見出し画像

みえない下地の生み出す深みとリアル感

久しぶりに風景画を描いた。

最近は針と糸を使った作業に
夢中になっていたので
机にはその材料が置いてある。

だけどそれを脇にどけて
スケッチブックを開いた。

作業BGM代わりに
おしゃべりYouTubeを聞いていたら
その固定画面を描きたくなったのだ。

水彩絵の具での風景画は
何年ぶりだろう?
思い出せないくらい
長い時間が経っている。

小学生の頃、母が何度か
写生に連れ出してくれた。

紙の上に描き出す景色を
両手で枠を作って切り取り
イメージ構築する
そのやり方を学んだ。

風景を平面に描くとき
奥行きを感じさせるものを
バランスよく配置すると
リアル感が増す。

下地を全体に塗り
大まかな色を大胆に素早く
大筆で置いていく。

細かい描写をしたくなるが
まず後でほとんどみえなくなる
隠し色を置いていく。
それが絵の深みを決める。
下地がないと薄っぺらくなる。

漫画ちっくな線画イラストの
軽い仕上がりの味は
隠しカラーを取り除き
その深みをわざと消すから
出てくる独特の軽さ。

どこまで深みを減らせるか
その快感も好き。
だから線画も大好きだ。

風景画を描いていると
絵の具の色を選ぶ手の動きが
自動化されている感覚になる。
そういうとき「我」はない。

絵の具だけにこだわらず
ペンも使って描きたい線を
どんどんのせていく。

たくさんの層が生まれて
紙の上に作られていく。
デジタル描画ではできない
混じりの厚みが形成される。

「やりなおし」を矢印ボタンで
できない緊張感を楽しみながら
挑戦的な色ものせていく。

リアル感を増すために
必要なのは光と影。

暗さを強調すると周りが引き立ち
明るいハイライトを入れると
画面上に見えない太陽の
存在感が描き出される。

人生の縮図だな、と思う。

今回はここまで、と筆を置き
離れて眺めたときに
納得がいかない場所がある。

「もっと適切な表現ができるはず」

と違和感を感じてしまう。
それがまた成長の糧になる。

冬晴れの朝。
白湯を飲んだたらストレッチ。

素敵な日曜日をお過ごしください。

(はてなブログ「アレコレ楽書きessay」2023.1.29 転載)

Grazie 🎶