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WORDのディクテーション機能が便利

先日、強烈な訛りで英語をお話になるインド人の映像翻訳をしました。もうね、ほとんど英語に聞こえない(泣)。

ただ、この方、非常にゆっくりとお話になるので、単語一つ一つのクセを見つけるとそれなりに理解できました。まあ、どこが句点なのか問題は発生しましたが。

とは言え、クセを見つけるまで頼ったのがWORDのディクテーション機能(インド英語の設定)。この設定、今回初めて使ったのですが、予想以上の聞き取り能力にビックリしたほどです。

何よりもヒンディー語のスペリングが強いので、話の途中にヒンディー語が入るとちゃんとアルファベットで出してくれます。それが不正確なスペルでも、そこからネット検索できるので大助かり。

英語に関しては、話者の発音によりけりでしょうが、今回の話し手さんの場合、ディクテーションさんは3〜4割は聞き取れないようで「えーっ、そこ、そう聞き取ったの?」と苦笑いする単語が並びました。そういうところに限って私の方が聞き取れていたりするので、そこは機械と人間の協同作業となりました。

実は、これまでこの機能を使ったのは設定のないものばかりで、フランス語やドイツ語のアクセントの英語、アジア系のアクセントの英語などでした。これはディクテーションさんの設定にないため、ほとんど使い物になりませんでした。

しか〜し、ディクテーションさんに設定がある言語に関しては、かなり使えます。たぶん、これまで「そこの訛りはちょっと……」と敬遠していたオージー英語も何とかなりそうな気がします。

この特定の「訛り」、実は発音やテンポだけじゃないんです。英語が公用語であっても、国によって文化が違うために表現方法が異なり、使用される単語も異なります。実は、この点が一番のネックだったりします。

少し前に「shingle tomato」という単語に遭遇したのですが、ネットで「shingle」を検索しても出てくるのは名詞の「shingle」のみ。30分以上かけて画像検索までしたのですが、これがまさか動詞で、「slice」と同じ意味とは露ほども思わなかったわけです。

この仕事、例のゲーム的なシステムの翻訳会社のものだったので、あとからこの翻訳の社内レビューが行われ、レビュアーに「この単語の意味を知らないなんて」的に指摘されました。そして悩んだ挙げ句の「シングルトマト」という翻訳文だけで驚愕するほどの低い評価をゲット。

最初から「shingled tomato」となっていたら動詞と気付き、画像検索でも「スライストマト」が出てきたはずです。ちなみに「shingle tomato」で画像検索してもスライストマトは出てきません。

「sliced tomato」を「shingled tomato」と表現する国がどこなのかは知りませんが、この一件で「自分の常識は他人の非常識」を改めて実感しましたね。

英語は多くの人が世界の共通語として認識している言語だからこそ、使う国独自の変化が加わっているのも仕方のないことです。テキストであれば、これまで通りにネット検索が最も有効です。

一方、音声の場合、これまでは異なる言語の発音や音のクセに関する知る限りの情報を駆使して、速度を下げたりしながら、必死に聞き分けていたのですが、WORDのディクテーションさんが優秀になったことで、翻訳時間もかなり短縮できるようになりました。

映像翻訳を行っている翻訳者さんでインド英語やオージー英語に慣れていない方、ディクテーションさんはオススメです!


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