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モントリオールの「Bilingualism」


前回の投稿で話したように、モントリオールでは、英語とフランス語のバイリンガリズム(Bilingualism、二言語併用)が成り立ってる。*1

他言語を話すのは、努力と才能によるものだと思ってた。

義務教育で学ぶ、テストで高得点を取る、それでもネイティブの英語には辿りつかない。

学校の授業以上に努力と時間を費やして得られるスキル、それが言語(英語)だと思ってた。

モントリオールと日本、同じように義務教育で英語を学ぶのに、どうしてこんなにも違いが生まれるのか。日本の英語教育を考えるきっかけになった。

もちろんモントリオールと同じようにはいかない。

日本語よりフランス語のほうが英語と似てる部分が多いし、習得しやすい。

英語を主にするカナダの中の、フランス語を主にするケベック州、そこに位置する大都市、モントリオール。この複雑な関係だからこそ成り立つバイリンガリズムでもある。

現地の友達はこう教えてくれた。「自分たちがバイリンガルになれたのは、学校の勉強以上に日常で使う場面が多かったから。」

学校で学んだものを実践で活かす場面が多い、その環境が子どもたちをバイリンガルへ導く。

モントリオールのバイリンガル教育は、よくできたカリキュラムによるものでも、教え方が上手い先生によるものでもない。バイリンガルな街そのものによるものだった。



現地の友達は口を揃えてこうも言ってた。「英語とフランス語が話せて良かった。モントリオールに生まれてラッキーだ。」

その通りだと思う。英語を必死に努力して身につけた日本人の私からすると、成長とともに自然に身につけた彼らは、ただただ羨ましい。

このバイリンガリズムの環境を"良"く思っている若者。でも、政府の動きは真逆である。

私がモントリオールにいた年、2022年にケベック州政府によって、「Bill96」が施行された。

この法は簡単に言うと、ケベック州内でのフランス語保護強化を図るためのもの。

もともと施行されていたBill101を改めたもので、英語の規制がより一層強化された。

フランス語を母語としない移民でも6ヶ月をすぎるとフランス語でしか公的なサービスを受けられない、消費者はフランス語でのサービスを求めることができる(求めるどころか、フランス語ができない店員に対して訴えることもできちゃうらしい)、

などなど、移民が増え続ける今日に、ケベックのフランス語が衰えることを危惧する州政府の様子が伺える。

バイリンガリズムを良く思う若者と、フランス語のモノリンガリズムを目指す州政府。

そのギャップに興味を持った私は、レポート課題のテーマに掲げ、モントリオールがバイリンガリズムになった経緯について調べた。


(この調べた内容が大変大変面白かったので、次の投稿に書きます〜)


*1:移民が多いカナダでは、親の母国語と英語を話す人は、他の都市でも数多くいる。街としてバイリンガルなモントリオールでは、英仏以外を母国語とする親を持つ場合、3か国語を話せるケースも珍しくない。

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