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映画館の今と昔


子どもの頃、映画館では
2本立てがあたりまえでした。
「あたりまえ」と書きましたけど、
本当にそうだっけ?と不安になり、今調べてみたところ、

昔は、地方を中心にどこの映画館でも当たり前のように行われていた“2本立て同時上映”。だが、最近はアニメ作品を除いては同時上映を行う映画館はめっきり減り、とりわけ、都心では目にする機会がほとんどなくなってしまった。

「クランクイン」より

「地方を中心に」とあるので、都心ではちがったのかも。
もし「子どもの頃から2本立てなんて知らない。常に1作品のみだった」という方がいたら、ごめんなさい。
昔は地方の映画館でそういう制度があったのですよ。

しかも、今のような総入れ替えの「指定席制」じゃなくて、
ホイッと入って、空いている席に座って、どれだけでも観ていられるんです。
と、いうことは…
映画が始まる時間は決まっていても、
何時に入って観始めても良くて、
何時に出て行ってもいいんです。
よく、映画の途中で入って観て、最後まで観た後に「観始めたところまで観よう!」と居残りで観ている人がいました。
映画の途中でトイレに行った10分間くらいの話が抜けてるから、そこの部分をどうしてもあと一巡して観たいんだという友人に付き合って観ていたら、また同じ場面のタイミングで「トイレに行きたくなってきた」と耳打ちされた時には笑いましたね。

そのうえ、2本立てでもありましたから、
映画1本分の料金で2本観られる、
今思えば映画天国です。

私が「そういえば得したなぁ」と、後になって思い出すのは、
『ホームアローン』と
『シザーハンズ』の2本立て。
当時はそれが当たり前だと思っていましたから、得だともなんとも思ってませんでしたけど、
よくよく考えてみたら、
名作を続けていっぺんに観られるのってありがたいことでしたよね。
しかし、これ、どちらも観たい映画の場合は良いのですが、
「1本は人気映画だし観たいけど、もう1本のはどんなのか知らない。もしくはハズレ」という場合はきついですね。
じゃあ最初から観たい映画だけ単発で観ればいい、という話になります。
あ、でも、そういう人のために「いつ入っても出てもいい」制度をフル活用できるのか…。

こう考えてみると、
映画というのは作品どうこうだけじゃなく、
「映画館」自体の今昔物語だけで面白いですね。

昔は観に行っても、席が空いてるかどうかわからなかったり、
3〜4人で行ったら並びで空いてる席がなくて別々に座ったり、
途中で入って暗闇の中で席を探すのが大変だったり。

暗闇の中、
私が座っているとわからない人が、
「よいしょ」と私の膝の上に座ってきたことがありましたし、
その逆で、私が知らない人の膝の上に座ろうとしたこともあります。
「座ってみて、感触があったらそこは空いていない」という強引な暗闇での空席探し。
両手がポップコーンとジュースでふさがっている状態で、暗闇の中で空席を探そうとするなんて、なかなかの冒険感がありますが、
絶対にいたんです。
映画が始まってから入ってきて探す人。

「まだお席空いてますよー」と言われて入ったら、
1番前の席しか空いておらず、
2時間ずーっと首も痛いし、わりと残酷なシーンも1番前で大迫力で見ないといけないし…で、映画酔いと肩こりと疲れでフラフラになった記憶もあります。

初めて、総入れ替え制の座席指定で映画を観た時は感動しました。
「ここ、私の席なんだ。私の場所なんだ」って、大げさですけど、変な喜びがありました。
約2時間。自分の席が確定している安心感。
でも、観る映画は1本だし、
観終わったら出ないといけない。
入る時間も決まっています。

2本立てもありで、席も時間も自由だった昔は、
映画を存分に楽しめましたし、
入れ替え制で全席指定の今もいろいろ決まっていて安心です。

どちらにしても、
「映画に行くこと」自体が、
ちょっとした遠足気分といいますか、
テーマパークに行くのと同じ感覚で嬉しかった私の、
映画館を楽しんだ思い出です。

#映画にまつわる思い出

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