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スペイン巡礼 おばちゃん一人旅 2022年6月 ⑭ 不安な夜

2022年6月12日 9日目
ベロラド(Belorado) → サントベニア・デ・オカ(Santovenia de Oca)  27km



初めての雨

朝6時に宿で朝食。
何種類ものハムやチーズ、ヨーグルトに果物などなど、1ヶ月間歩いた中で一番豪華な朝食だった。でも残念ながら食べられる量はたかが知れてる。食べられない分は、パンにハムやらチーズを挟み、ちゃっかりランチ用にいただく。

6:30にベロラドの宿を出発。空には真っ黒な雲。稲妻。追われるように先を急ぐ。雨具のポンチョを被った直後に雨粒。幸い本降りにはならなかった。歩き始めて初めての雨だ。

厚い黒い雲を警戒しながら歩み進める
風見鶏ならぬ風見ペレグリーノ(巡礼者)
色のコンビネーションがシック


オカの山越え

今日はオカの山越え。昔は難所と言われた山越えだそうな。
ベロラドを出発してから4つほど村を通るが、その後、山道を含む12キロ先まで村がない。山に入る前に水を補給。

山道に入る。途中、かなりのアップダウンがある。

遠くに見える一本の筋は道。下って登って。


山道を登った先に平坦で木陰もあるスペースに出た。一息できる切り株が並ぶところに、カラフルな出店があり、冷たい飲み物が売られている。陽気な音楽も流れている。
ここ2、3日、よく顔を合わせるスウェーデン人のウルリカとマリーも休憩中。
スイカがあるよ!とウルリカが声をかけてくれた。
出店で食べやすく切ってくれるというではないか。1ユーロ。
買い!
暑い中、山道を歩き続けた後のスイカは何よりのご褒美。

出店のおっちゃんもこの作品に劣らず陽気だった
一人ではしゃいでるわ....


スイカのお陰もあって、難なく山を越えられた。
サン・ホアン・デ・オルテガに着く。

素敵なアルベルゲ。なんでここにしなかったんだっけ?

私の宿はここからさらに3キロ先。さあ、もうひと歩き。
途中、また通り雨に降られるが、今度は小さな傘をさして凌ぐ。


この日の宿と村

Albergue Restaurante Bar El Camino de Santovenia
私営アルベルゲ
ドミトリー10人部屋 (2段ベッド4台、シングルベッド2台)
シングルベッドを確保
17ユーロ
前日にbooking.comで予約
夕食+朝食 17.5ユーロ

2時頃に宿に着く。2番のり。
この日泊まった村、サントベニア・デ・オカにはアルベルゲが一軒しかない。村にある唯一のバルもレストランも、宿名通りこのアルベルゲに併設されている。
泊まり客は親子(父娘)、男性二人組、男性一人と私の6人。皆、巡礼者。

早速シャワーを浴びてから洗濯。洗濯機もあるが時間がかかるからと手洗いを勧められる。雨雲もいつのまにか消えて、陽射しが強烈。これだったら手洗いで絞りきれなくても乾くだろう。干し場は? 道を渡った先にある廃屋(?)の軒先だって。

着いた時にはバルに何人かいたので、どれだけ小さい村かピンと来なかった。歩いてみるまでは。人口は20人ちょっとだと聞いた。

この小さな村の私の一番のお気に入り場所は、水がほとばしるFuente(湧き水)。木陰とベンチがあって居心地が良い憩いの場。村があまりにも小さくて時間を持て余し、ここでウトウトする。何もすることがない時間も良い。

村に隣接する丘の上に立派な教会もある。中を見学出来なかったのが残念。
カミーノで通る町や村には必ず教会がある。でも閉まっている教会も多い。
巡礼者がカミーノを歩く時、教会は祈り、一息つきたい場所であろうに。キリスト教信者ではない私が言うのもなんですが。

何に使われている建物かわからないが緑色の扉に惹かれてパチリ


食事仲間

宿のビールも夕食も美味しかった。

この一杯を楽しみに毎日歩く
バルサミコのかかったこのサラダ、新鮮でキリッと冷えていて美味しかった。
写真が下手だわー。料理は見た目より美味しかった。

夕食は一人旅の巡礼者と一緒に食べた。
パトリック。フランス人、75歳。言葉少なだけどウイットに富んでる人。
なんとスイス国境に近い自宅から歩いてきたというではないか。サンティアゴ・デ・コンポステーラまで1700キロ。いつもは奥様と一緒にハイキングやトレッキングに出るというが、今回は一人で3ヶ月歩き通し。しかも初めての一人旅だという。75歳で初めての一人旅ってどんなだろう...
でもその一人旅ももうすぐ終わる。というのも明日辿り着くブルゴスで奥様が合流するのだそうだ。嬉しい反面、冒険が終わってちょっと残念という感じ?


不安な夜

夕食後、オスピタレラから朝食用の果物と、甘いパン、それにネスカフェのコーヒーカプセルを渡された。コーヒーマシーンの操作も教えられる、ちゃんとできるまで。何故って?
オスピタレラ夫婦は離れた町の自宅に帰り、翌日のお昼頃にアルベルゲに出勤するので、宿泊客は各自で朝食を食べ、好きな時間に出発してくれと。
えー、ここに住んでいるんじゃないのー⁉︎
つまり、これ以降は私達宿泊客だけ? この人気の無い小さな村で? 急に心細くなる。

でも怖いことなどは何も起こらず、10時過ぎには、湧き水が流れる音が子守唄になり、心地良い眠りについてしまった。

ところで、この水は飲めるかって? はい! 冷たくて美味しい。

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