見出し画像

No.216 戯れごと(3)「金蘭手の皿と皿立て・ステンドグラスのパネル」さん、ようこそ我が家へ・その3

No.216 戯れごと(3)「金蘭手の皿と皿立て・ステンドグラスのパネル」さん、ようこそ我が家へ・その3

No.214 No.215の続きです)

画像1

思い出の品々を乗せている三段に分かれたガラスのサイドボードは初めてのヨーロッパ旅行、イタリアミラノの家具店Simon(シモン)で購入した。サイドボードの上には、まあ、こまごまと色々あるものだ。他の箇所にある品々同様、高価なものばかりを置いているわけではない。100均ショップの物も、オマケの物もある。人との付き合いと同じ、社会的地位の高さや経済的理由は僕の中での「物差し」ではない。モノでも人でも、自分が「愛する」ものに、一目盛りがいい加減な物差しをなんとはなしにあてているのかもしれない。

画像20

二段目左側にあるガラスのペーパーウェイトは迫二郎(はざまじろう)さんの作品。母ユウ子の遺品の一つとなってしまった。

画像21

その二つ右のある木彫りの人形「能・羽衣」は、僕の両親と我々夫婦4人での奈良・京都への旅の途中、京都の静かな佇まいのお店で出会った。由理くんと僕の会話「素敵やね〜」「ホント、カッコいいね〜」を聞いていた父武が「一つくらい買ってやるか」。4人での旅も最初で最後だし、父武の珍しい言動だった。こんな経緯で、ここに収まっている。

画像22


漫画サザエさんのキャラクター「波平さん」は、確かペプシドリンクのオマケだったような気がする。ある時、塾内の僕の机の真ん中に悪戯っぽく、ちょこんと鎮座していた。中学3年生の佳世ちゃんの仕業だった。お茶目な彼女ももうすぐ「お母さん」になる。

画像2

画像3

僕の寝室は畳の小さな和室である。「ミニチュア・クリエーター工房てると」さん https://note.com/kbteruto/n/n9fa8475643f5 の作品「金蘭手の皿と皿立て・ステンドグラスのパネル」は、洋風・和風どちらの部屋にもマッチして、その輝きで心和ませてくれる。

画像4

画像5

我が家を訪れてくれた友人・知人にはキッチンにも招き入れて「掃除自慢」に付き合わせる。3年前だったか、由理くんの親友モコさんと旦那さんのアラカワさんがお花を持って来てくれた。グリルを開けて「どうです、アラカワさん。使っていないみたいでしょう」と自慢げに言うと、アラカワさんべらんめぃ調で「使ってねえじゃん」と、真顔で一言。「使ってますよ〜。昨日も鮭焼きましたよ〜」モコさんも含め、3人で笑った。グリルを開けるたびにアラカワさんの顔を思い出してしまい、微笑んでしまう。

画像6

お手洗いの鏡の半分は対角線にスモークになっている。本を読み始めると、戸も開け放って結構な時間を過ごすことになってしまう。人には見せられない、一人暮らしの気ままな部分が一番現れる空間だろう。

画像7

「熊本の怪人・坂本了さん」(No.082 No.083)の奥方「コトノキリエ」さんの手にかかると、夏目漱石もトランプ大統領も「叫び」の人も皆、便座に座らされる。4年前の九州旅行の際、熊本の住まいを訪れてマリリン・モンローを誘拐してきた。
手前のネコ二匹は、イタリア在住の友人「村木タカコさん」(No.147)の作品。タカコさんと旦那さんのサンシオくんとの出会いもまた、この小さい猫同様、とても大切なものだ。

画像8

冷蔵庫の側面上部は、100均の「ハリボテ野菜と果物」を両面テープで留めたものを中心に遊んでいる。アンリ・シャルパンティエさんの焼き菓子セットに入っていた木のエッフェル塔も見える。ゴミ箱に直行の運命を救ったことになるのかな。

画像9

同じようにお菓子「龍馬物語」の包装紙もゴミ箱行きを免れ、モネの小さなマグネットに四隅を止められ、満足げに彼方への地を見つめている。美術展を訪れ気に入った時は、図録と共にA4のビニールフォルダーを購入することが多かった。フォルダーが増えすぎたので、いつの頃からかマグネットを買い始めた。興味のある方は、画像を拡大して楽しんでください。

画像18

給湯器のスイッチの上に貼られたセザンヌのスティルライフ(静物)。

画像10

25歳の頃のような気がする。酒屋商売時代、バリバリの肉体労働者の僕は瓶ビール20本入り30kg近い重さのケースを持って、階段を一段一段を踏み締め4階まで登った。ケースを降ろし一息付き、渡邊さんのプレート横のチャイムを押す。玄関に出てきた渡邊さんの奥さんと会計を済ませ、ふと横を見ると、鮮やかな青色の小さな絵が目に入った。「いい絵ですねえ」との僕の言葉に「あら、嬉しいわねえ」と意外の念が少し含まれたような返事が届き「うちの画廊に掛けていた絵なの」の言葉が続いた。「渡邊さん、画廊をなさっているのですか。譲っては頂けますか」値段も聞かずに尋ねた。「あらあら、主人に聞いてくるわね」と奥の部屋に入り、程なく戻ってこられた。「主人、あなたの事珍しがっちゃってねえ。1万円でいいって」。元々いくらで画廊の壁にかかっていたかもしれなかったが、『いいって』とは値段をだいぶ引いてくれたと判断できた。後日取りに来ることを約策して、帰路についた。画家を目指す高校の同級生から、励ましのつもりで絵を買って以来のことだった。凄く心豊かな気持ちになったことを覚えている。由理くんの言葉「まっ、悪くないやんか」も得て、家のあちらこちらに掛けてきた。初めについていた額縁はかなり大仰だったので、最近額縁を外した。220mm×120mm(1号)この小さな絵もまた、僕の人生を見つめてきている。

画像11

この前の記事(No.215)でも少し触れた「児玉幸雄」の絵画(4号・  333mm×242mm)。義理の父、隆司さん(No.094 No.095 No.096 )から生前いただいた。隆司さんは絵が好きで、住まい福岡の画廊にもよく足を運んでいた。面白いことに、美術展には行かないそうだ。理由の言葉「買えへんやがな。観ていると癪に触ってくる」には、如何にもな返事で「なるほど〜」と感心(?)した。

画像12

その隆司さんが好きだった画家の一人が「塙賢三」で、画廊の展示会に行き「マジシャンと浮いている女性」の絵に出会った。「これ、信也くん(私です)に似とるやん。浮かされてるのは由理子(隆司父は「子」を付けて呼んでいた)やな〜」画伯自身も会場にいて隆司父が話しかけた。「この絵気に入ったが、もう少し小さく、そやな4号(333mm×242mm・上記の児玉幸雄の絵と同じ大きさ)で描いてもらえへんやろか?」とお願いしたそうだ。元の絵は6号か8号の大きめの絵で値段も高かったそうだ。かくして塙賢三画伯は、我々二人のために小さめの「マジシャンと浮いている女性」を描いてくれた。
我が家に来てくれたゲストの中で唯一「この絵って『塙賢三さん』ですか?」と尋ねてくれた女性がいる。僕の親友戸田くん(彼は自分のことをnoteの記事に絶対出すなと言っている。エピソードがあり過ぎるほどあるし、面白い男なので書きたいのだが…)の奥方泉さんである。「初めて言われました。よく分かったですね」と言うと「『ピエロの画家』として有名じゃないですか。『ちびまる子ちゃん』の作者『さくらももこ』さんもファンだそうですよ」と教えていただいた。天国にいる父隆司さんに報告したくなった話だった。

画像13

数年前、銀座の画廊で購入した「飛鳥」さん(女性)の作品。「修道院の時計」と名付けられている。2号(240mm×160mm)の小さな絵だ。額縁も含め、ちょっと変わった雰囲気が醸し出されている。いずれ大化けする画家かもしれない。

画像14

画像15

スコットランドレンタカーひとり旅の途中で通りかかった小さな街の小さな雑貨屋さんで、この2枚の小さい絵に出会った。作者は同じで女性と言うことだった。上のお城の絵は110mmスクェア、羊の方は90mmスクェアの絵で、街の名も画家の名も覚えていないが、値段は覚えている。日本円に換算して一枚4000円ほどだった。家の壁にかかっている今「一期一会の思い出」と言う矛盾が楽しい。

画像16

画像17

「前田麻里」さんの絵を、額縁付きと無しで撮ってみた。大きさは8号(455mm ×333mm)。家の中では最も大きい。数年前のお正月、宇宙での予期せぬさすらいを描いた映画「ゼログラビティ」を観た後だったからか、この絵画の綺麗な青に惹かれて、少し思い切った衝動買いをした。ひと月ほど前、銀座シルクロード画廊で開催されていた個展で、作者の前田麻里さんと2年ぶりの再会を果たし、カレンダーを頂いてしまった。僕の目の前でサラリとイラストとサインまでしてもらった。
スマホの写真に収める時、額縁なしで取るといい感じに仕上がることが多い。先日、三菱一号館美術館で開かれた「イスラエル博物館所蔵 / 印象派・光の系譜 」を観に行った時の話である。美術展の中で15点ほど撮影可能で、僕も手を伸ばしながら、額縁なしで絵画をiphone10の中に収めていった。横に立っていた、僕と同年輩の女性から「お上手ですねえ。額縁を撮らないんですねえ」と感心された。ラインの交換をして、後で15枚の額縁なしの絵画画像を送付した。

画像19

こんな風にしてnote用の記事をまず、evernoteで書き進める。バックグラウンドミュージックに、amazonmusicでジャズかクラシックを流しながらのことが多くなった。
「金蘭手の皿と皿立て・ステンドグラスのパネル」のことからどんどんと外れていった。深く意図せずに、3回に渡って我が家の装飾品や思い出の品々の記事を書き進めた。
さあ、次は何を書こうかな?


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?