なんと震えが止まった。

(え、まじ瞑想最強じゃん。てか、風邪ひいた?あ、やばい、また震えてきた、、、いかんいかん、呼吸に集中しよう...)

気を抜いたらまた体が震えてきたから、呼吸に集中すると、また収まった。これは気を抜けない。そうこう見えない何かと戦っているうちに、いつの間にか眠りについた。

・・・

次の朝、また目が覚めた。

(..ん、なんだ。夢かー)

と思って、体を起こそうとすると、なかなか動かない。やっと立ったが、もう歩くのも精一杯なほど、体が重くなっていた。

夢じゃなかった。完全に高熱だった。

ドミトリーは安くてイケてる5階建てのホステルで、3階が自分の部屋だった。お水がなかったので、ホステル目の前にあるコンビニへ決死の覚悟で買いに行くことに。

が、ホステルの階段を5歩降りるだけで、もうしんどい。手すりに倒れこむようにして体を支える。たぶん5分くらいかけて、全力で降りた。

(これまさか、倒れて運ばれないよね...?)

それくらいしんどかった。

やっと、ホテルを出た。ホテル前には、いつもトゥクトゥクというタクシードライバーがいて、「タクシー?😁」と4人ぐらいから反射的に声をかけられる。

毎度「No!」とはっきり断るのだが、この日も当然のようにしつこい。しかし、高熱で声が出ないぐらいになっていた。何も言わないから、しつこくついてくる。

おっちゃん「タクシー?ヘイ、ミスター?タクシー?タクシー?」

ぼく「...(ちょっと、今日だけは構わないで...)」

おっちゃん「オー?フィーバー?コールド?ホスピタル?レッツゴーホスピタル!ライド!ゴー!ゴー!」

もう何がなんでも乗せたいらしい。

なんとかホステル目の前のコンビニへ多分30分くらいかけて水を買うことに成功し、今日はベッドでとりあえず熱が下がるのを待つことにした。

病院に行くかは正直迷った。行くべきだろうか...?そういや海外の病院なんて行ったことがない。てか、カンボジアにちゃんとした病院ってあるのか?救急車あるよね?

今年の夏にインドに行った時も、熱が出たけど、熱じゃないと思ったら次第に治っていったのを思い出した。旅は初めてで、タビイクというバックパック初心者が現地に集まって旅する企画に参加した。

旅の初日、運営の引率のお姉さんが言っていた。

引率のお姉さん「インドだとほとんどの人が体調を壊します。でも、意外と気のせいかも?と思うと治ったりします。だから全力で楽しんで。でもやばかったらすぐ病院に行きましょう。全ては自己責任です。死んだらダメよ。」

そんなことを言われ、インドではその後ちゃんと熱と腹痛を起こした。だが、体温計で熱は図らず気のせいだと思うことにして、1日寝て休んだら治った。

なので、今回も様子を見ることにした。だが、ひどくなったら即病院に行こう。

次のフライトは3日後にチケットを取ってしまった。あと2日アンコール遺跡群を観光するチケットを買っていたけど、たぶん無理だろうと諦めた(62ドル...)

発熱初日は1日中寝た。でも熱はほとんど下がらず。2日目になった。あまり変わらない。明日はタイへのフライト。熱が下がらないことにダンダン焦ってくる。荷造りするのもまだしんどい。どうしよう。

んー、今日寝て明日もしんどかったら、飛行機はあきらめてキャンセルし、病院に行こう...

3日目。なんと熱が引いた!おー、いけるわ!よかったー!声がまだ出ないけど、動けるぞ。よしタイに移動しよう。

久しぶりに歩くせいか、体の関節が痛いけど、無視し続けたトゥクトゥクのドライバーにやっとOKを出し、空港へ。よくある赤外線の体温チェックにビビりながらも問題なかった。パスポートにスタンプが押され、無事タイに入国。

タイでは、ロングラックという日本人のゲストハウスに泊まることにした。今までは「海外に来てまで日本人と過ごすのはなんだかなー」と、普通に現地経営の安宿に泊まっていたけど、旅も少し経過し寂しくなり、日本人と喋りたくなっていた。

ゲストハウスに無事到着。スタッフの人はキョウスケさんという日本人の方で、いろいろ案内してくれる。やっと今までの辛さを話せる。

ぼく「いやー、カンボジアで急に高熱が出て、デング熱かと思ったんですけど、今日熱下がってきたんでよかったですわー」

キョウスケさん「実は、おれも前デング熱かかって入院してたから、一応病気いっときな〜」

ぼく「え、まじですか。(怖くなってきた)」

キョウスケさん「まーみた感じ大丈夫だと思うけど、死ぬ人もいるからね。自己責任だね」

ぼく「・・・(こわ)」


インドに行った時、引率のお姉さんも「自己責任だよ」と言っていた。

そう、旅は自己責任なのである。常に未知との遭遇であり、今までの常識は通用しない。自分の頭で考えて決断しなければいけない。その連続なのだ。

病院は(注射したくないから)あまり行きたくなかった。熱も下がってきたし、全然タイまで移動できし、大丈夫だと思ってた。けど、死ぬ人もいると言われれば、流石に怖くなったから、念の為病院に行くことにした。

クレジットカードには、保険が付帯されていたので、電話すると手際よく手配してくれた。お金は全て保険会社持ちなのでいらないとのこと。病院はすごく綺麗で、日本語の通訳もついた。さすがタイのバンコクは発展している。

血圧と身長体重を測り、男の中国系のお医者さんが舌をみて、心拍数を測り、いろいろ質問された。

お医者さん「なるほど。ふーむ」
ぼく「...(どきどき)」

お医者さん「ただの風邪でしょう」
ぼく「...え。ただの風邪?」

お医者さん「うん。大丈夫。普通の風邪の症状です。ただ少し怖いから、また4日後にきてー」
ぼく「ありがとうございます!(よかったーーーー)」

過去経験した中でも、かなりきつい熱だったけど、デング熱ではなかった。あーーよかった。安心して、タクシーで帰ることにした。

帰り道、タクシーがなかなか捕まらない。だんだん探しているうちに、なぜかしんどくなってきた。空港についた時から気になっていたが、バンコクはすごく大気が汚い感じがする。この病院の周りは特に渋滞がひどく、排気ガスもきつかった。

だんだん吐きそうになり、コンビニに水を買いに行くが、コンビニに入るとめちゃくちゃ寒い!吐き気と寒気で、もうやばい。

なんとかタクシーを捕まえるが、もう身はボロボロ。それに車酔いが重なる。病院に行った時は安堵したが、それもつかの間の平安だった。むしろ、かなり悪化した。

ベットに倒れ込んだ。また、熱が戻ってきた感じがする。

発症から4日目の次の日、熱が悪化した。おまけに今度は腹痛も出てきた。その次の日の5日目。初日のしんどまではいかないが、ずっと寝込んだ。ご飯は喉を通らない。

発症から6日目。熱はかなりマシになった。だが、なぜか、手足が体が痒い。夜中はかなりひどく、痒くて一日中眠れず朝になった。体が弱って寝たいのに、痒くて眠れない。今までに経験したことのない種の地獄的な辛さだった。

発症から7日目。来いと言われてた2回目の病院に行く。来いと言われなくても、正直かなり長引いたので、自分で来ていたと思う。

今回も同じように血圧と身長体重を測ったが、お医者さんはインド系の女の人だった。

ぼく「前回病院にきた後、また熱が上がって、腹痛もして。熱は今かなり下がったんですが、夜痒くて、眠れず...」

お医者さん「...怪しいですね。採血しましょう。」

ぼく「...(採血)」


すぐ採血が行われた。注射はやっぱり痛かった。1時間ぐらい結果を待ち、また部屋に呼ばれた。

お医者さん「結果が出ました」

ぼく「...どうでしたか!?」

お医者さん「うん。デング熱でした。」

ぼく「」


デング熱について知っておくべきこと(※大事)

1. デング熱とは
お医者さんに聞いたところ、デング熱は一度大きな熱を発症するが、3日前後で一度熱は下がる傾向にあるらしい。しかし、その後また発熱し、7日前後で症状は治るらしい。

そう考えると、ぼくの症状は典型的なデング熱だった。(最初のお医者さん、どうしてだよ!)

症状としては、まず高熱を発症する。その後、腹痛や筋肉痛、痒みがでるらしい。またデング熱にかかると、血小板の数値が下がるため、すぐ疲れやすくなるし、血が出たりすると止まらなくなるので、何かで引っ掻いて血が出ないように気をつけた方が良いとのこと。

ちなみに、厚生労働省では以下のように書かれている。

デング熱は、蚊に刺されることによって感染する疾患です。デング熱は急激な発熱で発症し、発疹、頭痛、骨関節痛、嘔気・嘔吐などの症状が見られます。通常、発症後2~7日で解熱し、発疹は解熱時期に出現します。デング熱患者の一部は、まれに重症化してデング出血熱やデングショック症候群を発症することがあり、早期に適切な治療が行われなければ死に至ることがあります。(厚生労働省:デング熱について


2. 感染経路
デング熱は、蚊に刺されによって人から人に感染する。これは全く無警戒だった。なぜなら、自分がいたカンボジア(タイでも)は普通に蚊はいて、みんな刺されていた。しかし、蚊が原因なのは間違いない。気をつけましょう。

3. 予防方法(タイパンを履こう)
デング熱を防ぐには、蚊に刺されないことが一番なので、長袖・長ズボンを着用したり、蚊の忌避剤(虫よけスプレー等)を使用することが推奨されている。

それを考えると、東南アジアのどこでも見る通称「タイパン」はある意味理にかかっている。異文化の衣装を身にまとって海外気分を味わいつつ、蚊を防げる。おまけに、薄い生地だからジーパンより快適だ。

東南アジアを旅行する人は、是非恥ずかしがらずタイパンを買おう。

4. 海外保険付帯のクレカを持って行こう
今回本当に驚いたのが、海外保険付帯のクレカの威力だった。クレカ会社に電話したら、最寄りの病院を教えてくれて、予約も全てしてくれた。海外で自分で電話するのはかなりのハードルだが、面倒な手続きなどは一切なし。おまけに全てキャッシュレス。

海外に行く際は必ず海外保険付帯のクレカを持って行こう。(学生ならライフカードがおすすめ。年会費無料で、傷害保険に該当し200万円まで保証してくれる。)

後日談

発熱から7日後にやっと発覚した病名は、デング熱。解熱剤とかゆみ止めをもらい、その後はどんどんよくなった。10日目ぐらいにはもうほとんど大丈夫だった。ただ、免疫が弱っているせいか、しばらくは少し歩くとすぐ疲れた。

その後、タイでいろんな人に話を聞いたが、タイでデング熱にかかる人は多いみたいだ。出会った日本人で5人ぐらいはデング熱にかかったと聞き、みんな入院していた。(年配の方でデング熱にかかるとかなりきついらしい。)

それを聞き、いかに自分が入院せず、自力で耐えたかを考えると、症状が弱かったのか、ただのバカだったのか自分でも呆れそうになったが、まぁいい経験になったのでヨシとしておいた。


あーー、生きててよかったーーー!


(※近年、東南アジアへの日本人旅行客はかなり増えています。東南アジアのどの国でも、たくさんの日本人観光客を見ました。皆さま是非、蚊に刺され対策は十分に...!そして、ちょっとやばいなと思ったら、すぐ病院へ!旅は自己責任なのです。。。まじでしんどい一週間でした。旅は楽しみ、命を大切に!)

おまけ


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