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人見知りは、話しかけてもらえるのを待ちながら生きていいのだ

3泊4日で長崎に行ってきた。

きっかけは、長崎に惚れ込んで移住した友だちが渋谷に遊びに来ていたことである。

もともと同じ会社に勤めていて、朝活のコミュニティを通して交流があった彼は、ある日会社を辞めてエストニアへ旅立っていった。その次の移住地が長崎。

てか、なんで長崎??

…というのもあって、「今度長崎に遊びにおいでよ!」という冗談めいた誘いを真に受けてみることにした。

ちょうど、定額制宿泊サービス『Hafh』と、「旅で世界を、もっと素敵に」を掲げる『TABIPPO』がコラボして、トラベルウィークなるものが開催されていた。

長崎市を中心に、BBQをしたり、テントサウナをしたり、軍艦島という観光名所のツアーをしたりする。

もちろん、初対面の人たちと。


それだけで人見知りなわたしは「無理かも…」と思い、知り合いに声をかけてみたが3泊4日の弾丸ツアーだったので同行できる人もおらず。

でも、現地に友だちがいることもあって、「最悪ずっとひっついていればいいか…」と参加を決めることにした。なにより、自然のなかのテントサウナや軍艦島ツアーはとても魅力的だった。ひとりじゃ絶対にやらないであろうことだから。

そうして単身で現地に乗り込み、友達と合流した。東京で会うのとは違い、今や長崎がホームタウンとなっている彼と現地で会うとどこかリラックスしているように見えた。

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観光スポットである眼鏡橋を、庭にある小さな池でも紹介するようなテンションで指差して渡り、坂道をのぼる。

到着したBBQ会場、もとい友人が住むシェアハウスでは、住人たちを友人が紹介してくれた。現地に友人かいるというのは心強い。ひとりだったら絶対に誰にも話しかけられずにおわるところだった。

しかし。

BBQが始まった瞬間、和気藹々としたムードにくらくらとした。実はトラベルウィークはわたしが訪れる前日からスタートしており、すでに顔見知り状態の人たちがたくさんいたのである。

「しまった、遅れを取ってしまった」と思いながら友人の後ろに隠れる。

「これ使って自己紹介しなよ!」と友人がわたしの書いた書籍をわざわざ部屋から取ってきてくれたが、そんなん初対面の人にいきなりPRする勇気もなく、「ヤメテーーーーー!!」と押し戻した。

最近「新しい人たちと話す場」がなかったのですっかり忘れかけてたけど、やっぱり初対面の人と話すのって勇気がいる。わたしは腹を括った。

よし、酒を呑もう。


大抵のことは酒が解決してくれると大学時代にバンドサークルで学んだ。

ライブ前にどんなに緊張しても、新歓で知らん1年生と話すときも、ライブで知らんOBと関わるときも、わたしは酒に助けられてきたのである。

とりあえずビール瓶を両手で抱えて呑んだ。すると、2本空けるころには知らない人たちと3人で輪になって話せるようになった。いい調子だ。このままいこう。

「人見知りしなさそう」とよく言われるが、実はそれはめちゃくちゃに努力をしているからである。あとシンプルにお酒の力です。

川上美映子の『すべて真夜中の恋人たち』という小説の主人公は人と話すことに自信が持てず、つねに酒を水筒に入れて持ち歩いているのだが、彼女の気持ちがものすごーくよくわかる。

まぁ実際にはそんなに酒を入れずとも、みんな積極的に「どこから来たんですか?」「何をしてるんですか?」と話しかけてくれたのだが。

4人ぐらいと話したところでBBQを途中で抜けて仕事をする。

3時間後にホテルに向かうとみんなリビングでくつろいでいて、また所在なさを感じて少し離れた場所に座った。でも、やっぱり話しかけてくれるのだ。「今日から参加ですか?」と。何気ないその一言にどれほど救われたかわからない。

「話しかけてくれてありがとう…」とじんわり胸があたたかくなった。

そして翌朝。

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マジで1日中ずっとこの子といた。

この日から飛び入りで参加した女の子は、実はもともと知り合いだったので、ひどく安心して最終日までずっと一緒にいた。太陽みたいに明るくて、キラキラとした笑顔で話してくれるもんだから、「好き………」となって隣にいた。

その翌日もバッチリ隣をキープしている様子が窺える。どんだけ好きなんだ。

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ところで、このトラベルウィークのテーマは「#つながる余白をつくる旅」なのだが、果たして新しい人とも話せたのかといえば、それはそれでちゃんとつながれたと思う。

ほとんど全員が同じ施設に住んでいるので、まるでひとつのシェアハウスに住んでいるような感覚だったし、リビングに行けば大抵誰かがいるので、だらりと目的もなく朝まで話し込むような夜もあった。(青春だね)

きっとこの先もずっと続いていくのだろうなと思えた尊いつながりもあったし、わたしと別れてすぐにわたしの書籍を書って読み、長い長い感想を送ってくれた大学生もいた。

純粋に「旅先で人と仲良くなるとか現実的にありえるんだな…」と驚いた。たかだ4日間。されど4日間。

でもそれは、ひとえに定額制宿泊サービス『Hafh』と、『TABIPPO』の持つパワーとも言えるのだ。

長崎をエンジョイしている私の姿を見て、『Hafh』の代表のRYOさんがこんなツイートをしてくれた。

いや本当に人見知りなんですよ。直すことすら諦めているような。

でも、そうやって知らない人から「話しかけて」もらえたり、「じっくり対話ができる」のは、旅に慣れている人たちの人柄もあるけど、「同じサービス、使ってるよね」という密かな仲間意識と、せっかく長崎に来たのだから楽しんでほしい! と現地の人たちが世話を焼いてくれたのがすごく大きい。

そもそも、わたしは「ひとり旅」をしたことがほとんどない。

出張先でひっそり現地のごはんやサウナを楽しむことはあるけれど、誰かと交流することはほとんどなく、すぐに帰ってホテルのシングルルームでくつろいでいることが多い。だからこそゲストハウスなんて言語道断で、友だちと一緒じゃなきゃ泊まれない。自分から話しかけようなんて死んでも思わないのだ。

『Hafh』『TABIPPO』も旅人向けのサービスだと思っていたから距離を置いていた。バックパッカーでもなく、世界一周をしているわけでもヒッチハイクをするわけでもなく、ましてやひとりで旅に出かけたことがないわたしとは無縁のサービスだと。

でも、むしろ旅に慣れていない人こそが使うべきなのだと思った。

ひとりで旅に出かけるのは怖い。きっと現地に着いてもオススメのお店なんて聞けなくて、ひとりGoogleの口コミを黙々と見るしかない。

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でも、旅を楽しんでいる人たちが集まっているコミュニティに行けば、みんながやさしく教えてくれる。そうやって少しずつ旅の良さを知っていくのだろう。

わたしは「友だちなんて1人いれば十分」と思いがちなタイプだが、今回の3泊4日を通じて、改めて繋がりを増やすことはすごく楽しいと思えた。

もちろん初対面の人と話すのはエネルギーも使うし、案の定旅をおえた翌日は体調を崩した。そういえば去年もこんな感じになっていた気がする。デジャヴだ。

でも、コロナ禍でますます世界を広げることに対して消極的になっていたわたしを「大丈夫だよ〜外の世界は怖くないよ〜」とやさしく諭してくれた、そんな3泊4日だったと思う。

「人に話しかけるのがあまり得意じゃないんだ」とこぼしたとき、こう言われた。

「え、話しかけられるのを待っていてもいいんじゃないの」

待ってていいんだ…


むしろ頑張って話しかけなくていい。こちら側から話しかけにいくから。と。そうか。「話しかけてくれる人」はそんなふうに考えてくれていたんだな。

「話しかけられ待ち」が肯定された。

これは個人的にすごく大きなことのように思える。この世に話しかけたい人がいる限り、人見知りはそれをじっと待つのでもいいのだと。

ちなみに個人的には話しかけられることもあまり得意ではないのだけれど、旅にはそれを「受け入れてみようかな」と思わせてくれる力がある。

定額制宿泊サービス『Hafh』に入っている限り、わたしはどこかのホテルに泊まるだろう。もしも旅先で誰かと出会ったら、もういろんなことを吹っ切って、全力で甘えよう。助けられよう。

コロナ禍ですっかり弱ってしまった脚を拳で叩いて、また旅に出ようと思う。

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Photo by @mona73photo  @um117

あ、あとHafhに興味がある人はわたしの紹介リンクから登録するとお互いにコインがもらえてハッピーな展開になるので抵抗がなければどうぞ。

長崎で勢いついたので今後使い倒していく予定です。楽しむ。





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