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作家の僕がやっている文章術016   「ですが、です」を文章には書かない

逆接なのに順接になる日本語

「~ですが、~です」は話し言葉では、逆接の意味に捉えられずに、順接として会話が続くことがあります。

「~で、~だけど、~なんだよね」という話し言葉もよく耳にします。

継続の助詞が連綿と続き、転換あるいは逆接の接続詞で会話が続くことはよくあります。

次のように文章を書くことはありませんか。

<例文1>私は岩手県宮古市の出身で、大学進学をきっかけに東京に来たのですが、就職したのも東京の企業で、都会への憧れがいつしか日常になって、その日によっては、故郷の景色を忘れていることもあるのですが、ふとしたきっかけで、東北の匂いというか、風の肌感覚というか、岩手の山々の景色や海の香りを思い出すことがあって、帰りたくなることがあっても、新幹線の旅費が高いので、あきらめてしまうことがあるのですが、やはり故郷は懐かしいもので帰りたいものだと思います。

読点「。」がなく、一文で書かれています。

私はこうした文章を「一気文」と呼んでいます。

たどっていけば意味は解釈できます。

話し言葉で交わされれば、聞いている時間と話者の時間は同期しているので、意味が取りにくいことは避けられます。

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しかし前文と、後文とに意味の関連がないのに一文にまとめてしまうのは、読みにくく、何を言いたいのか分かりにくい文章になります。

キーポイントは「が」「か」「で」「あり」「や」「の」などの接続助詞です。

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