楽曲コンペ:時間軸の考え 〜その1〜

初歩的なものですがコライトで気になったのでポストします。

時間軸:

・イントロ

ディレクター等セレクターは数多くの楽曲を試聴するのでイントロは10秒程度に収めて聞き易くするのがベストです。歌入りの箇所よりもオケの密度、厚みやテーマなどしっかり打ち込むと聞き応えがupします。逆に歌入りの箇所はあまり飽和させずにしっかり歌を聞かせる情報量に整理します。

・サビ

曲あたまから60秒あたりをサビ入りに設定します。Bメロの長さ調整もこのあたりに設定すべくB後半からの長さ調整を行います。サビまでの到達時間が長いと良いHOOKでもあまり印象的になりません。

・サイズ

90秒(89秒) TVサイズを意識して制作しておくと後から何かと融通が聞いて便利です。以前制作したクロスメディア系アニメ曲の現場でTDフル版を制作した後に、切り貼りしてTVサイズを創る必要が生じた事がありました。元デモをベースに、という事になり元デモが90秒(89秒)でスムーズに作業が進行した記憶があります。90秒と制約を持った中での制作を続ける事でレベルアップを測れるというのもあります。

あくまでコンペ用作品の時間軸の定義ですが、改めて策定した時間軸という縛りを踏まえ制作していく中、この「制約」というのがとても大事と考えます。楽曲のイメージもそうですが、例えばサビは4563で必ず9th〜という制約の中で瞬時にどれだけ多様性のあるメロディーのアイデアを考える事が出来るか、という事がとても大切であります。

そしてコンペという特性上「良いイメージの楽曲にたどり着く事が出来なかったらあっさりそのコンペを諦めて次に進む」か、それとも「楽しんで少し違う系統のものに仕上げて参考曲とは違うアプローチで攻める」という楽しみを以って制作を進行するか、という決断も重要になります。

HOOKの弱いテーマのまま進行して2度と世に出ないレベルの曲を完成させてしまうよりは、書き下ろしで選考漏れしてもストックでチャンスを伺うという意味では時には参考曲から逸れたアイデアを構築してみるのも良いと思います。

当然サビから制作しアイデアの純度を自分なりに解釈して「全体を仕上げるに事足りるポテンシャルが有るか否か」を判断してから次に進むのですが、時には制作を中止して次に進む、という決断力もコンペではとても大切です。そしてサビのファーストセッションがDAWを立ち上げる事なくイメージの中だけで判断出来るとしたなら、とても効率的です。

「直近の書き下ろしコンペに受かる、落ちる」という事はさほど重要でなく「如何にヒットポテンシャルの高い楽曲を数多くストックしておくか」という事がとても大切であり、コンペ制作の最重要課題だと強く思います。自信のある渾身の作品が不採用となっても特に焦らず、自分の才能を信じて良作を継続してクリエイトし続けて下さい。良作が数多くクリエイト、ストック出来たとしたら、決定率も自然と上がってくるのでは?と考えます。

楽曲の利用開発に関してはまた後日コラム致します。

P.S.
mv紹介:

東京女子流 / おんなじキモチ
作詞:黒須チヒロ、作曲:藤末樹、編曲:松井寛
https://ja.wikipedia.org/wiki/おんなじキモチ

A面、タイアップ等、取れるとAL、DVD、リミックス等リリースアイテムも増えます。クリエイターの方はB面でなくぜひA面へチャレンジしましょう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?