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中学時代-わたしが制服を脱いだ理由8

中学3年生の春休み、AVのエキストラをした。

学園モノという設定だったから、池袋の廃校に集合して
与えられた制服を着て、教室や廊下で歩いたり座ったりするだけの役割。
通常シーンだけの撮影だったから、AVに出ているという意識は全くなかったけど
腕にある大きなタトゥーを、メイクで隠している AV女優を見て
わたしも必死でこうやって自分の過去を隠しながら生きていくんだろうと思った。
そして実際その予感通り、自分と過去を隠して生きている。

「学年で10番?そういうのは1番になってから言って来い」
いつまでも家に居場所を感じることはできなかった。

「椿はなんでも持ってるじゃない。わたしたちは全然違うよ」
同じ種類の寂しさを抱えて、わかりあえてると思っていた友達が
決してわたしを受け入れることはないと悟って以来、熱が冷めたように距離を置いた。

″欠けている″ことを思い知らされる度に
孤独感はいつもわたしにまとわりついて
「ああ、やっぱりわたしは誰にも選ばれないんだ」と
また静かに自分の感情から目をそらして、感じること全てを拒絶した。

だけど ――。
どこにも吐き出せずに押し込めた思いは
言わないだけで少しずつ澱のように確実に溜まっていって
それと同時に少しずつわたしは留まり所を見失っていった。

少しずつ苦しくなる呼吸も、少しずつ深くなる腕の傷も、身体を売るという行為も。
なにもわたしを救ってはくれなかったけど、もしかしたらそれらを理由に
どこまでボロボロになれば大人は気づくのかを試していたのかもしれない。
そうして呼吸の仕方を忘れたわたしの身体は食事も酸素も上手く取り入れられなくなった。

授業中に過呼吸の発作が出て、意識を失って車椅子で保健室に運ばれるのを何回か繰り返して
保健室の先生に腕の傷を気づかれた頃、初めて学校から両親へ連絡が行った。

「お宅のお嬢さんを診療内科へ連れていってください」とーー。

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