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画家・森田美子さん ”自分の絵”を追い求める創作活動

三⽊美術館の2階『galleryアートスペースmiki』を今月から飾るのは森田美子さんの作品です。それに先駆けこれまでの活動についてお話を聞かせていただきました。
展⽰期間:2024 年4⽉25⽇(木)〜5月19日(日)

「日本画を描くことで、自分自身を見つめる」そんな言葉が相応しい森田美子さんの創作活動

―三木美術館は多くの人にアートをもっと気軽に楽しんでもらえるようにと、5階のスペースを使って定期的にお教室を開いています。なかでも水彩画教室は5年以上も開講が続いている人気の教室です。この教室で手ほどきをしてくださっているのが神戸在住の森田美子さん。まずは「絵画、美術」との出会いからをお聞きします。

子供の頃から絵を描いたりするのが好きで、中学では美術部に入っていました。単純に絵を描くのが好きという気持ちで始め、大人になってからは趣味のようなものとして続けていましたが、結婚しても出産して子育てがあってもやめることはありませんでした。まして「将来、画家になろう」と考えたりしたこともまったくなかったのですが、気づけばいつの間にか「絵は一生切り離せない」と思う存在になりました。
そして二人いるうちの下の娘が小学校を卒業すると同時に京都造形芸術大学に入学。洋画を2年間学び、その後日本画に変更して4年間、通算6年間の大学生活を送りました。主婦でもあり母親でもあったので、毎日家を空けるわけにはいかないので、通信コースを選択していました。それでも年に30日間ほどはスクーリングが設定されていました。その時ですか? もともと家族は私の美術活動に対して理解があったので、夫も娘も本当によく協力してくれました。それこそ娘たちはご飯を作ってくれたりしました。だから私も無我夢中で勉強して、最短で卒業をしたんです。

―それからさらに絵と向き合う時間が増えていったということでしょうか?

はい。時間もそうですし、色々な形で触れ合うことができるようになりました。絵画教室もそのひとつです。現在、私は三木美術館(兵庫県姫路市)で大人の方に水彩画をお教えしていますが、その前から宝塚造形教室(兵庫県宝塚市)というところで子ども達に絵画指導をしています。大学に通う前から数えて20年間くらいはサポートという形で携わり、その後は前任の方から引き継いで私ともうひとりの2名で運営しています。子ども達はパワーに溢れているので、彼らの絵を見ていると個性を存分に表現していて、本当に天才だなと思うこともしばしばです。

どちらの教室でも水彩画の指導がメインになりますが、メソッドは3原色を使って色を生み出せるようにすること。皆さんの上達の様子やエネルギーをもらうことが私の創作活動にもいい影響を与えてくれていると感じます。

森田先生の水彩画

―創作活動と教室活動が響きあう生活を送られているなんて素敵ですね。では創作活動についてもお教えください。

今は娘たちが独立したので、比較的好きなように絵と向き合う時間を作れるようになりました。水彩画教室での仕事がない日は昼前から夕方までを創作活動の時間に充てています。日本画はにかわを溶いたり、絵の具の用意など何かと描くまでの作業が多いので、ある程度まとまった時間が取れないと厳しいんです。そんな創作活動と並行して現代の日本画の大家である村居正之先生のところで指導を受けたり、人物のデッサンを引き続き勉強をしています。村居先生には大学へ入る前の古くからご指導をいただいています。ですから私も素直に何でもおたずねできるというか…。先生は気さくな上に個性を尊重してくださる方です。

毎年、秋には日展に出品するので、5月位からは作品のラフスケッチにあたるような小下絵に取り掛かり、村居先生の指導を受けつつ何とか10月ごろまでに仕上げます。

『星夜』

ー洋画も学ばれた上で、日本画を選んで創作を続けられている理由、魅力を教えてください。

私にとっては日本画がとても奥深く感じられます。そのぶん幾つになっても勉強が必要なんですが。画材、特に岩絵具も魅力をもっていますが、私はその岩絵具を重ねて色を出すことに惹かれています。油絵の具と違い、パレットの上で色を混ぜて作り出すのではなく、色を重ねることで初めて色が出来上がっていきます。ですから色を乗せることで、初めてその色に出会うんです。視覚で確認して使うのではなく、脳の中で色を混ぜるような感覚です。そういう点では水彩画の3原色にも通じるところがあると思っています。

―ではこれから開催される個展についてお聞かせください。

私はずっと人物画を描いてきていますが、人物そのものを表すというよりも現実と幻想の中間を彷徨っているような思いを描いているつもりです。そしてそこには常に私自身を投影しています。『gallery アートスペース miki』でのテーマは『ノスタルジア』としました。見る方にもどこか懐かしい気持ちをもっていただきつつ何かを感じていただければ嬉しいです。

『プリマベーラ』

実はこのような個展を開くのは初めてです。今までは個展となると作品を仕上げることができるのか不安になり、なかなか開く気になれませんでしたが、今回、三木館長からお誘いを受けて何とか実現できそうです。150号の大きな作品もありますが、小品も作りました。日本画の場合は色を重ねないと深みが出ないのですが、小品の場合は重ねすぎると飾った時にしんどく感じられる絵になってしまうので、その兼ね合いが難しくとても勉強になりました。
前出の『プリマべーラ』は展覧会で展示させていただく作品のひとつです。ガーベラやばら、アネモネなどを少女と共に描いています。まだ確とした自分の絵を見つけることができず迷ってもいますが、この作品をはじめとする出品作に取り組むことで少し道が見えた気がしました。ぜひ、皆様にもご覧いただければと思います。

個展開催中の2024年5月9日(木)に森田先生に指導をしていただけるワークショップの開催が決まりました!テーマはセルフポートレイトです。自分の見慣れた顔の奥に見える表情は? あらためて見つめ、絵にしていく特別な時間をご一緒に体験されませんか。



                            [企画・制作/ヴァーティカル] 



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