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読書録

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傲慢と善良

傲慢と善良

学生の頃は、年齢が近い男女が一定数ずついて、週5日顔を合わせていた。今思えばすごいことだ。

社会人になり、大体の人が年上で、大体のひとが(え、この人が?っていう人も)結婚している。

出会いがないといえばそれまでだが、会社と家の往復で何かあるわけがない。平日はそれどころじゃない。
休みは休みで資格の勉強がある。

そこでアイの力を借りた
アイとはAI。すなわちアプリだ

怖くてなかなか身分証を登

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ボッチだった青春

ボッチだった青春

「蹴りたい背中」という綿谷りささんの小説は、何度読んだかわからない。

中身の前に表紙のデザインも大好きなのだが、見ただけで青春って青くて黒くて薄暗くて眩しい時間だったなと思いだす。

私は小学校を三つ行った。
父親の仕事の関係で仕方なく、それもいつも急だったが、転校はそんなに嫌ではなかった。
なんだか、新しい自分になれる気がしたからだ。

でも新しい環境ではいつも、最初だけ注目を浴びて、すぐに一

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弱者

弱者

今村夏子の「こちらあみ子」を読んだ。

そしたら、底の方に蓄積していた過去の記憶が時間を置いた味噌汁を箸でかき回したようにブワワ〜っと広がってずっと頭の中を支配している。

嫌な記憶だけど、小説を読んだことで変に納得した自分がいる。

保育園の頃の話だ。何故か幼い記憶は数年前の記憶より鮮明に残っている。

私は弱かった。

背が小さく小食で、友達はおらず、毎日保育園に行きたくなくて母の手を離さずシ

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