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ーCreator's Interviewー 古後公隆さん (作曲家・編曲家・ピアニスト・チェリスト)

【第1回】音楽家の母親の影響で幼少期から始まった音楽人生
【第2回】リスナーが想像力を発揮できるような曲作り
【第3回】映画「ミュジコフィリア」について
【第4回】これから挑戦してみたいことは、実は…

【第4回】これから挑戦してみたいことは、実は…

<大津> 先ほどの無声映画、そして絵本コンサートでの即興演奏、映画やゲーム、テレビ番組、CMなどの様々な映像作品、といろいろな音楽制作に携わってこられた古後さんですが、古後さんが今後してみたいなと思うことなどありますか?
<古後> そうですね。即興演奏での表現活動はライフワークとして行なっていきたいなと思っています。これまで商業音楽をずっと作ってきて、ふと振り返った時に「自分のオリジナル曲」という呼べるものがあまりないなあと思うようになってきて、これからは自分のための創作をしていきたいと思ってるんです。その中で、無声映画や絵本に音楽をつける、というのは、自分の中でもとても自然なかたち、楽しくやれることの一つだと感じています。
<大津> 私も同じようなこと考えてますね・笑。そいうことを考え始める世代なんでしょうかね・笑?「残りの人生の中で、あとどれくらい作品をつくることができるだろうか」などと、考えることが多くなってきて。コロナの影響もあってか、表現することの尊さをより感じ、だからこそ、1曲1曲の中で、自分が本当に大切に思うことを表現したいなと。
<古後> 大津さんも、タナベサオリ(※イラストレーター)さんと一緒に映像作品、つくられてますよね?あれは、何かオーダーがあってつくられているのですか?
<大津> タナベサオリさんとは、彼女の絵と、私の音楽を使って「フィルム絵本」と題した作品を、もう2008年頃から少しずつ作ってきているのですが、それは100%自由にやらせていただいてます・笑。即興と通じるものがあるかもしれませんが、私もタナベさんも簡単な打ち合わせはしますが、詳細は決めずに、あえてゴールを決めないでそれぞれがつくってゆくので、いつもどんな仕上がりになるのか楽しみなんですよ!
<古後> 今は、もう自分からは好きなことをどんどん発信できる時代じゃないですか。そういう意味では「本当に好きなことがなんなのか」が、問われてる気がするんですよね。
<大津> 確かにそうかもしれませんね。結局は、ひとりひとりの価値観がなんなのか、そこに共感してくれる人にこそ、作品を届けたいと思いますよね。古後さん、他に何かしてみたいことはありますか?
<古後> そうですね。演奏も作曲もしていきたい気持ちはあるのですが、実は、音楽理論の本も出版したいと思ってるんです。
<大津> 音楽理論ですか!
<古後> 理論といっても堅苦しいものじゃなくて、でも、演奏なりなんなり、「少しでも音楽に携わってる人向けに、楽しく読めるものを書きたいな」と。「航空機の設計図」を見せてあげる感じです。
<大津> 「設計図」ですか?
<古後> はい。航空機ってちゃんと設計してそのとおりにつくらないと飛ばないじゃないですか。それと同じように、音楽もちゃんと設計図があって、その設計にもちゃんと意味があって、そこを理解しつつきちんと組み立ててゆけば、ちゃんと音楽が完成するんだよ、ということをわかりやすく伝えられたらいいなと。
<大津> 確かに曲の構造だったり、基礎の部分って、つくる側としては当然知ってることで、あえて人に伝えることはしませんけど、そこを探ることで、より音楽の素晴らしさはわかっていただけそうな気がしますね。
<古後> そうなんです。僕は、日々、曲の分析とか、構想を練ったりとか、そういうことをする時間が大好きでたまらないんですね。
<大津> 私も好きです・笑。私の場合は言葉とメロディーの組み合わせに反応しやすく、CMのサウンドロゴとかにツッコミをいれたり、逆に感動したりしてます・笑。やはり作曲家ってそういう人が多いのでしょうかね・笑。古後さんの「好き」が凝縮された音楽理論の本、楽しみにしています! 本日はありがとうございました。
<古後> ありがとうございました。

【古後公隆プロフィール】

1976年11月13日京都府宇治市生まれ。4歳よりピアノ、5歳より作曲を始める。
1994年、京都市立芸術大学音楽学部作曲専修に入学。1997年、同大学中途退学。
2000年より、テレビCM、ゲーム音楽、プロジェクションマッピング、ミュージカルなど各方面に楽曲を提供。2011年代以降はサイレント映画の伴奏者としても活動しており、チャップリンヒッチコックら20世紀初頭の歴史的監督作品の修復版世界初公開・日本初公開など数々のワールドプレミア・ジャパンプレミアに携わる。サイレント映画に声優がライブで声を当てるイベント「声優口演」では、2012年以降、羽佐間道夫野沢雅子山寺宏一その他多くの人気声優とたびたび共演し話題となる。
京都造形芸術大学(現京都芸術大学)講師(2008年~2012年)
大阪音楽大学短期大学部講師(2020年~)
大阪音楽大学・講師(2021年~)

〜informarion〜
2022年3月5日
『絵本と読み聞かせとコンサート』
開演14:00 入場無料(要整理券)
和歌山県有田川町地域交流センターにて

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