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どこまで「偶然」を起こせるか

「なかなかエンジンがかからないんだよね」
自分の好きなことが何かわからない、趣味も特にない、やりたいことがわからない…

近年よく聞く言葉ではないだろうか。
実は、私もこの言葉を発してきたうちの一人だ。

最近思うのは、自分で自分自身のエンジンを意図したタイミングでかけられる人はごくわずかなのではないかということ。
振り返ってみると、気がついたときにはエンジンがかかり始めていた…という偶発的なパターンが大部分ではないだろうか。

自分自身のエンジンをかけ、アクセル全開で進むためには、この「偶発」をどこまで起こせるかがカギであると感じている。

エンジンのかからない社会人初期時代

現在外資系メーカーでマーケターとして働くアラサーOL。マーケティング職を志望してメーカーに就職するもののなぜか初期配属はトレーナー(販売員の教育担当)だった。
その後会社のジョブローテーションや転職、モビリティ(異動希望)制度を活用し、
トレーナー → リテールマネジメント → マーケティング → VMD → マーケティング
と転々と役割を変えてきて今に至っている。

社会人になって初めての仕事のトレーナー職は、希望ではなかったものの思いがけず楽しく、自分でいうのもなんだがそこそこ頑張った。
3年目には販売マニュアルや研修の企画を任され、会社全体で展開されるほど。

そんな中ジョブローテーションでリテールマネジメントへ配属転換。販売員密なコミュニケーション、毎月の売上に追われるこの仕事は向いてなかった。外回りをするフリをして時々カフェで考え事をしたりしていた(おい)。

リテールから抜け出したく、かつマーケティング職を諦められなかった私は社内の異動希望制度を利用しなんとかマーケティングの部署へ。幸い大学時代に培った語学力のおかげで、子会社への出向及び海外駐在も叶った。

しかし日に日に増えていく、エンストをしているような感覚。
「メーカーのマーケティング職になって、海外駐在して、文化の掛橋になる

という入社時の夢がほぼ叶っているはずなのに、日々の業務を淡々とこなすのみでエンジンはずっと失速した状態のままだった。

もはやエンジンが止まりそうな転職後

海外駐在後、「将来は海外を旅をするように働いていたい」となんともイマドキな若者らしい夢を抱き、このままでいいのか考え始める。
今思えはとても浅はかだが、日系メーカーで勤務していた私は海外駐在後、

「日系企業ではなく外資系の方が実力で評価され、かつ周りも優秀だから自分のスキルが伸びるのでは?!」

という幻想を持ち転職へ踏み切る。

転職を決めたのは、スタートアップのような少ない人数でビジネルを回す組織。オペレーショナルな雑務から予算組み・マネジメント層へのプレゼンまで、マーケティングに関わる幅広い業務を全て一人でこなす日々。

「前だったらこんなに自分一人だけでやる必要なかったのに…」

と後悔の念が頭をよぎり始めていた。

そんな中、転職半年後にはコロナ到来。
大幅な予算カットで仕事は激減し、かつ評価の対象になる目標も絶対到達できないとわかってしまった瞬間、私のエンジンはもはや止まったも同然だった。

渋々始めたプロジェクトからエンジンがかかり始めるまで

2020年5月くらいだった。別の部署で大きなプロジェクトが始まる際に、人手が足りないから(そして時間を持て余してそうだから)手伝ってくれないかと声をかけられた。
30代初めの一番仕事を頑張れる時にこんなに暇でいいものか、でも今までずっと忙しかったし少しスローダウンすべきなのか…と悩んでいた時期だったこともあり、仕事ができて嬉しい気持ち半分、スローダウンできずに少しがっかりした気持ち半分でプロジェクトへの参加を決定した。

会社をあげてのPOPUPイベントの実施。私の仕事はPOPUP会場で提供するお客様への「体験」を企画すること。渋々プロジェクト参画を決定したのとは裏腹に、久しぶりの忙しさにわくわくした。
もともといい意味でも悪い意味でもお節介な性分。自分の役割外ではあると認識しながらも、ランディングページやデジタルコンテンツ、ターゲット売上に対してのトータルコストの調整など多方面でコメントし、提案をした。
止まることなく頭が回転するこの感覚。自分の中でエンジンがかかり始めていることを感じた。

幸いにも私のこのお節介な性格や提案は、コロナによる売上激減による採用フリーズで人手不足に悩んでいたチームに好意的に受け止めてもらうことができた。

気づいた頃にはこのプロジェクトに対する確認や相談は私のもとへ来るようになっており、最終的にはチームの取りまとめ、シニアマネジメント層へのプロジェクトの進捗・結果の報告を担うようになった。

「私もドライブ力があると思っていた方だけど、あなたもなかなかだわ。みんながあなたをプロジェクトマネージャーと認めてるんだもの。」

プロジェクトを管轄する部署の最高責任者にいただいた言葉。これが何よりも嬉しかった。

偶発を計画的に作り出すということ

エンジンがかかった瞬間を振り返って学んだこと。
それは、計画的に、したたかに「偶然」を作り出すことでしかエンジンをかける方法はないということだ。

初期配属で想像もしてなかったトレーナー職。
コロナにおかげで今まで全く関係のなかった部署とプロジェクトマネジメント経験。

自分の意思だけでは絶対に進まない道を、ほんの少しの勇気とやる気を出して向かってみると、エンジンがかかってどんどん進んでいける。
一度進み出したらこちらのもの。進んだ先には、新しい自分が待っている。

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