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マネジャーはつらいよ?!<後編>孤独を乗り越えろ

前回の続きです。

マネジャーの悩みの9割は「部下とのコミュニケーション」と書いていある本を読み、マネジャー研修でみなさんに聞いてみたら、本当に、悩みの9割近くが「業績」や「多忙」などではなく、「部下」にまつわる話だった、ということを前回は書きました。

今日はその続きで、マネジャーとして苦労がある中でも感じる「やりがい」を聞いてみたよ、という話です。


マネジャーの一番のやりがいは「部下のこと」

「悩み」のあとは、17名のマネジャーのみなさんに「やりがい」を聞いてみました。

「では、そんな大変な中でも、やりがいを感じることがあるとしたら、どんなことでしょうか?あの時、うれしかったなあ、やりがいを感じたなあ、と思った経験をひとつ、ポストイットにお書きください。」

「悩み」の話で盛り上がっていたので、「やりがい」は出てこないのではないかと、また心配しながら見ていると、みなさん、意外とすんなり書き始めました。悩みや愚痴を吐き出したせいか、すっきりした表情に見えました。

結果はどうなったかというと!

  1. 部下のこと:10名(59%) 
    部下の成長を感じた時、部下が困難な作業をやり切った時、部下へのアドバイスが役に立ったと感謝された時、顧客から部下が褒めらた時、など

  2. 顧客のこと:4名(23%)
    お客様からありがとうと言われた時、お客様の評価がよかった時、など

  3. 業績のこと:3名(18%)
    業績が良い時、利益が出た時、など

*回答者17名、一人1件ずつ合計17件回答

やはり、1位は圧倒的に「部下のこと」で10名の方が挙げました!
そしてまた、業績について回答したのは3名。業績、業績、上から言われている(だろう)割には、かなり少ない印象です。

「部下のこと」が書かれたポストイットは、文章が長い傾向にありました。エピソードが具体的で、「よかった」などの感情も書かれていて、「顧客のこと」「業績のこと」に比べると2倍程度、文字数が多くなっていました。

マネジャーの悩みも「部下のこと」ならば、やりがいもまた「部下のこと」というわけです。N=17だけど。

本当は孤独で共感しあいたい?

続いて、こんなことも聞いてみました。

「『悩み』と『やりがい』を書き出し、グループで共有しあった今、どんな気持ちですか?

気持ち・・・。
企業研修などで「気持ち」「感情」を聞いても、ほとんどが「思考」になるマネジャーが多い中、みなさんがどう答えるのか、またまたドキドキして様子をみていました。

結果はこうです!

  1. 共感した:14名
    みんな業務は違っても思ってることは似ていて安心した、みんな悩んでいることが部下のことで共感した、など

  2. すっきりした:4名
    聞いてもらったら心が晴れた、みんな同じ悩みでほっとすっきり、 など

*回答者17名、うち1名が2件回答し、のべ18名

おお!ちゃんと感情を書いています!圧倒的に「共感」が多く、次に「すっきり」が並びました。みなさん、このワークでよっぽど、心が動かされたのでしょうか。

現場作業を担う方々で、一見すると、近寄りがたい雰囲気の男性も多い中、このような言葉が出てくるなんて、私には少し意外でした。(そんな先入観を自分が持っていることにも気づきました。)

前回も書いたように、このワークのあと、「自分は、一人ではなかった」と大きな文字でノートに書いていた方もいらっしゃったんですよね。実は多くの方が職場では本当の悩み=部下の悩みをなかなか口にすることができずに、孤独を感じているのではないでしょうか。

異なる4社のマネジャーのみなさんがともに語り合う中で「会社や業務は違えど、マネジャーの悩みはみな同じなんだ」と気づき、共感しあう場面は、私にとっても心動かされるものでした。

なぜ会議で「部下のこと」をテーマにしないのだろう

マネジャー同士で語り合ったあと、「改めて、マネジャーとして、一番の課題はなんですか?」と聞いてみました。

  1. 部下との関係性:15名(88%)
    部下の話を聴く、話しやすい環境をつくる、自分の思いを伝える、など

  2. 業務改善:2名(12%)
    予算の達成、トラブル対応

いろいろ語り合った後に改めて聞いてみると、一番の課題として9割が「部下との関係性」を挙げたのです!!!

そのとき、ふと、思ったんですよね。

職場で定期的に行われるマネジャー会議は、ほとんどが業績達成にむけた進捗確認と今後の施策についてだと思うのですが、そもそもマネジャーが悩んでいることの8−9割が「部下のこと」ならば、なぜそのことをテーマに話し合わないのかな、ということです。

職場では言いにくいこともあるのでしょうけれど、これだけ部下のことで悩んで孤独を感じている一方で、「部下の変化」がマネジャーのやりがいで、解決したいと思っているのに、議題に上げないことの方が不自然です。

「業績達成のためにこれをやっていこう!」と決まったところで、「いや、若手が動かない・・」「部下との関係が・・」となったら、進まないわけですし。

悩みを語り合えば楽になる?

この研修のあと、私は「マネジャーの悩みの本質はなにか」ということが気になり、さまざまな企業のマネジャーの方にインタビューを重ねています。

まだ途中なので、まとまっていませんが、そこでは、こんな声が挙がっています。

「一番辛かったのは、年上の部下から、『なんでお前がおれの上司なんだ』と言われたことです。そこである研修のグループワークで相談したところ、違う支店のA課長から『もっとメンバーを頼った方がいい』と言われて、自分が、がんばりすぎていたことに気づいたんです。あれから少しずつ楽になりました。A課長は僕のヒーローです!」

「部下からの360度評価のコメントで数ヶ月落ち込んだことがあります。誰かに相談できる環境ではなく、一人で抱えていました。その後、異動してきたばかりの課長となんでも話せるようになり、『よくあることだよ』と言ってもらえて、本当に楽になりました。この経験から、マネジャー同士が部下の悩みを話せる場が必要だと感じ、部内で対話の会を立ち上げました。

共通しているのが、マネジャー同士で「部下の悩み」を話し合うことで「楽になる」という言葉です。

業績をあげろ、コンプラ対応だ、働き方改革だ、1on1やれ、・・・などと言われて、常に時代の変化の波がマネジャーに押し寄せる時代でも、マネジャーのみなさんが一番苦労しているのは「部下のこと」なのですね。

そして、マネジャー同士で語り合えるコミュニティを持つことで、もっと気持ちを楽に、もっとやりがいを感じられるようになったら、企業も変わるかもしれない、と、今、思っています。

またこの話題は、ときどきnoteで発信していくと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!




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