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#ブックレビュー

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小さい頃から本ばかり読んでいました。物語の世界に逃げ込み、遊ぶのが大人になった今でも好きでたまりません。コロナ禍の最近は特に、「物語」の力について考えるようになりました。「物語」… もっと読む
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記事一覧

林真理子著『ビューティーキャンプ』(2016年)

忙しさのあまり、noteが開けない、書けない。 オーディブルで朗読を聞いたり、短い戯曲は読ん…

お蝶さん
2年前
24

2021年ブックレビュー『ザリガニの鳴くところ』(ディーリア・オーエンズ著)

この本が書店で平積みになっていて、「全米で500万部突破」というポップ広告にめちゃくちゃそ…

お蝶さん
2年前
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2021年ブックレビュー『だって、女子だもん』(雨宮まみ対談集)

AVライターで、作家の雨宮まみさん(故人)が書いた「女子をこじらせて」は、「女子」の生きづ…

お蝶さん
2年前
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2021年ブックレビュー『星の子』(今村夏子著)

芥川賞受賞作の「むらさきのスカートの女」を読んで以来、今村夏子さんのファンになった。読み…

お蝶さん
2年前
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2021年ブックレビュー『そして誰もいなくなった』(アガサ・クリスティ著)

この名作推理小説を、これまで読んでいなかったとは。自分でもびっくり。 「クローズドサーク…

お蝶さん
2年前
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2021年ブックレビュー さとうみつろう著『神さまとのおしゃべり』

1カ月ほど前から、Amazonのオーディオブックサービス「オーディブル」を利用し始めた。おデブ…

お蝶さん
2年前
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2021年ブックレビュー『トロイ戦争は起こらない』(ジャン・ジロドゥ著)

戯曲を学ぶようになって、ハヤカワ演劇文庫を少しずつ読んでいる。リアルで見られなかったとしても、最近では配信も含めて映像で演劇を観られる機会は多い。名作舞台は、映像を見た後では何か満たされず、テキストで確認したくなるものだ、という感覚が最近分かってきた。翻訳劇は特にそうだ。 ハヤカワ演劇文庫には、海外の名作がそろっている。先日も、NHKBSの『プレミアムステージ』で風間杜夫さん主演の『セールスマンの死』(アーサー・ミラー作)を見た後、ハヤカワ演劇文庫でテキストに目を通してみた

2021年ブックレビュー『おらおらでひとりいぐも』(若竹千佐子著)

田中裕子さん主演の映画『おらおらでひとりいぐも』(沖田修一監督)を観て、原作はどのように…

お蝶さん
3年前
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2021年ブックレビュー『三人』(桝本壮志著)

放送作家として活躍中の桝本壮志さんの初の本格小説。読み進むうちに、引き込まれていった。テ…

お蝶さん
3年前
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2021年ブックレビュー『安寿子の靴』(唐十郎著)

劇作家・演出家の唐十郎さんを特集した番組を観たとき、あるNHKの単発ドラマを思い出した。唐…

お蝶さん
3年前
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2021年ブックレビュー『ののはな通信』(三浦しをん著)

三浦しをんさんは、好きなエンターテインメント小説家の1人だ。箱根駅伝を題材にした「風が強…

お蝶さん
3年前
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2021年ブックレビュー『破局』(遠野遥著)

第163回芥川賞を受賞した遠野遥さんの「破局」。29歳青年(しかも、カッコいい!)の作品を楽…

お蝶さん
3年前
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2021年ブックレビュー『セールスマンの死』(アーサー・ミラー著)

ピューリッツァー賞を受賞した米国現代演劇の名作、アーサー・ミラーの戯曲「セールスマンの死…

お蝶さん
3年前
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2021年ブックレビュー『痴人の愛』(谷崎潤一郎著)

初めて読んだのは、中学3年だった。ナオミの放埓で大胆なふるまいばかりに捉われ、ちょっと下品な美しさに憧れもした。いい歳になった今じっくり読むと、人間とは、なんと浅ましく愚かな生き物だろうと。人の後ろにある変態的な欲望を、谷崎潤一郎は「痴人の愛」の中でさらけ出すように描いている。 あらすじ主人公の譲治は28歳、電気技師のサラリーマン。社内では「君子」とあだ名を付けられるほど真面目だが、見た目はパッとしない。ある時、カフェーの女給で15歳のナオミを見染める。譲治は混血児のような