MikiNote

音楽雑誌&書籍出版社の国際部スタッフ採用がきっかけで、英日の通翻訳業を始めて3…

MikiNote

音楽雑誌&書籍出版社の国際部スタッフ採用がきっかけで、英日の通翻訳業を始めて30余年。元気なオバちゃん翻訳者の徒然なるまま書きっぱなしの無駄話(ときどき役に立つ)。お仕事のご依頼は info@quiem.net でお待ちしています!

最近の記事

どうも引きが強いようだ

通訳仕事が無性にしたいと投稿したのが10日ほど前。その直後に通訳仕事が入りました。強く願えば叶うものです。 ところが、この仕事、自分の通訳能力を疑うほど大変な仕事になりました。オンラインでのミーティング通訳なのですが、1回終わるごとに唸るほどの胃痛に見舞われ、毎回胃腸薬を飲む羽目に。 どんなに有名な大物アーティストのインタビュー通訳でも全く緊張せず、なんなら「お互い平等だもんね」くらいの厚かましさで通訳してきた私がストレスで胃痛になるなんて……自分が驚いた! あ、ちなみ

    • 無性に通訳仕事がしたい!

      アーティストの取材通訳から遠ざかって数年。どうしたわけか、最近、”無性に通訳仕事したい”病に罹っています(笑)。 もともと1年足らずコロラドの片田舎で生活して、すっかり日本語を忘れて帰国した程度のポンコツなバイリンガルですので、同時通訳なんちゅー高等なテクは持ち合わせていません。 しかーし、数多のミュージシャン、エンジニア、プロデューサーたちの取材を通して、四半世紀ほど逐次通訳テクは磨いたので、それなりの仕事はできます(たぶん)。 最近の”本当に英語を話せるのか?"レベ

      • 取材通訳という仕事

        少し前にテレビ番組用の映像翻訳をしたときのことです。これは海外取材で、現地の通訳さんを雇って取材を行ったようでした。 まず映像翻訳という仕事を説明すると、提供された映像データをクライアントが指定した秒数で区切って、そこで話されている会話をすべて翻訳して書き起こすことです。ゆえに、言い淀んだり、言い間違ったりしていても、そのまま書き起こすのが基本。 この目的は、取材内容を理解することと、編集ポイントを見つけることなので、テレビ局によりけりですが、映像も音声も粗いデータが提供

        • 久々の11時間耐久

          数日前のお話です。 最近仕事を始めた日本の翻訳会社の同じチームの翻訳者たちとの初オンラインミーティングを朝イチで終え(米国在住の方もいるため)、その会社の短い仕事を2本納品後、そろそろお昼ご飯を作ろうと思っていました。 そんなとき、海外の翻訳会社から「5時間後の納期で20分間の映像字幕の校正をお願いしたい」と連絡があり、20分の字幕校正なら5時間あればランチ後スタートでも余裕だなと引き受けました。 ところが、もらった映像データと日本語字幕のSRTファイルを古いバッタもん

        どうも引きが強いようだ

          WORDのディクテーション機能が便利

          先日、強烈な訛りで英語をお話になるインド人の映像翻訳をしました。もうね、ほとんど英語に聞こえない(泣)。 ただ、この方、非常にゆっくりとお話になるので、単語一つ一つのクセを見つけるとそれなりに理解できました。まあ、どこが句点なのか問題は発生しましたが。 とは言え、クセを見つけるまで頼ったのがWORDのディクテーション機能(インド英語の設定)。この設定、今回初めて使ったのですが、予想以上の聞き取り能力にビックリしたほどです。 何よりもヒンディー語のスペリングが強いので、話

          WORDのディクテーション機能が便利

          デジタル化のおかげ

          最近YouTubeよく見ているボイスコミック『兄貴の友達』。作者はなげのまいさんの言葉遣いが楽しくて、ついつい「この空気感を英語で表すとしたら……」と考えてしまいます。 同じ作家さんの『高良くんと天城くん』の英語版を海外サイトで見つけたので、あとで日本語と比較してみようかなと思いつつ、こういう刺激を簡単に得られるのも21世紀のデジタル化のおかげと実感&感謝中。 20代半ばで音楽業界の通翻訳者キャリアをスタートさせた芸歴30年超えゆえ、キャリアをスタートしてからしばらくはア

          デジタル化のおかげ

          そこはかとなくゲーム的な翻訳会社

          これ、ゲーム翻訳ではなく、翻訳会社の発注・作業・能力評価システムのことです。 昨年の夏から、ある海外の翻訳会社の仕事を引き受けているのですが、ここには特定の案件の翻訳チームの一員として依頼される仕事の他に、Open Projectsという公開案件があります。 この会社の場合、翻訳チームの一員としての依頼もOpen Projectsも、基本的には早い者勝ちのシステム。時差の関係で日本時間の夜遅くから真夜中にかけて新しい案件がアップされるため、気づいたときにはもう他の人が作業

          そこはかとなくゲーム的な翻訳会社

          スタイルガイドと表記一覧

          年始めにいきなり消滅した長期プロジェクトのおかげで、ここしばらくは、翻訳するときに参照するターゲット言語のスタイルガイドと表記一覧について考えています。 長年、編集者たちと近距離で仕事してきたせいか、表記一覧の存在に疑問を持つことなく、「あって当然」とすら思っていました。しかし、どうして必要なのかを深く考え始めると、いろ〜んなことに気づくようになりました。 雑誌であれ、書籍であれ、同一コンテンツ内での表記はできる限り統一するのが、出版業界の常識だと思います(編集者ではない

          スタイルガイドと表記一覧

          ドロンした仕事、私ならこうする

          前の投稿で予告した通り、私ならこうする的なことをツラツラと書いてみます。ただ、私は一介の通翻訳者。企画やマーケティングの知識は皆無ですので、ご了承ください。 1) 商品作りの準備 今回はWebサイト上で公開するロマンス小説の翻訳版が商品です。これを作るために必要なのが…… ●翻訳者(原文の翻訳を担当) ●校正者(翻訳された文章の校正を担当) ●SE(日本語アップ時における既存システムの問題解決担当) まずは翻訳者。 翻訳クオリティの基準設定、ワード単価の設定はもちろんのこ

          ドロンした仕事、私ならこうする

          長期の仕事がいきなりドロン

          本当に驚きました。クライアント側の理由で長期の仕事がいきなり消滅したのです。でも、「まあ、そうなるよな」と納得できることもあったりして……。 ことの経緯と納得できる理由は以下の通り。 この仕事は前回の記事に書いた機械翻訳を使った文芸翻訳。結局、それで提出される文章のクオリティがあまりに低いことから、機械翻訳を基に校正する方法と最初から翻訳する方法を翻訳者に選択させる方式に転換しました。もちろんギャラは違います。 最初の機械翻訳の校正翻訳作業が本当に大変だったので、迷わず

          長期の仕事がいきなりドロン

          〇〇することができる

          先月のメインイベントは文芸ものの機械翻訳の校正翻訳作業でした。14万ワードという膨大な量でしたが、なんとか3週間で納品。まあ、日々の作業時間が14〜15時間と過酷でしたが。 みなさんもご承知の通り、実務翻訳は機械翻訳と相性が良いため、いわゆるMTPEは校正作業がメインになります。そのため、直しの少ない翻訳だと1日に4000~5000ワードはクオリティを維持したままでこなせます。 ところが、文芸ものを機械翻訳にかけると、言葉の揺れ、漢字の開閉、翻訳拒否、前の文章を2度繰り返

          〇〇することができる

          ビジネス英語のアップデート

          出版社の国際部で仕事をしていた7年前と現在では仕事の仕方が大きく変わっていることに突然気づき、数日前から余暇時間にビジネス英語に特化したYouTube動画を見たり、流したりしています。 資料はほぼデジタル、ミーティングはZoomやTeamsが当たり前、議事録だって会議を録音・録画しておいて後でまとめられる時代です。それに対応した言い回しが生まれていてもおかしくないし、実際に生まれています。 私は過去に同じ出版社の国際業務を2度やりました。最初は1980年代後期。海外との連

          ビジネス英語のアップデート

          バイリンガルへの道7(最終回)

          さて、思いつくままに書き連ねてきたこのシリーズ。コロラドから帰国したところで終わりにしようと思っていたのですが、あの時点の私はバイリンガル中級よりちょい上ぐらい。その程度の実力ゆえ、帰国後に英語を使わなくなると会話力が徐々に低下して行きました。 しかし、その程度のレベルでも普通の日本人よりは英語を話せるため、大学を終えてから英語を使う仕事に就くことが叶ったわけです。 最初はオーストラリア初の私立大学の東京準備事務所。まだ生まれたばかりの大学に日本人留学生を送る拠点となる事

          バイリンガルへの道7(最終回)

          バイリンガルへの道6

          特に順番を決めず、思いつくままに書き続けているこのシリーズ。今回はある程度スムーズに会話できるようになってから、周囲の人によくされた質問について書いてみます。 お喋りバイリンガル初心者も、夏頃には無事に中級者に成長しており、町内の日系仲間ReikoさんやTaroさんとも日本語より英語で話すことが多くなっていました。英語と日本語のポジションが見事に入れ替わった感じ。 周囲のファミリーは既に私をアメリカ人と見なしており、お悩み相談されたり愚痴をこぼされたりと、本当に普通の生活

          バイリンガルへの道6

          バイリンガルへの道5

          私が住んでいたコロラドはザ・中西部。子どもの頃に好きで見ていたドラマ『大草原の小さな家』(原題:Little House on the Prairie)に似た風景が広がっています。 特に南部は平原ゆえ、あちこちに大きな牧場があり、カウボーイ、カウガールがたくさんいました。Marie & Duane夫妻が仲良くしていたとある家族も、町の中心部から車で1時間以上離れた草原のど真ん中で巨大な牧場を経営していました。 この牧場には何度もお邪魔して、リアルな牧場生活を垣間見ることが

          バイリンガルへの道5

          バイリンガルへの道4

          8月になると、Marie & Duane夫妻が唐突に「インディアン・マーケットに行こう」と言い出しました。これはニューメキシコ州サンタ・フェで毎年開催されるネイティヴ・アメリカンのアートフェスティバル。 M&D夫妻はネイティブ・アメリカン・アートが大好きで、自宅にたくさんのインディアン・ジュエリーやアート作品を飾ってあり、毎年このマーケットに行っていました。 コロラド南部からサンタ・フェまでは車で6〜7時間かかるので、午前中に自宅を出て、途中で休憩を挟み、夕方にサンタ・フ

          バイリンガルへの道4