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図書館の魅力を語ったら、メディア・情報リテラシーのはなしを思い出した

私は図書館が好きだ。

図書館が好きという理由だけで、図書館で働く気もないのに、司書の資格を取った。
そのことを言うと、ほとんど100%の確率で、図書館が好きなことと本が好きなことは違うのか、という質問を受ける。それは違う。私はもちろん本も好きなのだが、それとは違った理由で図書館が好きなのだ。

最近、図書館の魅力についてお話をする機会があり、私の図書館愛に火がついているので、ここにも少し書いておきたいと思う。

図書館の良さはいくつもあるが、その中でも一番の良さは、すべての本が平等に並んでいるところだと思う。出版年や発行部数、出版社に関係なく、基本的には1タイトル1冊、日本図書館協会が定めた日本十進分類法に則って規則正しく並んでいる。私は書店も好きではあるが、書店は書店員が売りたい本を平積みにして大々的に宣伝するなど、色いろな大人の事情が考慮された配置になっている。また、売れない本は返本されてしまうので、棚に居続けることを許されない。商売をしているので当たり前のことであるし、それが悪いとも思わないが、そこが図書館と書店の大きな違いだと思っている。

本が平等に並べられた本棚の間を何気なく歩けば、何となく目を引く一冊というものがあるものである。それを何気なく手に取り、中を確認し、それでも興味があれば借りてみて、読んでみる。本が平等に並んでいるからこそ、誰のフィルターもかかっていない状態で自ら本を選び、手に取ることができる。(それでも司書が選書し配架しているので完璧ではないが)。

たまに「なぜ私はこの本を手に取ったのだろう」と思うような本が気になり開いていることがある。潜在的に知りたいと思っていたことなのかもしれないし、そうでないのかもしれない。そんな偶然なのか必然なのかわからない本との出会いができるところに、図書館の一番の魅力があるように思う。だから私は理由もなく、図書館をふらふら散歩するのが好きだ。

こんなことを話していたところ、最近の私はこれと真逆な現象について話をしている、ということに気が付いた。

最近、私はメディア・情報リテラシーの講座で、Googleの検索結果は、Googleのアルゴリズムによって順位が決められていること、21.12%の人が一番上に表示された検索結果にアクセスしているというデータがあること、そのため各社はSEO対策をしていること、などをお話している。

そうなのだ。私たちが毎日使っているインターネット検索は、図書館にあるような情報との偶然の出会いの機会が限りなくゼロに近い。効率的に知りたい情報を検索するには便利ではあるが、まだ自分でも気が付いていない潜在的に興味があることに気が付くことはできない。そもそもGoogleが価値がないと判断したサイトは検索順位が下がってしまうので、知りたいことがあって検索をしていても、確認できない情報が一定数ある可能性もある。

最近は図書館にもPCの作業スペースが多く設けられ、本と触れ合う場ではなく作業スペースと化しているような図書館も多い気がするが、ネットで情報収集ができるようになっても、本(情報)との偶然の出会いの場として図書館を楽しむ人がいてほしいと思うし、どんなにデジタル社会になっても図書館には存在していてほしいと思う。

さて、最近、なぜ私が図書館について話す機会があったのかと言えば、以前からお世話になっている方々が図書館を題材にしたゴスペルミュージカルを準備していて、その関連イベント(?)に参加しているからだった。オリジナル脚本・楽曲による図書館を舞台にしたゴスペルミュージカル「Sign サイン~天使からの贈り物~」。あらすじを聞いて、図書館の魅力をしっかり表現していると感じて嬉しかったので、私も千秋楽にお邪魔することにした。場所は石川県金沢市なので、お近くの方はぜひ。

★別のブログで、世界の図書館訪問記を書いていました。監視されている中国の図書館、日本語の書籍がない南アフリカの図書館、日本語の蔵書の偏りが激しいアメリカの図書館について、など。⇒こちら

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