好き。
好きのてっぺんまで階段を上ると
そのあと、どこを歩いたらいいのかわからなくなる。
だからいつも最後の一段を残して
嫌われる方法を探り始める。
てっぺんのひとつ前から一段ずつ降りていき、遠ざかる。
最初の一段に戻るころには、いくら上を見上げても
てっぺんの景色はまったく見えない。
いとも簡単に空を飛ぶ鳥を見て、いいなと思う。
好きはあらゆるものを簡単に過去にする。
好きはすごい。
好きは安心する。
最近だと金曜日の夜。
何時に寝たって構わない。
次の日死んでいたって構わない。
布団の中は海のように真っ暗い。
苦しむことなくどこまでも沈んでいける。
それから好きはとっても自由だ。
私は難しい言葉なんて知らないけれど、
ずっと言葉が好きみたい。
対して知りもしないくせに。好きな理由もよくわからないくせに。
けれど注意も必要だ。
大好きな甘酒が入った鍋をじっと見る。
自分は何をしてるんだろうと悲しくなる。人にできて自分にできないことが浮かんで見える。
甘酒は、甘酒は…
あれ?一体なんの話をしてたのか
よく分からなくなってきちゃった。
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