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おっさんだけど、仕事辞めてアジアでブラブラするよ\(^o^)/ Vol, 74 野望

サマルカンド
2023.1007 Sat
 
キルギスの首都ビシュケク。日本人ツーリストなら誰でも知っているゲストハウス “さくら” のチャイハネで、わたしは年若いバッカパッカー仲間のNちゃんと深夜まで話し込んでいました。内容は、風俗嬢の本音について…。
“人類最古の職業” であると同時に、“究極の接客業” である風俗。その主役である風俗嬢の実態について、業界に興味津々のNちゃんと真剣に話し合いました。

率直に言って、わたしは性風俗産業を “世の中に必須のもの” と考えています。需要があって供給がある。風俗って普通に職業として在って当然だし、風俗嬢もまた、ある意味でスペシャルな存在ではあるにしても、普通の女性なのです。


そもそも残念ながらわたしは、バックパッカーとしても異端です。

『大きな決意や決断とともに、海外にやってきた』 
日本人バックパッカーには、こういう共通項があります。なぜなら、“日本人の大人” には良識が求められ、その良識は “生業に就いている” ことが大前提となっているからです。そしてご存じの通り、日本の企業は長期休暇が極めて取得できづらい状況にあり、したがって日本人バックパッカーの多くは “生業を辞めて”  海外に飛び出しているのです。この点で、わたしは日本人バックパッカーと仲間意識を大いに共有できます。
そして、『大きな決意と決断』をした日本人バックパッカーは、必然的に海外旅行に強い憧れと執着を持っています。「世界一周したい」「ウユニ湖に行きたい」「サハラ砂漠を横断したい」「世界三大瀑布を見てみたい」「ヒマラヤをトレッキングしたい」などなど、明確な目的をもって海外に繰り出しているのです。この点で、「特に行きたい国も場所もない」わたしとは、明確に一線を画してしまうのです。

冗談でも何でもなく、この旅に出るまでパミール高原の存在を知りませんでした。


だからわたしは、バックパッカー同士の「どこそこの国や都市がどうした」などの話題にはかろうじてついていけても、「どこそこの国のビザの取得方法」とか「世界一周の効率的な巡り方」や「航空券やカードの賢い選び方」など情報系の話題には全くついていけません。
わたしの興味ある事、それは「おもしろいこと」のみなのです(もちろんinterest含む)。そういうことですから、おもしろい海外旅行の話は好きですが、つまらない海外旅行の話はそんなに興味ありません。まあ、当たり前っちゃ当たり前ですが…。
だから、せっかく海外で日本人バックパッカーに出会っても、あるときは筋トレについて延々と質問を繰り返し、あるときは日本経済について議論します。
その意味で、Nちゃんと風俗業界と風俗嬢について情報交換したあの夜は、別に特別でも異常でもなかったんですね、わたしにとっては。

どんな相手でも声を掛けられれば必ず応対しますし、ちょっとでも興味があれば自分から声を掛けていました。日本に居るときの自分からしたら想像もできないことですが…。


 
誰もが興味ある “下ネタ(シモネタ)”。しかしながら、上品かつユーモアを交えて下ネタを話すには、実はそれなりのテクニックが必要となります。その点で、Nちゃんとわたしはなかなかの下ネタ使いでした。
下ネタを通じて意気投合したわたしたち。タイミングを見計らったのでしょう、Nちゃんは長めの沈黙の後、こう切り出しました。
「実はオレ、観光とかに興味ないんですよね…。あんまり、そんなに…」
人当たりがよく、笑顔が爽やか。ある女性はNちゃんをこう評しました。
「不快なところがひとつも無い人」
そんなNちゃんの告白。わたしは無言で先を促しました。
「たとえば奇麗な景色を見ても、『きれいだな…』で終わっちゃうんですよ。そこにもちろん感動はあるんだけど、そこまでの強烈な感情の動きはないんですよね…」
わたしも自分の意見を述べました。Nちゃんの意見に賛同するところがあったからです。
そして、わたしは尋ねました。
「じゃあ、Nちゃんはなぜ世界を旅しているの?」
Nちゃんの2倍以上の年齢のわたし。でも、同じバックパッカー仲間として、率直に尋ねました。
応えにくい問い掛けに、NちゃんはNちゃんなりに応えました。
そして、ふと、彼は言いました。
「おれ、世界中の人みんなと話してみたいんですよね。一言ずつでもいいから…」
スゲエ! 驚嘆しました。
色白で、線が細いNちゃん。いつもニコニコしているNちゃん。聞くのも話すのも好きなNちゃん。誰からも好かれるNちゃん。意外に酒好きなNちゃん。
そんな彼がひそかに持っている、デカすぎる野望。
“スゲエ奴がいたもんだ…”
その夜は、ことのほか楽しい夜となりました。

なんか知らんけど、面白そうやから…。声を掛けてきた人たちのほとんどは、そんな理由からでした。よくよく考えてみると、コミュニケーションに理由なんか要らないんですよね。



サマルカンドからブハラへ。
誰もが楽しめる街サマルカンドからブハラにやってきて、わたしは想いました。
“ブハラもサイコー!”
イスラム建築とシルクロード感の最大公約数を観光に落とし込み、『みんな大好きサマルカンド』のみならず『みんな大好きブハラ』も達成しているのです。
壮大かつ美麗な巨大建築物。直感で感じることができる中央アジア→ペルシアのイメージ。
観光客はみな笑顔で、特徴的な史跡に興味津々。
「これって全部レプリカでしょ? 近年に作り直されたものばっかりだから…」
なんてシケたことを言う輩など、一人たりとも居ませんよ。


そんな街を歩いていて、改めてわたしは感じたのです。
ノリノリに楽しんでいる人たちと一緒に歩くって、サイコーに楽しい!
アレですよ、やっぱり…。案外ミーハーなんですね、わたしも。


 
 
 

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