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学校ナッジ「廊下を歩く文化」の作り方④【行動経済学・生徒指導】

前回のあらすじ


前回の記事では、
「ナッジを利用した生活安全委員会の組織づくり」
の内容をまとめました。
正直なところ、子どもの手を借りることなく
「廊下を歩く文化」を作ること自体は
可能だと思います。
しかし、せっかくなので、
文化を作る体験を子どもに提供したいと思い、
委員会の子どもたちが主体的に取り組めるような
ナッジを用いた組織づくりをご紹介しました。

今回の記事では、
第4弾【集計した廊下歩行データの使い方】

焦点を当てていきます。

「廊下を歩く文化」の作り方マップ

①校長への打診↓
(まだの方はこちらから順にご覧ください)

②全校生徒へのオリエンテーション↓

③生活安全委員でナッジ組織を発足↓

④月末に集計した歩行データの使い方【本記事】
⑤委員会でデータを解析し、調整を図る

④月末に集計した歩行データの使い方

1年生は担任の先生に直接聞いてもらうとよいでしょう。
4月が忙しければ、5月末からでも構いません。

1:生活安全委員会への問題提起【データドリブン】

データドリブンとは、
従来であれば解析できなかった
ビッグデータを詳細に分析し、
経営戦略の策定や意思決定などに活用する
経営手法のことです。
これを委員会活動に当てはめます。
毎回の委員会活動のはじめに、
集計した各学年のデータを公開し、
全員で気づいたことを発表する時間をとります

「数値から読み取る」という活動は
その後の「行動」への意欲づけにつながります。
「2年生はほとんどの子が歩けているから、
高学年向けの企画を考えた方が良いのでは?」
「廊下を走れない理由が、【休み時間】に集中しているから、そこに向けた企画をやっていくのが良いのでは?」
といった意見がでるようなイメージをもちながら、
教師がファシリテートするとよいでしょう。

2:質問の変更を考える

毎月様々なデータをとることで、
多角的な視点で「廊下歩行文化」を
目指すことが可能になります。
質問を増やしすぎると、
子供や先生方の負担になってしまいます。
継続したい質問の場合は
変更する必要はありませんが、
データが十分に取れた質問の場合は、
つぎにとりたいデータを委員会のメンバーで
考えることもオススメです。
「目標を達成するために、より必要なデータ(質問)はなんだろう?」
という問いは、
①目標を達成するというコミットメントのナッジが働いていること
②必要なデータは何か?という読み取り感覚のアーキテクチャ
上記2点が働くよいナッジになるでしょう。

3:数字を見やすく、わかりやすいデータへ【データ分析部】

データ分析部な活動を解説します。
分析部には、
必須の仕事と選択制の仕事内容を提案します。
必須の仕事
・数値だけのデータを、全校の生徒が見やすい適したグラフにかえる
学年ごとでの比較にならないような
グラフにすることを私はオススメします。
理由は、比較で人のやる気を長期的に起こすことは
多くの論文で困難であると証明されているからです。たとえば愛知県はワースト1の交通事故件数ですが、この情報を強調した改善施策は全く功を奏しませんでした。よくない点を他者と比較して変えようとすることは、改善施策としては愚策です。

選択の仕事
・歩行意識を高めるようなコメントを、グラフに書き込んでいく
・データを分析させ、他の部署にアドバイスや提案を考える などなど

4:学年データに応じた企画【ナッジ企画部・ナッジ図解部】

ナッジ企画部とナッジ図解部は名前の通り、
活動自体が明確です。
学年データに応じて、
作成する企画と図解を考えます。
以下にそれぞれの部署の活動ポイントを挙げます。
ナッジ企画部
・「廊下レンジャー」のような案でもよいが、歩くことを強制してはいけないこと
・毎月新しいナッジを作らなくてよい。とくに1学期は、ナッジの例をたくさん見て勉強することもよい
・子供だけでなく、教師に働きかける視点もあってよい
ナッジ図解部
・図解の例をいくつか見せ、キャンバの使い方も教える
・はじめは「歩き・走り」の比較の図解を示し、練習させる
・面白いだけでなく、「よい意思決定」を促せる図解に価値があることを共有する
・「走る」だけに着目せず、「頑張れる」「習慣化する」「よい意思決定が及ぼす効果」などの図解も提案する

5:目標値を意識した逆算の活動へ

前回の記事で提案した目標値。
年度末だけでなく、
学期ごとに設けるのもよいと思います。
(上半期決算のような形でしょうか)

結論、
委員会という活動
ただただ決まったことをこなすものではなく、
目的に沿って決めた目標からの逆算的活動
生活安全委員会に限らず、
そんなふうに委員会活動を運営できたらと思います。

次回はいよいよ最後になります、
⑤委員会でデータを解析し、調整を図る についてです。ナッジがうまくいった場合、いかなかった場合の対応について書いていきたいと思います。



そうじナッジ↓(これで掃除指導の悩みから救われました)

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サポートナッジ↓(課題のある子が自ら変わる、画期的なナッジです)


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