カメラと、それに触れた昆虫の話。
常々…
私にとって、文字を綴ることは、一瞬の刹那を言語化して留めておくことであり、カメラで、瞬間を焼き付けることに比喩できるであろう。
と、考えている。
下手の物好きで、永遠に趣味の|範疇《はんちゅう》を超えることはないのだが…
文章を書くことに加えて、写真を撮ったりして、それ相当数のカメラも所持している。
そして そんな私が好む被写体が、昆虫や食べ物。
特に、昆虫はいい。
目当てのものを見付けた私は、気配を殺し息を殺しながら、差し足で近付く。
だが、彼らは こちらの心情など知る|由《よし》もなく、普段と変わらない様子みせる。
それが|故《ゆえ》、思うような構図にならなかったり、呼吸を合わせたはずが、まるで|嘲笑《あざわら》うかのよう飛び立たれたりを繰り返すしかない。
そして、ようやく撮影に応じてくれた時、なんとも言えない満足感が得られるのだ。
レンズ越しに触れた 彼らに、無駄のない美しさと|逞《たくま》しさをみて、いつもハッとさせられる。
片側の羽が|千切《ちぎ》れても 尚、優雅さを失わない |蝶《ちょう》。
ステンドグラス|宛《さなが》らの美しい身体を持つ、トンボ。
一度の飛行で、自分の体重の 10 分の 1 程の花粉を集めると言われている |蜂《はち》。
なぜ私は、人や動物ではなく 昆虫なのか。
それは、彼らに|躾《しつけ》も調教もなく、取り作りようのない |営《いとな》みがあり…
人間や動物とは全く異なる生態サイクルを持ち、短い一生を懸命に生きる存在を知ることで、命の尊さを知ることになるからだ。
こうして、静と動が 混在しているような一枚が撮れた時
至福の ひとり遊びが、また一つ完成する。
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