スペイン巡礼 おばちゃん一人旅 2022年6月 ⑥ホタテ貝と黄色い矢印
2022年6月4日 1日目その2
パンプローナ(Pamplona) - プエンテ・ラ・レイナ(Puente la Reina) エウナテ(Eunate)教会経由 27キロ
道標を追う
洗濯物も無事バックパックに納め、ようやく宿を出る。8時過ぎ。
この先頼るは道しるべ。ホタテ貝や黄色い矢印を探し、自分が正しく巡礼路を歩いていることを確認する。特にパンプローナくらいの大きな街は巡礼路を見失い易いと聞くが、ここかしこに「こっちだよー」と呼びかけているように印がある。
城壁囲まれた旧市街を抜ける。パンプローナの街は結構広い。公園を抜けるとナバーラ大学の敷地に沿って歩く。大学内でもクレデンシャル(巡礼手帳)にスタンプを押してもらえるとあり、寄り道をする。
ペルドン峠
田園風景といくつかの小さな町を越えると徐々に上り道。遠くの山の尾根には風力発電の風車が立ち並ぶ。登りがきつくなるが大パノラマの素晴らしい景色に癒される。
そしてようやく登り着いた頂きがペルドン峠。有名なオブジェがある。標高750m程度だが、見渡す景色からもう少し高い所にいる感覚。
汗を拭き、腰を下ろして一休み。周りを見回すとと、なんと幼児を乗せるバギー。えー、これで登ってきたの? 女性二人で小さな子ども連れてカミーノを歩いている。そして美声で歌うのは80歳のスペイン人。タフな人達。
下り道は言われた通りの石ころゴロゴロ道。歩きにくいことこの上無し。脚にくるなあ。
途中、感じの良いバルのテラスで休憩。
搾りたてのオレンジジュースとトルティージャ(スペインオムレツ)は私の毎日の補給食になる。
祈りのエウナテ(Eunate)教会
今日の目的地の5キロ手前。迂回してエウナテ教会に行ってみる。
この時点で既に3時。陽射しもきつく、暑い。
前後にいた巡礼者達も、迂回路に入ると誰もいない。
ようやく畑ばかりの中にぽつんと立つ小さな教会に辿り着く。
落ち着いた静謐な佇まい。
ロマネスク様式の教会の中に入ると、素朴な聖母の石像があるのみ。何とも落ち着く空間。キリストの生涯を表す絵画もなければ、金の装飾で教会の威厳を示すものも無い。静かにただひたすら祈りを捧げる場。
この後、巡礼路にある多くの教会や大聖堂を見学したが、私にとってはこのエウナテ教会が一番心に残る教会。
一番気温が高い時間帯は3時から5時
エウナテ教会から今夜泊まるプエンテ・ラ・レイナまで1時間。
先を急ぐがなかなか馬力が出ない。
陽射しがかなりきつい。4時と言っても夕方の陽射しではない。まさに炎天下。最高気温は30度の予報だったが、もっと高く感じる。
元のルートに合流するが、他の巡礼者の姿はなく、少し焦る。
スマホが異様に熱くなっている。サコッシュのポケットの中だが、当たる陽射しが強いからか。
私は日焼けを避けるためにTシャツの上に薄い長袖を着ていたが、さすがに暑い。木陰も無い。このままだとスマホだけでなく、私自身も危うい。ちょっとゾクっとする。上着を脱ぎ、帽子も脱ぎ、小さな傘をさして日陰を作る。風通しが良くなって少し暑さが和らぐ。
あと少しで目的地の町の入り口。
とそこに、先から私の方に歩いてくる人がいる。今朝私と前後しながら歩いてきた、キルトを履いてベレー帽をかぶったアイルランド人のおじさん。
何か落とし物でもしたのかと聞くと、今夜泊まる宿を通り過ぎてしまったと、少し取り乱した様子。スマホがそう示していると。
よく聞けば、泊まるのは私も向かっている次の町。まだその町には着いていないから一緒に行こう、と言っても信じてくれない。
ちょうど後ろから一人の巡礼者が歩いてきたので、位置情報の確認をすると、やっぱり目指すプエンテ・ラ・レイナは先。
一人より二人に言われたせいか、キルトのおじさんも一緒に歩き出す。
一日中歩いて疲れている。しかも炎天下。土地感が無いし周りに誰もいないと焦ってくる。わかりますよ、その不安。
キルトのおじさんの宿は町の入り口にあった。無事着いてよかったね。
私の宿は町の終わり近く。
ようやく到着したのは5時過ぎ。27キロ。よく歩いた。
よくよく気温情報を見れば、スペインの6月、日中で一番暑い時間帯は何と、3時から5時。何とも危ない時間まで歩いていたものだ。ちなみに日の入りは10時過ぎ。午後が長い。
今日の宿はAlbergue Estrella Guia
18ユーロ。前日にBooking.comで予約。
面倒見の良いブラジル人女性が経営している。
ここでマッサージもやってもらった。初日に頑張ったからね。
今日の部屋は、男女混合の9人部屋(2段ベッド4台ととシングルベッド1台)。シングルベッドをゲット。上段の軋むベッドに怯えずに済む。
この日は満室。
私が着いた時に、どの宿屋も満室で泊まれる場所が無いドイツ人親子に、寝られるスペースを即席で作ってくれていた。
シャワーを浴びて、街を散策。
ビールが美味しかった〜
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