日記 "Start over!" 編(10/4更新, 9/11まで)
日々、何かしら行動や進捗があるかを自己確認するための日記。
2023/06
06/01 Start over!
櫻坂46の6枚目シングルはタイトルを「Start over!」といい、6/28発売なのだが、日曜深夜に、推しの藤吉夏鈴がついに表題曲センターをつとめることが発表された。すぐにMV解禁。楽曲、パフォーマンス、映像に震える。欅坂と櫻坂の過去をまるごと引き受けて、その先に進むための曲だ。
そして木曜日のこの日、櫻坂46ツアーファイナルを配信で見た。この新曲のライブ初披露があるだろうと思って購入した配信で、予想どおりアンコールで演ってくれた。想像を超えるパフォーマンスだった。MVどおりにできるとは思ってなかったし、まして、藤吉・小林の手を取りあって踊る場面が、お姫様抱っこになるとは。藤吉夏鈴さんありがとう。
06/02 編集会議、からの大雨
0時から、秋の文学フリマに向けた編集会議。一瞬の判断と勢いで決めたアンソロジー企画で、行き当たりばったりだし初めてのことも多いのだけど、不安はない。一緒に作っていく仲間がいるのが心強い。
で、この日は大雨だった。自分は家にいればいいけど、出かける人はたいへんだったと思う。
06/03 松本零士、お別れ会
有楽町国際フォーラムにて、松本零士先生お別れ会に参加する。
遠く宇宙を目指す物語のロマンを、愉しみを、志を、松本先生の漫画やアニメで教えていただきました。それにSFという名前がついていることも。
ありがとうございました。
06/04 宇宙と時間とヴィジュアル系
アンソロジー企画に少し進展。いろいろ快諾いただき、ありがたい。
一方、SF創作講座の初回の課題は 「宇宙、または時間を扱うSFを書いてください」ということになっている。参考文献、先行作品として、ヘッダの写真の本を読んでいる。『ハビタブルな宇宙』は副題を「系外惑星が示す生命像の変容と転換」という。著者・井田茂によれば、ここは宇宙論、天文学、理論物理学などの「天空の科学」と、人間が生きる世界と人間自身に関わる地学、医学、生物学、進化論などの「私につながる科学」の交差する領域になるという。前半6割ほどを、この二つの科学に割いていて、科学の入門・再履修としてとても興味深い。
06/05 明日に備える
明日は下部(大腸)内視鏡の検査なので、食べられるものに制限がある。
しかもこの日の夜と、明日の朝は延々と下剤を飲むことになる。辛い。
検査自体は鎮静剤で気持ちよく眠っている間に終わるのでとても楽なのだけど。
06/06 大腸内視鏡
午後から代々木のクリニックに行って下部(大腸)内視鏡検査。5月の健康診断でやった上部内視鏡(いわゆる胃カメラ)の時よりも鎮静剤が弱めで、そのおかげで、検査の開始・終了の時に少しは意識が残っていたり、多くは語らないが。
よく眠ってから夕方クリニックを後にする。最近存在を知った駅前の星野珈琲で今日初めての食事。エビとモツァレラチーズのオムライスドリアにアイスコーヒー、デザートまでつける。
06/07 ストーム・コンスタンティンとジョアンナ・ラス
都内多摩地区にある実家に行く。昔のSFマガジンを残してあるのだが、ストーム・コンスタンティンの架空の古代文明が舞台の耽美幻想小説「白蛇の呪い」と、ジョアンナ・ラスのスラッシュフィクションについてのエッセイ「女性による、女性のための、愛のあるポルノグラフィ」を読む。
06/08 ハード
ハードオフに古いプリンタ、防水CDプレイヤーなどを売りに行く。駐車場代は出たのでよしとする。査定の間、PC、オーディオ、ギターなどふらふらと見ていて、オーディオは中古といえど奥が深いと思ったり、並んでいるギターが売られるに至る経緯に思いを馳せたり。
06/09 超人ロックの日・聖悠紀先生を偲ぶ会
6月9日は毎年「超人ロックの日」なのだけど、今年亡くなられた聖悠紀先生を偲ぶ会がこの日行われた(ことを翌日知った)。先週の松本零士お別れ会に続いてだ。
『銀河鉄道999』と『超人ロック』が二大連載だった時代の少年キング(SFはこの2作だけで、雑誌全体としたら浮いてたと思うw)が懐かしい。
第1作『ニンバスと負の世界』が描かれたのは1967年。作画グループの肉筆回覧同人誌時代のこと。僕の生まれた年に描き始められたのだ、凄いことだ。
『超人ロック』と『銀河鉄道999』は同時期に連載されていたものの明らかに世代が違っていて、絵のスマートさもストーリーのテンポも世界に対する認識も何もかも違う。同時期に、竹宮惠子の『地球へ…』も他誌で連載されていてアニメ映画化、石ノ森章太郎『サイボーグ009』二度目のTVアニメ化もあった。1979年、12歳の時にこれらを同時に読めたのは貴重な体験だったとあらためて思う。
松本零士と石ノ森章太郎:1938年1月25日生
聖悠紀:1949年12月21日生
竹宮惠子:1950年2月13日生。
学年でいうと、松本零士、石ノ森章太郎の一回り下が聖悠紀、竹宮惠子ということになる。そうか、聖悠紀も「二十四年組」なんだ。
『009』連載開始(1964)の3年後が『超人ロック』の第1作(1967)なのだけど、おそらく009島村ジョーを源流に、ロック、さらに地球へ…のソルジャーブルーへと続く「どうなっているか分からないけどカッコいい、片目を隠した髪型」のSFヒーローであっても、発表年の三年差では済まない、絵の違いの大きさ。
06/10 段ボール箱4箱分のハイレゾ同人誌
月末の引っ越しの準備をしている。4箱分、本を詰めはじめた。先は長い。
06/11 ハビタブルな宇宙
井田茂・著『ハビタブルな宇宙 系外惑星が示す生命像の変容と転換』(春秋社、2019年)読了。(買って積んで三年経った)
副題が示すとおり、太陽系外の惑星に向けられた異星の生命探索についての本で、この分野の知識を更新させてくれた。系外惑星の発見は1995年の最初の発見以来、急速に数を増していて、2010年の時点で500個を超えていると言う。観測精度の向上だけでなく、我々の太陽系とは異なるタイプの恒星と惑星の組み合わせに目を向けるようになったことが大きいという。恒星距離(水星よりも太陽に近い軌道)を高速で回る大型惑星「ホット・ジュピター」の存在が知られると、同じタイプの惑星がまたたく間に多数発見されたとか。太陽系を標準モデルと想定していた時代から、それ以外のタイプを知ることによって、発見が相次いだと言うことらしい。そして、生命が存在する可能性についても、地球の地上の生物のように太陽の光をエネルギーにする生物だけでなく、海底深く地熱をエネルギーにする存在の可能性も考えられるようになった。その最有力候補が、土星の衛星エンケラドスだと言う。
系外惑星および太陽系内の惑星、衛星からハビタブルなつまり生命の可能性がある星を探索する研究は、「天空の科学」つまりブラックホール、タークマター、ビッグバンなどの天文学、理論物理学、素粒子物理学などと、「私につながる科学」つまりプレートテクトニクスや地球温暖化を含む地学、医学、生命科学などの交差する地点で興味深い。
この最先端の領域で行われているのは、人間中心、地球生命中心、太陽系中心の固定観念が、観測結果の事実によって徐々に解きほぐされていくプロセスだ。
06/14 静寂の暴力
「Start over!」のカップリング曲、櫻坂46三期生による「静寂の暴力」のMVが公開された。「喋りたい願望を捨てて沈黙を愛せるか」と問いかけ、「思考を停止させる、静寂は暴力だ」と囁く、2023年の、今の楽曲だ。
いじめられて無視される静寂、発言を封じれられて強制される静寂なども想像させられるけれど、何よりもコロナ禍の中で強いられた我慢に対する弱く、静かな抵抗を感じさせる。学生時代を三年間コロナ禍の中で生きてきた子たちの生の声だと思った。
三期生みんな、最初からパフォーマンスもバラエティもトップギアですばらしい。
06/17 『夏への扉』上映会
竹宮惠子『夏への扉』の上映会&スタッフと声優さんたちのトークを観てきた。 1981年作、42年前の表現の大胆さと繊細さを堪能。
当時アニメージュ他の特集で詳しく紹介されていたし、原作漫画もその後読んだけれど、映像を観たのははじめて。
実写映画に対抗できる、しかしアニメでしかできない表現主義。のちのウテナなどがアニメ的な記号になっている表現だとしたら、もっと、洋画的な絵作りを目指しているような印象。出﨑統がいたマッドハウスが、彼と杉野昭夫が抜けた後に作った作品だと言われれば納得。実は女性漫画家による少女漫画を原作にしたアニメの第一号は出﨑監督の『エースをねらえ!』で、マッドハウスは最初に制作したスタジオということになるらしい。
公民館などで上映されたかなり限定公開な作品で、今ならミニシアター系とでもいうところ。内容は忠実に原作どおりで、国籍不明のヨーロッパの全寮制の学校の生徒たちと、学校のある街の女性たちの群像劇で、汽車が迫る線路に立つ度胸試し、主人公の少年の貴族の愛人である年上の女性による性の目覚め、市長の娘に憧れる少年たちの友情と対立そして決闘、主人公を恋していた少年の告白、拒絶、自殺、などが描かれる。
ベットの上に全裸でうつ伏せになってる美少年が、年上の美女にお尻ぺちぺち叩かれたりするシーンが見どころ(言い方w)。『風と木の詩』のアニメ化の6年前、18禁美少女アニメ『くりいむレモン』の3年前なのだから、かなり挑戦的ではある。
ゲストは辻真先、金春智子、丸山正夫プロデューサー、CVの水島裕、古谷徹、古川登志夫、三ツ矢雄二、潘恵子。丸山Pは二日後が82歳の誕生日で、そのサプライズ花束役で潘めぐみも。声優さんたちみな70歳前後なのに、ホントに若々しい。
上映前に脚本家の辻真先と金春智子が短く話したのだけど、辻真先さんはまだ徳島で学生やっていた竹宮恵子さんの漫画原作を手がけたことがあって、徳島駅前で打ち合わせしたのが最初の出会いだとか。上映後の声優さんたちと丸山Pのトークは昔を振り返って和気あいあいとしたものだけど、三ツ矢雄二が熱かった。
彼の演じる役は、主人公の少年を密かに恋していて、女のもとに通い詰める姿を見て思い詰め、告白して拒否されて自殺するという役。三ツ谷さんは公式にゲイである事をカミングアウトしたのは数年前だけど、芸風的に公然の秘密ではあって。
当時の記事によると気持ちは分からないけど想像して演じた的な事を答えていたが、本当は「 誰があのキャスティング決めたの? 全部! 完璧に! 理解していました!」とか。
また今の声優業界、アニメ業界の構造的な問題についても最後の挨拶で真剣に声を上げていた。
なお、帰宅してからSF創作講座7期の最初の梗概を頑張って仕上げた。上映開場は神保町だし、さっさと提出できていれば、書店を散策したかったのだけど直帰。
09/20〜10/4 (この後を実際に書いている日付)
3ヶ月放置していたが、さらっと再開する。
友人知人の中には、自分の私生活を個人情報を秘匿しながら職場の人間関係や恋愛まで感情のキビを包み隠さず日記にしている人もいれば、謎のテキストを淡々と積み重ねている人もいて、要は読み応えのある、読んで愉しい文章を書かれている。
この日記は読者を意識できているかといえば、全くそんなことはないし、読んでタメになることも書いていない。自分が日々生きてて……大袈裟だな、日々、何がしかの活動をしていることや考えていることを記録しておきたいといったところのものです。
06/30 引越し
前回からの間に、ゲンロンSF創作講座の7期第1回や同人誌の編集会議、「Start over!」の正式リリース日などがあった。
世田谷区に別れを告げ、東村山市民、西武線の民になった。
2023/07
07/03 開通せず
インターネット開通せず。外からの線が、室内のどこに最初に来るかわからない。作業者一人で、屋外から戸建ての配線を引き回すのはそもそも無理があるのではないか……(両端持つ人が少なくとも必要では? と思ったので、無理に時間かけて作業してもらわず、複数人で短時間で終わらせてもらうほうが良いと判断した)
木曜日リトライ。
07/06 開通
インターネット開通した。今日は技術者三人がかり。外作業する人、家の中で配線を確認する人。実にスムーズで良い。ちなみに外からの電話線や光ケーブルを通す配線の一番最初の部屋は、箪笥の後ろにコンセントが隠れていた。
マンション(によるのだろうけど)プランに比べ、戸建てプランの光は通信ストレスなくて快適。
07/23 BUCK-TICK 有明ガーデンシアター
『異空』ツアーの、ひとまずの最終日。
「ヒズミ」も「名もなきわたし」も、何もかも素晴らしい。アルバム収録曲の間にいれた旧作も、このセットリストの中で意味をもっていて聞き応えがある。アンコールの最後をアルバム曲で締めるかたちの、本編+アンコールではなく、実質2部構成なのだけど、とはいえ本編最後に30年前の「die」を演るのはすごい。しかも、その直前は先行シングル曲「太陽とイカロス」。この、爽やかな印象と裏腹にイカロスの死を歌い、そこに特攻隊員の死を重ね合わせた次に「さよなら、すべてのものよ〜♪」がくるわけだ。
追加発表された群馬でのツアーファイナルは参戦できないので、自分の『異空』ツアーはここで終幕。
2023/08
08/05 日本SF大会Sci-con2023, 初日
浦和へ。「津原泰水さん追悼」、「サイバーパンク」、「ゲンロンSF創作講座」、「創元新人作家サイコロトーク」の企画を見る。
津原泰水さんの未発表作の刊行がまだまだ続くのが嬉しい。文章講座も書籍化されるとのこと。オンラインの方では何回か聞いているけれどとても勉強になった。この追悼企画で使った部屋は2日間すべて追悼企画を行う部屋になっていて、たしかに、子供の頃からお世話になった方々が亡くなっている。壁には、企画になっている方以外も含め亡くなった方の紹介ポスターが貼られていた。池田憲章さん、小牧雅伸さん、etc…
サイバーパンク企画の後で、登壇された結城允孝先生の『アブロルート・コールド』にサインをいただく。
SF創作講座の部屋は受講を考えている方に向けたプロモーションが主目的だったと思うのだけど、過去受講生、現役受講生が座席の半部以上を占めていて、目的を果たしていないのでは? という気がした。
08/06 日本SF大会Sci-con2023, 2日目 自主企画の日
2日目は自分たちの企画があるので少し緊張する。「台湾とチベット」の部屋。出演した溝渕久美子さん、榛見あきるさん、河野咲子さんのおかげで、聞き応えのある話になったのでは、と思う。参考資料はこちらに。
最後の一コマ、「松本零士・聖悠紀追悼」でふたたび追悼部屋へ。松本零士の女性キャラの魅力、男が、時に師である女に導かれる関係性。聖悠紀がどれだけ70年代のアニメに貢献していたか、『超人ロック』の先進性などなど。最初に読んだのはアニメージュの『黄金の戦士』連載最終回、つぎに読んだのは少年キングの『超人ロック・炎の虎』第1話。どちらもめちゃくちゃ影響を受けていることを、あらためて思い出した。
「作者が死んでも、銀河鉄道も超人ロックも永遠の旅を続けている」うん。
08/20 HPL聖誕祭
8月20日はH・P・ラブクラフトの誕生日。今年で生誕133年だそうで、阿佐ヶ谷ロフトAに『HPL聖誕祭』に行ってきた。初参加。
https://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/date/2023/08/20
今年のテーマは栗本薫なので参加してみることにした次第。〈グイン・サーガ〉を書き継いでいる作家のひとり、宵野ゆめがゲスト。
前半はヒロイックファンタジーの歴史と〈グイン・サーガ〉。まずは米国20世紀初頭のパルプ誌の流行からHPLも関係したヒロイック・ファンタジー/剣と魔法の勃興から再発見の歴史、日本でのその受容から豊田有常『ヤマトタケル』、高千穂遙『美獣』を経て〈グイン・サーガ〉が書かれるまでの通史。ざっとは知っていることでも整理して語ってくれるとありがたいし発見もあった。
常々「日本のヒロイック・ファンタジーを書くのは私だと思っていたのに、『美獣』に先を越されてショックだった」と栗本薫は語っていた。この美獣の一編「黒い呪術師」と栗本薫「氷惑星の戦士」が掲載されたのがSFM1979年3月号つまり1月25日発売号で、「GUIN SAGA創作ノート」の表紙に記された日付が79年1月25日。つまり美獣読んでその日のうちに「これはヤバい」って書き始めたんだと知った。SFMが作家の元に早めに届いていたとしても、せいぜい数日のタイムラグ。
そして話はグインとクトゥルー神話の関係の話題へと進む。〈グイン・サーガ〉世界の神話体系は主にローマ・ギリシャ神話、エジプト神話などから連れて来られた/などを参照した神々による多神教世界で、ヤヌス十二神という存在もある。しかしその中にもクトゥルー由来の神々から風の神ダゴンが十二神に列せられていたり、辺境の邪神としてラン=テゴスが登場したりもする。そして何より、バックグラウンドのSF設定が非常にクトゥルー神話的でもあり……というような話が、〈グイン・サーガ〉を中心とした前半の残りの主な話題。
クラーケンよ、星船よ、ホーリー・チャイルドよ。
後半は、『魔界水滸伝』の話から。クトゥルー対日本の妖怪・天津神・国津神という妖怪大戦争、イラスト永井豪という破格のクトゥルーものである『魔界水滸伝』。リアルタイムで読んでいて、あとがきで作者も本物は別、めちゃくちゃ怖いなどと語っていた記憶もあり、別物という認識は普通にあった(たぶん、大抵の読者はそう)。とはいえ外部、つまり保守本流クトゥルー神話読者からは邪道扱いされているんじゃないかなあと思っていたのですが、どうやらそんなことはなく、むしろ国書刊行会の高い本などは、読者アンケートによれば魔界から入った読者が多く購入していて、その売れ行きで出版を支えられていたのだとか。
そして、グインと魔界と『ぼくら』シリーズを繋ぐ『魔境遊撃隊』の話に。
『ぼくらの時代』、『気持ち』、『世界』の主役で探偵役の栗本薫くん(エラリー・クイーンや有栖川有栖のようなもの。男性)はプロ作家になって妖怪大戦争(つまり『魔界水滸伝』)の小説を書いているのだけど、その縁で南海の孤島へ旅する冒険に同行することになり、旅の一行のオーナーである美少年・印南薫と知り合ったり、クトゥルー的な邪神の遺跡やらなにやらに出会ったりする。この島で豹頭の戦士の壁画と出会い、グインのインスピレーションとなって、のちに『グイン・サーガ』を書くことになる、という筋書き。懐かしい。
しかもこの手記、というか小説と後書きを、同時期に書かれていたもう一つのシリーズ合体作品、名探偵伊集院大介と共に事件に巻き込まれる『猫目石』の渦中に書いているというオマケつき。
複数シリーズを抱える作家が、それらを接続させる作品を書くことはあるけど、現代物ならば薫くんと伊集院が事件現場で鉢合わせればすむものが、SFやファンタジーは世界観まるごとの接続が必要でなかなか大変なのだと思った。
しかも、自作同士をひとつにするために、間にクトゥルー神話を介在させる必要があったのが興味深い。その結果、グインのキレノア大陸は、コナンのハイボリアにもクラーク・アシュトン・スミスのゾシークなどにも間接的に接続することになったのが興味深い。
今年は、10代前半に多大な影響を受けた、松本零士、聖悠紀、そして栗本薫を振り返ることになり、自分が小説を書く上では(もっと現代的なテーマでとか、古いよねとか、理由つけて)どこか封印している、こういう壮大なロマンを、正面から「好き」だと言い切るものを書いていいし、書くべきなんじゃないかと思った。
08/25 SF創作講座 ゲスト講師:円城塔
円城さんと竹書房の水上さんがゲスト。主任の大森さんは自宅から配信で参加。
梗概をベタすぎると、実作をクラシカルであると円城塔先生から講評をいただく。年配のアマチュア作家としてはどうすればいいのか? と頭を抱える。
(クラシカルな第1回課題実作については、振り返りの記事を書いた)
08/31 立川に映画を見にいく
立川駅前にシネマシティというローカルなシネコンがあり、2カ所に分散して10スクリーンほどで上映している。会員になると平日1000円で観られるので、お得感が高い。『THE FIRST SLUM DUNK』と『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』を観に行った。
スラダン観るのは昨年末以来。2回目にして違和感なく観られるようになり、とても楽しめた。初回はCG、モーションキャプチャー特有のぬるっとした動きが気持ち悪かったり、波があからさまにCGすぎるのがダメだったのだけど、慣れたせいか、むしろ3Dの絵を井上雅彦タッチに修正している手描きのこだわり部分を強く感じることができた。
クローネンバーグは実は観る前から睡魔に襲われ、ほとんど寝ていた。なのでストーリーはよく分からないのだが、ときどき目が覚めるたびに悪魔的な映像が動いておりたいへん気持ち悪くてよかった。環境ビデオ的に観るのでもよいのでは? ヴィゴとレア・セドゥーはよかった。何やってたのか、把握していないけど。リベンジしたいな。
2023/09
09/10 文学フリマ大阪
去年初めて一般参加した文学フリマ大阪に、今年は出店者として参加した。5月に東京で出した『トランジ』のブースとして出しつつ、V系SFの先行シングル『絶唱』もアピールするために。
売れ行きは東京に比べると芳しくはないのだけど、初対面の人に挨拶したり、いつもお世話になっている人に再会したりできてよかった(SF大会以来にひと月ぶりなので、「再会」というほどのものでもない)。
となりのブースだったSFGの岡野さん、村田さん、背面に配置だったKaguyaの井上さん、自分と同じく関東からのRikkaZine 橋本輝幸さん、そのほか、溝渕久美子さん、青島もうじきさん、破滅と暴力の運び手さんなど、皆さんありがとうございます。もちろん、通りすがりに気に入って購入いただいた方も。
終わると大雨。宿は会場の満天橋から近い、谷町のドーミーインを予約している。地下鉄&徒歩で濡れながら移動。
チェックインした後、雨が止んだところを見計らって、ちょうどホテルの裏手の通りにあるインドネシア料理屋で夕食を食べる。美味しかった。内装は庶民感と高級感がミックスされた感じ? 二人席が柱で遮られた半個室ムードなのがよい。
「ドーミーインの良いところ」その1は露天風呂、その2は夜鳴きそば。きちんとした夕食を食べてお腹いっぱいでも、風呂を出たら夜鳴きそばは食べる。
09/11 万博公園、そして聖地巡礼
引き続き大阪。月、火、と大阪に滞在でした。「ドーミーインの良いところ」その3は朝食が美味しいことで、バイキング形式からいろいろ選んで食べる。ホテルごとに地域名産のメニューがあって、大阪は最初にうどんを出すしきたりらしく、レストラン入ってすぐの場所でうどんを配っている。
溝渕久美子さんに勧めていただいた「みんぱく」こと民族学博物館に行く。万博公園の中にあるのだけど、そもそも万博会場に行ったことがないので全てが初めてだ。モノレールの駅を降りると横殴りの大雨。昨日までの天気予報が全く当てにならない。小降りになったところで、万博公園へ向かう。
太陽の塔を外から見上げつつ、みんぱくまで歩く。
民族学博物館は何時間でも楽しめる場所。いや本気で見るなら泊まりたいところ。特別展示はやっておらず、常設展のみだけど4時間くらい見続けた。それも最初の3分の1で2時間を費やし、そかからは歩き疲れて集中力も切れたのでわりと飛ばして見た感じ。ハワイ→ポリネシア→ニュージーランドを伝統的なカヌーと航海術で渡り切ったのはすごい。そのほかにも、衣食住、移動、祝祭、儀礼などの各地域、各国の独特のものが展示されていてめちゃくちゃ刺激になる。伝統的な生活が持っていた自分自身で生き抜くための技術を学ぶ機会を現代人が奪われてしまっていて、都市を中心としたインフラ技術にすべて依存していることを実感する。伝統的なものの紹介が多い中で、アフリカとヨーロッパの間では、今まさに起きている人の移動、移民、難民について取り上げられていて、興味深かった。植民地時代からの歴史、戦争や貧困、差別の問題はもちろんあるのだけれど、むしろ、文化の混淆による次の時代の可能性を自分は感じた。
併設のレストランで昼食を食べた後、雨が上がったタイミングで太陽の塔へ。中は上の方まで登れるようになっていて、生命力あふれる展示があるというのは初めて知った。
スマホのバッテリーが切れそうになって、ショッピングモールで充電器を買う。
夕食の予約をしていた店へ向かう。モノレールと京阪を乗り継いで香里園で下車。櫻坂46藤吉夏鈴さんのお父様が経営している「しゃぶしゃぶ藤」へ。
内装はきれいで、テーブルを囲むことも、カウンターで一人で食べることもできるようになっている。牛と豚とミックスで注文しました。
バイトの女の子が夏鈴ちゃんのファンらしく、壁のサインのことを聞いた後は、いつからファンだったかとか話しかけてくれて、少し盛り上がる。
カップリング曲のセンターを務めた「なぜ恋をしてこなかったのだろう」「偶然の答え」から、気づいたら2年経っていて、もう無いのかな〜と諦めかけていたところの「Start over!」は欅から櫻坂への移行の集大成という曲とパフォーマンスだったし、ここで藤吉夏鈴センターは、ついにラスボス、最終兵器登場! という感じがしてとても良かった。夏のJAPAN EXPOでのパリ公演、マレーシア公演も現地盛り上がっていて嬉しい。
ということで、この記事はここでおしまい。この後は次の記事にします。
(以上)