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SNS なんて捨てちゃって(あるいはタイムラインの弊害)

いらないもの。
物理的だったり、形のないものまで、いろいろありますが、いらないものは捨てた方がいいです。
ところが情報社会では、このいらないものの選択が難しくなってきている。

私は今年で45歳になります。2ヶ月前から目の具合が悪く、体力も年々減衰。1日で使える時間が限られてきました。
そうでなくても、自分の子供をはじめ、若い人には人生を楽しんでもらいたいと思いこそすれ、時間を浪費するようなことにはなってもらいたくありません。

読みたい本があるなら、「読み放題サービス」で無料の本を漁っている場合ではない。
大好きなロックの歌があるならそれを聞いて元気を出すべきだし、YouTube の関連動画を検討している場合ではない。
ゾクゾクする映画が好きならそれを見るべきで、見放題の Netflix や Amazon プライムで、リモコンを延々とカチカチ鳴らしている場合ではない。
これらは正論ですが、実際には、なかなか切り離すことができにくくなっています。

さて、いらないもの、人生から切り離すべきことが確かにありますが…ではクイズです。
「情報社会で本当には必要ないもの」とは何でしょう?

私の答え。「タイムラインの情報」。

Facebook も Twitter も Instagram も、タイムラインに「気を利かせすぎて」います。自分のフォローしている人ではなく、「フォローしている人がいいねした情報」や、「フォローしている人がリツイートした内容」をはさんでくる。また、「もしかしてこれって興味ない?」とトピックのおすすめをはさんでくる。広告をはさんでくる。政府のお知らせをはさんでくる…。

情報に、情報をはさむ。はさむ、はさむ、はさむ…。
そして人生の目的から、気がそらされていく。大げさではなく。

SNS が、人が運営するサービスである限り、「タイムラインの情報」には雑音が入ってきます。
すなわち、「ある程度の広告」、「ある程度の滞在時間を引き伸ばす技術」、あるいは、SNS そのものを利用して、自分の目的を果たそうとする人、または企業のメッセージ。

SNS は、「雑音を可能性のある情報」に仕立て上げることが実に上手です。
ただ、ちょっと立ち止まってみましょう。

振り返ってみれば、「ネットで手に入るであろうと期待している情報」は、検索し、ハッシュタグを活用し、あるいは必要なツールを駆使すれば、高い確率で手に入るのです。それは確かです。

ここでいう必要な情報というのは、SNS やニュースサイトで目的としている情報のことで、その他の「可能性のある情報」のことではありません。
SNS は本当には必要としていないことまで、オブラートに包み、きれいにパッケージ化してスマートに送り込んできます。そこが問題です。

耳障りの良い音楽に人は酔いしれるのではありません。
全身にアドレナリンが駆け巡り、正真正銘、胸が震える音楽にだけ感動を覚え、それは長い時間、心にすみついて離れない。

そういった音楽、映画、文学、漫画…あらゆる「ソフトウェア」は確固たる目的意識があれば、到達できる。そのために費やす時間は年々、短くなってきていることは、望ましい社会の形だと思います。

「雑音」…目的としている「ソフトウェア」に達するまでに見聞きする「ノイズ」に、人生の時間を浪費することは危険なことです。翻弄されるがまま、ネットサーフィンをしていれば、自分の立ち位置すら分からなくなります。「ツイ廃」とはまさにこのような状況でしょう。

SNS は、スーパーで手に入る、安くて、簡単に酔いしれることができるチューハイ、缶カクテルのようなもの。情報チューハイ、情報缶カクテル、です。

実際には、SNS の情報のほとんどが無料で手に入りますから、お酒よりもっと気軽に、すぐに酔いしれ、いい気持ちになり…(タイムラインをひたすらスクロールして)、翌日ソファの上で、または布団にくるまった中で、はっと目を覚まし、大事な時間を無にしたことに気がつくのです。

若い人はラジオを聞かないと言われます。私は若くはないですが、ラジオをつけっぱなしで仕事をするのは苦手です。どうしても耳に入るものは気になります。そこで仕事中はラジオをつけません。結果、仕事に集中できます。

SNS も簡単に心地よい情報を流してくれます(タイムラインです)。時には自分が選んだ人たちの情報に眼福し、おすすめのトピックや曲や番組に興味を持つのもいいでしょう。ただ、浸りすぎるのには、注意…。そもそも本当に真剣に情熱を傾けるべき何かがあるなら、そちらに向かうべきです、SNSなんて捨てちゃって。より正確に言うなら、タイムラインなんて気にしないで、アプリを閉じてあなたの人生に向き合おう、ということです。

SNS の危険性というと、見知らぬ人と出会うことばかりが言われがちですが、情報に酔いしれてしまわないで、ということも伝えるべきだと思います。何しろ、酔いしれている時はその他のことは何も分からないという点で、アルコールとそっくりではありませんか。

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