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世界はウェルネス・ウェルビーイングに向かっている

今回の新型コロナウィルスの世界的影響を受けて、社会や経済システム全体の歪みが諸々と露呈された、と感じる方は多いのではないでしょうか。

あるいはその前からも、テクノロジーや最近のスタートアップなどについてカッコイイね、便利になったよね、と興味を持ちながらもどこかでつっかかる何かを感じる方。

これが人生なんだっけ?私たち人間らしく生きてるのかな?

と言う漠然とした問いかもしれない。

だからこそ社会課題やSDGなどにも関心をもち、気候変動の悪化を防ぐためにサステナブルな暮らしを始めてみたり、ジェンダーやダイバーシティなどの理解も深めてみたり。

それでも応急処置しかできていない。抜本的に何かが変わらないといけないのではないか。更にはどんなに一人で頑張っても、即ち個々人が最適化されだけではダメなのではないか。
と言うモヤモヤも感じる。

このnoteを書いている社団法人MIKOは、そんな問いに動かされている人たちによって2019年より発足されました。ウェルネス・ウェルビーイングを探求し、発信していくコミュニティです。

メンバーは、デザイナーからスタートアップに勤務する新規事業担当者、医者の卵、ベンチャーキャピタリストなど様々。今世界で最も勢いのあるエストニア初フィンテック企業のニューヨーク拠点で働くメンバーも。

そんな多様なメンバーが何故まとまれているのか?

それは、
『きっと世界はウェルネス・ウェルビーイングに向かっている』
と、根拠がある様なない様な確信をみんな感じているから。

見てみると、2018年のウェルネス市場は4.5兆ドル(約500兆円)規模にまでなっています(Global Wellness Institute (GWI)レポートより)。

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世界の飲食業市場は3.4兆ドル市場(約370兆円)。あるいは世界のゲーミング市場は1500億ドル(約20兆円)の中ですから、これは巨大!そして年率6.4%成長していると言われています。https://globalwellnessinstitute.org/press-room/statistics-and-facts/

https://www.prnewswire.com/news-releases/global-food-service-market-report-2019-2024-market-is-expected-to-reach-a-value-of-us-4-2-trillion-300907559.html

https://www.prnewswire.com/news-releases/the-global-games-market-projected-to-exceed-150-billion-in-2019-300897706.html

ところでウェルネス・ウェルビーイング、って何?と言う問いにも後々応えていきますが。

短くまとめるとすると、身体、メンタルヘルス、感情、社会性、セクシュアリティ、精神、また自然との繋がりのバランス、など多方面の「健康」に関係し、訴求するもの全てです。8つの次元に司る、と多くの米国の大学が提唱していますね。

このnoteを読んで行って頂ければ、わかる様になりますよ。なんて。

とにかく、米ニューヨークやLA、サンフランシスコからロンドン、ドバイ、香港、など多くのコスモポリタンな都市部においてバリバリ、ガシガシ働いている多くの方々にウェルネス・ウェルビーイングは広まり始めています。

「ミレニアル世代にとって最も重要なこと」と言う調査において、家族の次に、友人よりもキャリアよりも、「ウェルネスが大事」とミレニアルたちが応えたと言う結果もあります。
https://www.siouxfalls.business/millennials-the-wellness-generation/

世界中で、ミレニアルを筆頭に、でもミレニアルズだけに止まらず、行動変容が起きている。
そして世界の価値観も変化しているのではないか。
そんな風に私たちには見えています。

きっかけはニューヨークとブロックチェーン

このnoteでは最新のウェルネス事情をご紹介して行きたいと思うのですが、ウェルネスは奥が深い。そしてウェルネスと言う限り、探求が終わらない活動でもある。少しずつ公開していきたいと思います。

なので、まず今回はウェルネスとの出会いから。

今回の新型コロナショックの前から、なぜ、私たちは人間の健康や幸せについて考える様になったのか。

それはMIKOの共同創業者の一人でグローバルにスタートアップ投資をしている者が、2018年春、ちょうど2年前にニューヨーク出張に行った時のことです。彼女の物語を以下に記載。

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当時ブロックチェーンの大型カンファレンスに出席していたのですが、1日中、ミッドタウンのホテルの中で8000人と籠もっている息苦しさを感じ始め、そこで、セッションの合間に何か別の面白いことができないか、とブルックリン在住の友人にチャットしてみたのです。

すると「最近私が行ってる面白いコワーキングスペースがあるからと行ってみて」と。

そうしてgoogle mapsに指示されるがままに到着したのが、人気のノーマッドエリアにあるThe Assemblageです。

向かいながらgoogle検索して見た記事によると、社会課題解決型スタートアップなどが集まっている、と。でも、到着してみると、社会課題解決界隈特有のほんわかさや「公的感」はなく、そこはとてもお洒落でかつ斬新で、それいて落ち着く雰囲気が漂っていました。

「予約はしていないのですが、ツアーはできますか?」とフロントの方に尋ねてみると、親切に案内をしてくれることに。でも「まず施設に入る前にintentionをセットしてね」と。玄関においてあった桶みたいなものを指す。

Intention、意図ですか。。戸惑いながらも「何か面白いことがあります様に」と、神社での拝礼を思い出しながら唱えた気がします。

そして、一歩踏み入れた瞬間から、圧倒。
これまで、The Wingなどの女性専用のコワーキングスペースやロンドン発の会員制サロンSoho Houseなども訪れましたが、その時のワクワクを超えていました。

まず、美しい緑が多く、「バイオフィリア理論に基づいてデザインされている」とのこと。
オーガニックfarm to table(地産地消)のカフェがあり、メンバーには朝食と昼食が無料で提供され、かつインドの伝統医学であるアーユルヴェーダ式のヘルシー食。さらには上のフロアにはノンアルコール専門のバーもあり、目にも優しいハーブベースのドリンクが提供される。「人と人が本当に繋がって会話をする」手助けをしているとのこと。
ヨガやゴング瞑想のクラスなども常備されている。
ラウンジエリアにはアーティスト風の方々が素足であぐらをかきながらクッションにパソコンを乗せて仕事をしたり、夜には政治アクティビストの講演、などのイベントが開催されている。
こんなにも自然に生き、働きながら、ウェルネス・ウェルビーイングに取り組めるところがあるんだ。

そして、ツアーの最後に、私がVC投資家だと言うことを話したら、紹介したい人がいる、と言われました。

そこでお会いしたのは、なんと、今回の出張で商談をしたかった分散コンピューティングネットワークを提供するブロックチェーンスタートアップのBlockstack(リクルートさんものちに出資)だったのです。

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(ちなみに、自立分散型社会を望み、ブロックチェーン技術の開発を行う方々の多くは、ウェルネス・ウェルビーイングにも関わっていることが多い。そんな繋がりについてもいつか書いていきたいと思います)

さて、こんなストーリー含めて、私たちそれぞれの原体験を皮切りに、MIKOはニューヨークやLAの友人やネットワークに聞いたり調査をしながら、ウェルネス・ウェルビーイングの探求を始めています。

そして、日本ではまだ目を引くムーブメントにはなっていませんが、その日は遠くないとも思っています。

ニューヨークやLAでは、ここ10年ほどで、The Assemblageの様なウェルネス重視の空間やビジネスがいくつも立ち上がりました。ちょうど、2008年の金融危機を一つに契機に、欧米の人たちは一度立ち止まり、自分たちの暮らし方を見直す様になったのか。

今では、瞑想センターのMNDFLInscape、よりホリスティックなウェルネスに訴求し、個別のウェルネスプランなどを提供するThe Well、サンフランシスコの女性専用のウェルネス・コワーキングスペース型のThe Assembly、ヘルスケアメンバーシップを提供するスタートアップのParsley Healthやフェムテックと言われる女性の健康検診不妊治療を提供するKindbodyなど、様々なウェルネスのビジネスが広まっています。

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(筆者撮影。The Wellにはwell(井戸)もある)

そして、多くの人が食のウェルネスに拘り、サステナビリティを重視しヴィーガン・植物ベース食を頂き(カフェラテに動物性ミルクをお願いしようものなら変人扱いされる程)、あるいは腸内環境を意識した食やketogenic食などを頂き(忙しい時は健康志向のファストフードサラダ専門店sweetgreenで済ませながら)。ヨガやピラティスだけでない各種ブティック系フィットネスー特にバレエと有酸素運動と筋トレを融合したバーエクササイズのバール(barre)あるいはHIIT などに勤しむ。

また、いわゆる身体のヘルシーだけでなく、より深いウェルビーイングの活動も増えていて、瞑想アプリを活用しながらメンタルヘルスなども意識し、時にはCo-Starなどの人気占星術アプリからの日々の助言について職場の同僚と語り合い、ヒーリングなども受けている。

それが新しい日常になってきています。そして、これは都市部の一部の層からより多くの方へと広まっています。プラスαのための活動としてではなく、必須の活動として。だからこそ、お互いに情報や思想を共有し合いながら、高め合いながら、進化している。

そんなムーブメントが起きていると感じています。

さて、このムーブメントを語る上で触れずにはいられないブランドをもう一つご紹介し、今回のnoteはお終いに。

2008年に女優のグウィネス・パルトロウがニュースレターとしてスタートした、その名もgoop。

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グウィネスが個人的にも関心を持っていた健康レシピやオススメ旅行先などをニュースレターとして発信することから始まった中、2011年には会社化し、現在はウェルネス関連の商品・サービスをキュレーションするメディア・コマースサイトを運営しています。

goopと言う社名の由来についてはグウィネスのイニシャル「G」と「P」に加えて、「成功しているインターネット企業は社名googleや当時のyahooなどにoが2つ入っているから」と言うエピソードもあり、何ともgoopっぽいですね。(そう言う考えやスタイルが、今では「goopy」と言われる様にもなりました。グルーピーのようなgoopオタクを表現することも)

ただ、耳にされたことがあるかもしれませんが、goopが紹介や販売をしている商品や療法は医学的根拠に基づかない、あるいは疑似科学疑似科学(pseudoscience)だとの批判を、これまでも多く受けてきました。
さらには、紹介する商品が高額で一般家庭には手に届かない、現実への理解が乏しい。多様性への意識もまだ低い、などとも避難されてきました。

それでも、2015年以降はNew Enterprise Associates (NEA)やLightspeedなどの著名ベンチャー投資家から累計で約80億円以上も調達し、大きなビジネスになっています。「in goop health」と言うウェルネスサミットも毎年開催し、チケット代金は高額ではあるものの、他多くの女優やスペシャリストの登壇の場を設けた大規模な祭典となっています。また、今年2020年には賛否両論の中も「goop lab」と言うネットフリックス番組も配信されています。

goopはウェルネスの業界への注目を高める役割を果たしてきた、と言える。そして、女性の健康に焦点をあてるなどの新しい概念も積極的に紹介し、広めてきました。

「女優のエゴプロジェクト」と揶揄されることもありますが、グウィネスも「お金を儲けるために始めたわけじゃないわ。コストが自腹だから、むしろ損をしているのよ」と以前から語っており、goopとして本当に共有したい思想がある様にも感じさせています。今の時代のブランド、特にD2Cにおいては、とても重要なauthenticityですね。

ちなみに、ルーズベルト米大統領が「アリーナに立つ人」というスピーチで使った「アリーナ(競技場)」と言う言葉があります。

TEDトーク「傷つく心の力」で注目の著者、ソーシャルワーカーそして大学院研究教授ブレネー・ブラウンも、何かに挑戦しようとしている人はみんな「アリーナに立つ人」と表現した上で、『外野からヤジを飛ばす人の意見はそこまで重く受け止めなくても良い』と言う考えも紹介していますね。

とにかく。

goopからの最大の示唆は、goop含めたウェルネスがここまでカルト的にも大きくなっている背景について考えることなのかもしれません。

ウェルネス産業の成長の根底にある、現代人の欲求は何なのか?

そして、冒頭の紹介の通りにウェルネス業界は大きくなっているだけでなく、どんどんと進化をしています。

「less goopyな」(goop過ぎない)ウェルネスの取り組みも増え、科学的・医療的エビデンスに基づくウェルネス情報メディアも確立されてきました。さらには、ウェルネスは一部の都市部に住む白人女性などだけのためではない、と言う強い認識も根づき始めています(HealHausDiveinWellTheCosmosなどが推進)。より多くの方がアクセスできる価格帯や利便性で提供されるウェルネスのプロダクトやサービスなども開発され、テクノロジーを駆使し、スケールするウェルネス・ウェルビーイングのソリューションが模索され始めているのです( #ウェルネステック )。

特に、新型コロナの影響を受けて、各種ウェルネスのサービスをデジタルに、オンラインに受けられるようになっていますね。

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(筆者撮影。『ヘルスケア・ウェルネスの公平性ー「ウェルネスの限界について」』と言うオンラインワークショップにて)

こちらのnoteでは、その様に進化しているウェルネス・ウェルビーイングのムーブメントを中心に紹介していきたいと思っています。私たち自身も、ウェルネス・ウェルビーイングは一部の意識が「高い人」あるいは一部の富裕層のためだけにあるべきものではない、と思っています。

加えて、日本でもこの様なウェルネス・ウェルビーイングのムーブメントが着火しつつあると感じているので、それらについても発信していきたいと思います。共に活動してくださる方も募集しています!


さて、今回の記事は、MIKOのファウンダー・創業者メンバーの一人でもある鈴木絵里子(普段は教育テック、働き方テック、デジタルヘルステックなどへの投資をするベンチャーキャピタルとして努める傍、MIKOの活動にワクワクしながら取り組んでいる)が実は書かせて頂いていますが、これからは他多様なメンバーと順に色々な議題について書いていきますので、どうぞ宜しくお願いします!

ウェルネスとは、色々な人と物が繋がった、多様でインクルーシブな未来だから。

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