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低音、低速、オウム返しが取材のコツ/作家の僕がやっている文章術053

インタヴューのテクニックのお話です。

相づちの打ち方を工夫するだけで、取材相手から引き出したかった回答や、想定していなかった興味深い回答を得られることがあります。

取材相手が話しているときには、必ず相づちを打ちます。

相手が夢中になって余計なことまで話し始めたときには、相づちの音程を相手よりも下げます。さらに相づちのスピードを遅くします。

低いトーンで、ゆっくりと相づちを打つわけです。

「落ち着いてください」という信号を発するのです。

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低音の問いかけ術。低速の問いかけ術です。

オウム返し法も、相手を落ち着かせる相づちテクニックです。

「私、あわててしまって猛スピードで走ったんですよ」
「なるほど、あわてたんですね」
「そう、あわてていたんで、私が犯人だと勘違いされないかと思って」

このオウム返し法では、取材相手があわてたという時点にいったん戻しているわけです。

時点に戻すことで、犯人だと勘違いされないかと心配になったという気持ち(本心)を引き出すことに成功したのです。

「走ったんですね」

と相づちを打つと、相手はその先へと話を進めてしまいます。

発言のどの言葉をオウム返しするかによって、抜けてしまった話を取り戻せるか、それとも話題が先へ進展するかが決まります。

ここをコントロールするのです。

さらに、有効なテクニックをお話ししましょう。

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