［村上ですが］

　そういえば、今日の夢日記「エプロンつけて」を書いたあと、もうひとつ思い出したことが。

2015年に新潮社サイトにあった「村上さんのところ」は、メールで送った質問に村上春樹氏に答える、というもので。期間中に寄せられた質問は、32,550通。サイトに掲載された回答は約3,500問。後にこれは単行本、そして電子書籍になったのだけれど、幸運なことにわたしも春樹氏からの回答を頂いた。その私の質問が、やはり「夢」の話しなのでした。

ということで、以下にその門答を。ちなみにこの回答は、本当に「メール」で送られてきたので、わたしのPCメールには今も＜件名「村上ですが」＞というものが残っていて、ふと目にするたびにドキッとします。

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村上春樹様
今朝、お財布に豚肉が入っている夢を見ました。しゃぶしゃぶっと湯通ししたようなロースの薄切り肉が2枚、お財布の札入れのところにきれいに収まっていたのでした。

 夢の中ではそれをお金（お札）として考えていて、豚肉1枚は幾らに換算されるんだろう、と思い悩んでおりましたが、もしかしたらあれはお金ではなかったのかも。だとしたら何だったのでしょう。ね。

村上ですが

きっと豚肉本位制の国に行かれたのでしょう。なかなか楽しそうです。
モンゴルという国はほとんど羊本位制のような国でした。お札に羊の匂いが染みこんでいるんです。いや、嘘じゃなくて、ほんとに。お札を嗅ぐと、羊の水煮の匂いがします。それで財布が臭くなってしまいます。それくらい羊が生活の中に入り込んでいます。僕は羊肉が好きではないので、すごく苦しかったです。カロリーメイトで命をつないでいました。日本に帰ってきてかつおだしの匂いを嗅いで、「ああ、幸せだなあ」と思いました。

村上春樹拝

『村上さんのところ』村上 春樹 (著)　(新潮文庫)

『村上さんのところ　コンプリート版』 Kindle版　9804ページ