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結局、フルーツって身体に悪いの?

「フルーツは太りやすいから食べるな」
「果糖だって糖なんだから太る」

なんて聞いたことはありませんか?

一方で「フルーツはビタミンも繊維も取れるから食べましょう」なんて言ってる人もいるし、いったいどっちの情報が本当なんだろう?

今日は、両者の主張の言い分を見ながら、この決戦に決着をつけたいと思います。

◆登場人物の説明

栄養素の話って、ややこしい名前がたくさん出てきて、それだけで「うえぇ…」って拒否反応示しちゃう人も多いです。私もそのタイプなので、なるべくシンプルにいきますね。

登場人物:
①ブドウ糖
②果糖

どちらも炭水化物が分解されてできる糖の仲間です。ブドウ糖はグルコース、果糖はフルクトースとも言われます。覚えるのはどちらかで大丈夫。

人間の身体は、主なエネルギー源としてブドウ糖(ご飯などの主食から摂れる)を優先的に使います。筋肉も脳も、使うのはブドウ糖。脳に関してはブドウ糖しか使えません。

そして、私たち人間はいつライオンに追われても全速力で走れるように、血液、臓器、筋肉の中にブドウ糖を蓄えています。だってほら、大都会に住んでると、信号待ちの時にライオンに追われることもあるでしょ?

冗談はさておき、強盗から逃げる時や電車に遅れそうになった時にすぐに走れるのも、筋肉や血液の中に既にエネルギー源が備えられてるからです。

ブドウ糖が身体に入ると血糖値が上がり(=血流の中の糖が増える)、使われたり身体の別の部位に送られると血糖値が下がります(=血流の中の糖が減る)。

ブドウ糖は悪者ではなく、人間が生きていくために必要な糖です。例えば、血糖値が急に下がれば、身体が「これ以上動くと糖が不足してマズい!」という信号を送って脳をシャットダウンするので失神します。

一方、果糖(フルーツなどから摂れる)は、血液に入る前に肝臓で吸収されるので血糖値を上げません。肝臓で脂肪に変換されます。脂肪も身体にとっては必須の栄養素なのですが、程度がひどくなれば脂質異常症などになると言われています。

◆「フルーツは避けろ」vs「積極的に摂れ」

「フルーツは避けろ」という主張は、果糖が肝臓で脂肪に変わる点を指摘して「健康に悪い」とすることが多いです。糖質の量を超絶厳しくコントロールしなければならないボディビルダーの人たちにも「フルーツは避けろ」派が多いような気もしますね。

また、「果糖だって糖なんだからダメ!」という主張もあるのですが、これは糖や身体の関係をよく理解できておらず、糖質制限賛成派に多い主張です。果糖とブドウ糖では働きが全然違うので「糖だから」と一括りにしてしまうのはナンセンス。

先ほど説明した通り、ブドウ糖は身体や脳にとって必須の栄養素。糖を悪者扱いするのはよくないよーという話は以前まとめているのでこちらをチェックしてください。

一方、「フルーツは積極的に摂った方がいい」という主張の根拠は、ビタミン・ミネラル・食物繊維・水分など、不足しがちな栄養素を食事からまとめて摂れること。

フルーツは高いと言われますが、マルチビタミン+マルチミネラル+食物繊維サプリを買うくらいなら、フルーツを食べた方が安いです。

中には血糖値の上昇を抑えるフルーツ(ベリーなど)なども明らかになってきていて、フルーツを食べることのデメリットよりも、メリットの方が勝ると考えていいでしょう。

◆避けるべきは、フルーツではなくジュース

「フルーツは良くない」という主張をしている人たちによくある勘違いが、フルーツと果汁ジュースを同じものとして扱っていることです。これは絶対ダメ。

多くの果汁ジュースには「果糖ぶどう糖液糖」(果糖とブドウ糖が混ざった液)が含まれています。高フルクトース・コーンシロップとも表現される天然甘味料で、ヨーグルトやジュースによく入っています。

これが血糖を爆上げするんです。
肥満や糖尿病の原因
として注目されています。

そもそも、なぜ、果汁ジュースはフルーツを買うよりも安いのか考えたことはありますか?

オレンジを1個絞ると、ぎゅうぎゅうに絞ってもコップ半分も埋まりません。コップいっぱいのオレンジジュースを作ろうとすれば4個も5個も必要です。
自分で搾ったオレンジジュースをそのまま売ろうとすれば、たくさんのオレンジが必要なだけでなく、絞る手間、ボトルに詰める手間が余計にかかる。

それなのに、生のフルーツを買うより安いですよね。

なぜそんな魔法のようなことが起きるのでしょうか?

果汁の量を減らして、それよりも安いシロップ(果糖ぶどう糖液糖)を加えているからです。生産コストは抑えられるし、甘さが増えて消費者は喜ぶし、生産者側から見れば一石二鳥。

「フルーツの代わりになると思って飲んでたけど、裏の食品表示を見てみたら全然違うものを飲んでいた」ということが健康志向の高い人たちの間で頻繁に起きているんです。

◆フルーツは身体に悪くない

私は、色々な観点の知見をまとめた結果、「フルーツは積極的に摂るべきだ」という姿勢をとって指導をしています。だって、本当にフルーツが身体に悪かったら人類はとっくに滅んでいると思いませんか?

伝統的な夏の風物詩が「スイカ」だったり、大切な人へのギフトが「フルーツの盛り合わせ」なんて文化がある日本人から真っ先に滅亡しているはず。

フルーツは、現代の私たちを取り囲む「健康食品」よりも、何百年も何千年も長くこの世に存在し、人類は進化の過程でずっとフルーツを食べてきました。

肥満が問題になり始めたのは、たったここ数十年の話。

現代人が抱える肥満問題の原因は、フルーツ以外にあります。フルーツを避けるべきかどうかを考える前に、もっと他の基礎的なことを改善する方が優先です。

・椅子に座る時間を減らす
・1日8時間寝る
・加工食品を減らす
・ジュースをフルーツに変える
・バランスの取れた食事をする
・コンビニ弁当やインスタントヌードルに頼らなきゃ時間が足りないライフスタイルを改善する

など…

ピンポイントに焦点を当てたマニアックな応用編ばかり話題になりがちですが、流行がどう動こうと、まずは基礎を改善していきましょうね。

と、バナナとキウイを丸かじりしながらこの記事を書いている私からのメッセージでした!

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