甲状腺乳頭癌の話20 手術は夢の中へ
病院生活にもすっかり慣れた4日目。
手術の日です。
朝から断食をし、午後の予定時間までただ待つだけとなります。
手術というと、19歳の時の虫垂炎で、一度だけ経験がありました。
その時は、部分麻酔で意識があり、自分の状況が明確なため、本当に怖かったものです。
先生方の会話がよく聞こえてしまい、不安にもなりました。
また、麻酔が効いていない胃のあたりが、なぜかとても痛く、体力も精神も消耗してしまったのです。
そういうわけで、部分麻酔による手術は二度と受けたくないと思ったのでした。
今回の甲状腺切除手術では、そんな状況は想像もしたくないです。
でも全身麻酔なので、気管挿管による歯の損傷リスクはあるものの、何も知らない間に終わってくれるのでありがたいのです。
そもそも、歯のことは自分でどうにかできることではないですし、手術自体も含め、先生方を信頼してお任せしようと思い、心穏やかにその時を待ったのでした。
そして、
予定よりもだいぶ遅れて手術の時間となりました。
手術室へ行くと、看護師さんと、本人確認及び手術内容の確認を何度かして、自分で歩いて手術台まで行きました。
手術室では、先生方は医療ドラマに出てくるような服装をするものだと思い込んでいたのですが、実際はもう少しカジュアルで、実務的な服装をされていました。
そんなことに気が散るくらい、気持ちに余裕がありました。
さて、麻酔が入り「麻酔が効いているのわかりますか?」という看護師さんの声に「まだわかりません」と答えたのを最後に、意識がなくなりました。
そして、名前を呼ばれ、「無事に、終わりましたよ」という声によって、意識が戻りました。
一瞬、どこにいるのか、何をしているのか認識できませんでした。
とても心地のいい夢を見ていたからです。
知り合いが出てきて、リアルな夢だったと思います。
しだいに、意識が現実に戻ってきました。
真っ先に歯の確認をしたところ、問題はありませんでした。
先生が上手く対応してくださったのです。
安心しました。
その後、ストレッチャーに乗せられたまま病室に運ばれ、ベットに固定。
ようやく患者らしくなってきました。
私の入院生活は、今から始まったのだと感じました。
何よりも、大きな手術が無事に終わったことについて、まず先生方に対して感謝の気持ちでいっぱいになりました。
そして、知らない間に終わってくれたことについて、「全身麻酔、最高!」と思ったのでした。
しかし、それは大変な勘違いであったと、この後思い知ることとなるのでした…。
→ 続く
お読みいただき、ありがとうございました。
追記:見出し画像は、「みんなのフォトギャラリー」から選択し、
pasteltime さんからお借りしました。ありがとうございます!
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