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自分にとっての「レベル上げがし易い環境」を見つけることができたら、人生がぐっと拡がる

人前で話すのに緊張しないことが、自分の強みです。

ですが、この感覚はここ数年で身につけたものなんですよね。30代半ばまでは、人前で話すと汗をかいて声が上ずって大変でした。この頃の自分を知る人には、べらべらとマイクを持ってしゃべり倒す水野のイメージは全然ない筈です。

どうやってキャラ変したかというと、会社でも家庭でもないサードプレイスで、みずから志願し、司会進行をしたりイベントの企画をしたりする機会が多く得られ、そこで試行回数を稼ぐことができた結果、弱みが強みになりました。原理としては高校デビュー、みたいなのと同じです。

具体的には、2017年1月、34歳の冬のことです。「コルクラボ」というオンラインサロンに入ったのが転機でした。このあと、水野は人が変わったかのように、人前で司会したり、多数の人を巻き込む企画をしたりするようになっていきます。

コルクラボでは、様々な学びを深めるイベントが定期的に行われていました。入って半年は、出席したりしなかったりする、幽霊部員でしたが、ちょうど仕事が落ち着いた頃合いをみはからって、自分にできる、場の役に立てそうなことをしよう、と思いたち、バーベキューを企画しました。

前にともだちと行った、浜松町にある室内バーベキューのスペースがとても居心地がよく、そこでメンバーのみんなと交流できたらいいなあ、と思って企画したのでした。バーベキューじたいはとても盛会で、知り合いが増え、居場所ができた感じがしました。

そこから数ヶ月後のある日、「コルクラボで『合宿』をしてみたいんだけど、合宿部長やってくれない?」と佐渡島さんに声をかけられ、「やります」と二つ返事で引き受けた。たしか、本番まで2ヶ月をきっていた。しかし、決まっているのは日付だけだった。

そもそも・・合宿とはなんだっけ?というところから決めることになった。コミュニティオーナーである佐渡島さんから、とくに細やかなオーダーはなかった。ぜんぜんなかった。

スタッフィング、宿の手配、バスのチャーター、コンテンツの企画、などやることは山積みだった。仕事と並行して、イベントをつくっていたので、ちょっと考えられない忙しさだった。合宿前の1ヶ月は2日に1回は、メンバーの誰かと打ち合わせをしていたはずだ。

幸いにも50人を超える申込みがあり、なんとか無事に合宿を終えたあと、佐渡島さんが書いたnoteが印象に残っている。

コルクラボで、僕は何も企画しない。集まったクルーが、自発的に企画を立てて、動かさないといけない。自分たちがつくる人にならないと、何も起こらない。今回の合宿は、すべてクルーが、自分たちでつくった。宿へ行って、のんびり自由時間を過ごして、一緒に酒を飲むではなくて、みんなを楽しませるために、細部まで設計されきったアクティビティがいくつも用意されていた。つくった人も、受け取った人も、どちらもが楽しんでいた。

佐渡島さんは、コルクラボの主宰という感じがあるが、実際には何もしない。はじめは、本当に何もしないんだとびっくりした(笑)けど、何らかの企画をするうえで、佐渡島庸平をキャスティングし易い(しかもノーギャラで)というのは、プランをするうえで、かなり面白いカードだ。

合宿においても、いち参加者として接するようにした。僕がマンガ編集者を志しているわけではないのも要員としてはでかかったと思うけど、佐渡島さんを「神扱い」しなかったのが、結果的によかったなあ、と思っている。

こうしたコミュニティに集う人々は、さまざまなスキルをもっている。加えて、自分を変えよう、としている人が多いのが特徴だと思う。佐渡島さんに限らず、そうした人たちをうまくキャスティングする喜びは、ふだんの仕事とは全くちがう面白さがあった。

たとえば、一流コンサルタントに資料作成をお願いし、一流コピーライターにコピーをお願いし、大きな企業の経営判断をするような方と戦略を立てたりした。とはいえ業務外での活動なので、一歩間違えれば「やりがい搾取」になってしまうが、サードプレイスではそれもお互い様だ。やりたいことへの共感さえ生まれれば、常識的なハードルを超え、思ってもみないコラボレーションを生み出しやすい。

心がけたことととしては、コミュニティでの活動として誰かを巻き込む際には、できる限り1on1の場を設けた。みんながいる前でオファーをすると断りにくいからだ。幸いにもチームメイトとなり、何らかの活動をともにしたメンバーとは、その後も交流が続いている。一朝一夕の人脈とは違う、戦友のような存在が、たくさんいる。

こういうツイートもした。コルクラボは、僕にとって、「もうひとつの地元」という表現がしっくりくるような場になった。仕事でいそがしい時期があり、数カ月ぶりに訪れたとしても、ひさしぶり、と声をかけられ、違和感なく受け入れてくれる空気がある。

こういうコミュニティというのは、いろいろな形で世にあるが、その場限りの学びを得るセミナーのようでも、スクールのようにカリキュラムがあるわけでもない。とくにコルクラボには、学校のサークルのような、地元の友だちの集まりのような、あたたかさがあった。

過ごしていて思うのは、こうしたサードプレイスでは「信用を貯める」ことが肝要だなあということだ。たとえば会社では成果が求められるが、サードプレイスではそうではない。成果を上げようが上げまいが、会費を払って最低限のコミュニティルールを守っていれば、所属し続けることじたいは自由だ。

役に立つことを自分にできる範囲でしたり、誰かを手伝ったりすることで信用が貯まる。そうすると、機会が広がる。所属する目的は人それぞれだと思うが、たとえばヒエラルキーの構築をしようとしたり、不満をまとめて上申したりするような、「会社的ふるまい」は、空振りに終わることが多いように感じる。

それよりも、自分にできる範囲で手伝いをしたり、チームを組んだり、プロジェクトを立ち上げたりしちゃうような、ポジティブな種まきをするのが、おもしろくなるコツだなあと思う。

レベル上げがしやすい環境って、あると思う。僕にとっては、チャレンジをとことん肯定してもらえる、コルクラボでの経験がその後の人生を大きく変えることになった。

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