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未経験から編集者になって一年が経った②


未経験から編集者になったこの一年間のことを振り返ってます。

①はこちらから。




迎えた編集部ミーティング当日。
この日までわたしはずっとそわそわしていて
なんとなく落ち着かなかった。

指定されたミーティングの時間になり、上司が仕切る。
一人一人に今後どういった体制にすべきか、希望はあるかなど聞いていく。


Aさんとわたしはチームを崩したくないと伝えその方向で話を進めたが、ほとんどの人がチーム体制の変更を希望していた。

二人でいろいろと説得したが、全体のバランスやそれぞれの意見を聞くとチーム変更は確定で
結果的にAさんとわたしは押し切られる形となってしまった。


そして今後どのような体制になるかというと、
こうである。

【Aさん】
入社したての新人さんと二人体制になる。
(わたしが現在やっていることをそのまま新人さんに引き継ぐ)
まっさらな新人さんなので、教えるのに時間がかかる。
そしていまのAさんには新人さんを教えられるほどの余裕はない。

【わたし】
Aさんから離れ、まったく別の業務を一人で担当することになる。
その業務は
a.現在上司が一人でやっている仕事+
b.わたしが一人でやっている仕事+
c.他の人が一人でやっている仕事の3つ。
つまり、わたし一人の独立チームを新しく立ち上げ、三人分の仕事を一人でこなさなければならなくなる。(絶対無理。多分倒れる)


【他の人たち】
新人さんの教育をAさん、上司や他の人の仕事をわたしが一人でやることにより、負担が減って楽になる。


つまり…
Aさんとわたしが離れることで他の人たちには大きなメリットがあるけど、Aさんとわたしの負担は重くなり、正直わたしたち二人にはメリットなんてほぼないのだ。


しかもチーム変更となった場合、体制は翌月すぐにでも、ということなのでかなり切羽詰まった状況である。
このとき、翌月まであと10日くらい。時間がない。



だから提案した。

Aさんとわたしが離れることが確定なのはわかった。
しかし急にわたしが離れるのはAさんの負担が大きいので、まず新人さんを育てる時間が欲しい。
新人さんがある程度できるようになるまでは三人体制にしてほしい、と。

それに対して上司は言う。
「まあそれはいいけど…でもそうなると、cの仕事は誰がやろうね。」

そうなのだ。現在、上に書いたcの仕事まで他の人の手がまわらず、誰がやる?という状況になっている。
仕事自体も結構重い。

でもどのみちAさんと離れたらわたしが一人でやることだ。
だから提案した。

「わたしがやります。bとcの仕事もやりつつ、
いまのチーム内での仕事を新人さんに引き継いでいくので、しばらく移行期間として三人体制の時間をもらえませんか。」

「なるほどね。反対意見の人、いる?」
上司が問いかけるが、みんな賛成のようだった。

そりゃあそうだ、bを持った状態で新人さんの教育とcの仕事を、わたしがすべて引き受けると言っているのだから。



というわけでいまのチームに新人さんが入り三人体制になること、そしてわたしは新たに発生したcの仕事を持つことが決まった。


一旦9月まではこの三人体制でいさせてもらえるようで、ある程度新人さんが育った9月からはわたしが完全にチームを離れることになる。


ミーティング後にAさんは、
「mimiさんありがとう。提案してくれて助かった。急に新人さんと二人なんて、頭真っ白になって。これからどうしようかと思った。」
と言ってくれ、咄嗟に言ったことだったけど
わたしの提案がAさんの役に立ったんだなあと思うとうれしかった。



そのあとは平静を装って仕事していたが、
いまAさんとやっている仕事にはもう関わらなくなるんだなあ
これまで頑張ってきたのにぜんぶ一からなんだな
Aさんと二人で仕事することも、もうあとわずかなんだなあ…と思うと胸が張り裂けそうなくらいつらかった。

それにわたしは、これから一人でやっていけるのだろうか…
まだ入社して一年。
たしかに少しは成長して残業時間も減ってきた。
だけどだからって、3人分の仕事を一人で抱えるなんて冷静にキツすぎる。
上司だってaの仕事だけで日々いっぱいいっぱいなのに、どうしてわたしがその3倍の仕事をできると思ってるんだろう。
まったく理解できない。
ただ面倒な仕事を押し付けられただけなんだろう。
そう思うとやるせない気持ちになった。


なんか、ずっとつらいな〜
前に進んだと思ったのに全然ラクにならない。



不安とやるせなさに胸が押しつぶされそうで
仕事中でも気が緩むと涙が出そうだった。
もう辞めてしまいたいと思った。


ミーティングがあったその日は会社全体の飲み会だったが
これからどうなるんだろうとか、もう辞めてしまおうかとか、ぐるぐるといろんなことを考えてしまい全然楽しめなくて
結局どさくさに紛れて帰ってしまった。


100人以上が参加してる飲み会だったので、わたし一人が帰ったところで誰も気づいてなさそうだった。
最初から無理して参加しなければよかったな。



飲み会を抜け出したのはいいものの、すぐ家に向かう気持ちにもなれず、とにかく一人になりたくて家の近くのマクドナルドに入った。


しばらく放心状態で外の景色を眺めていたけど
注文したシェイクとポテトにこの日一番うれしい気持ちになって
ようやく自分の気持ちと向き合う準備ができた。

抱えてる気持ちを気が済むまで日記に書き殴り、とことん一人で考えては日記に吐き出すということをしてたらなんとか気持ちが落ち着いた。
とにかく書いて書いて書き殴る。
昔から、これがわたしのストレス解消法だ。

もう仕事を辞めようかとまで思ったけど、辞める辞めないはともかく、ひとまず家に帰ろうと思った。

夜のマクドナルドは静かでやさしくて、わたしの不安や寂しさもぜんぶ包み込んでくれた。
月がきれいな夜だった。



そして現在。
あのミーティングから一ヶ月くらい経ったのだろうか。
わたしは相変わらず余裕のない日々を過ごしている。


チームでの仕事と自分一人でやってるbの仕事。
それだけでも膨大な仕事量なのに、新人さんの教育と、新たに発生したcの仕事を抱え気が狂いそう。
もうやだなあ…キツイなあ…と思う日々である。


それでも新人さんには優しく丁寧に教えたいし、目の前の原稿もスピーディに、それでいて正確に捌きたい。


どんなに仕事を抱えていようと飄々として、
こんなこと何でもないですよ、って顔して仕事をこなすキャパの広い人間になりたいのに
こんなことでキャパオーバーになってる自分が情けない。
自分ってできないな…と落ち込みながら帰ることもよくある。


だけど落ち込んだり、辞めようかと思ったりしつつも、まだ諦めたくない、まだやり切ってない。と思ってる自分がいるのもたしか。


そんな気持ちで見ていたしいたけ占いに
こんなことが書いてあった。

下半期は「任されたお仕事や、チャンスによって舞い込んだ話」について、「上手くいく」、「上手くいかない」はそこまで重視しないで、「全部、経験だ! 」と思ってトライしていった方が良さそうですよ。

一方で、この時期のあなたの「仕事面における成長」はすごいのです。

下半期しいたけ占いから


「全部、経験だ! 」と思ってトライ
そしてそこからの成長…

いまのわたしを見てるのかな、と思うくらい
背中を押されるような言葉である。


編集者として日々バリバリ仕事をこなす自分。



それは未経験で、なんのスキルも、知識も経験もなかったわたしがずっと憧れていた、なりたかった自分。


これまでAさんに頼りきりだったわたしが
これから一人でどのくらいできるだろう。
もしも三人分の仕事を一人で捌けるようになったら
いまよりも間違いなく成長しているはずで
そんな自分を見てみたい、そんな自分になってみたい、とやっぱり思う。



現時点では正直なところ、自分が何を目指しているのか、何になりたいのかはよくわからない。
出世したいとも思ってないし、稼いでやろうとも思ってない。



だけど未経験で、なんのスキルもないのに31歳で編集者になった自分がどこまで成長できるのか、どこまでやってくれるのかには興味がある。

もっと編集者としても人としても成長したい。
見たことのない景色を見てみたい。



これからもつらいことや大変なことがたくさんあるだろうけど、それでも
わたしはわたしの未来に少しだけわくわくしてるよ。


そう思えるうちは目の前のことをがむしゃらに頑張っていきたいし、自分にできることを精一杯やっていこうと思う。


Aさんが言ってくれた宝物の言葉と
自分の可能性を握りしめて、ぜんぶトライだ。


そんな気持ちで二年目も必死に過ごしてる。




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