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三龍戦騎RPG復刻リプレイ 第7話「ぼくの発掘戦艦」第1章

 銀河の彼方にある惑星アマミツヨ。そこでは、恐竜乗り、機械生物、獣人、植物知性体などの七大種属が共存していた。これは、七種属共和のため、そんな星を冒険する少年少女「ウツロヒ」たちの物語である。


 2005年8月19日、某所私邸にてオフラインの遊戯をおこなった。参加者は、L、AT両氏。身内のくだけたセッションである。

 三龍戦騎団のコミケ初出場後の遊戯なので、できたてのルールブックを利用。(試製・初版のキンコーズコピー製本)

 夏の夜のセッションであった。庭からカエルの鳴き声が聞こえてくる中、ルールブックに従い、PCシュンカとクイナのデータを新規に制作しなおしている。
 ちなみに、この話は、リプレイとしては第7話だが、遊戯した回数順としては、10話めとなる。
 GM・シナリオ作成は、清水三毛。

 

【キャラクター作成中の会話】



AT氏 ……ポケモンにありそうなアラガミ師トモガミ技能があるね。「乱れ切り」だって。

清水三毛 言われてみれば。

AT氏 「肉の盾」とかは、あまりポケモンにはないね(笑)。

L氏 「硬い頭」なんてのも、微妙にありそうでないよな(笑)。

AT氏 取ったけどソレ。堅頭竜専用技能がこれしかないからね。悲しいよね。

清水 堅頭竜、マイナージャンルですから。丸ごとなくそうかって話も出てぐらいで(一同笑)。
 恐竜博で骨格を見たら、実物はとても人が騎乗できそうにないほど、小さい体つきだったからねー。全般に、恐竜はシッポが長いから、全長はあっても意外と体格がきゃしゃだったりするんだよ。

L氏 だから三龍では、堅頭竜の体長がオリジナル設定なのか(人が乗れるぐらい大型に設定)。ところで、「怒号突撃」は、咆哮をあげながら突撃、ということになると、複数行動になるのかな?

清水 その技能でまとめて判定するから、単一の行動扱いになる。

L氏 まあ、威嚇技能のほうがいいかな、獣脚類専用だし。あとはやはり「くわえ投げ」だな。……ゲキの武装は、拳銃か。技能もってないじゃん。技術1だから、撃つと自分の後頭部にでも当たりそうだ(笑)。しかも難易度が高いし。まあ、ゲキが拳銃を撃つような事態になったら、このゲームではヤバイよね。「えい二式拳銃」が難易度低くていいな。

清水 それは、栄(さかえ)二式と発音するのだが(日本軍風)。

L氏 うわ、運用難易度12って、常に11以上ださないと当らないな。もういい、常にトモガミに乗って行動することにしよう。建物への潜入でも、無理やり押し込む!(笑)

清水 それはもう潜入じゃなくて破壊だろ(笑)。

AT氏 アラガミ師は、キャラ作成時、ショットガンは選べないのかね。

清水 ゲームが始まってから買えばいい。そんなに入手難易度は高くないから。

L氏 防具は……「対電磁・対徹甲」のものはないんだなあ。二種類を重ねればイイのか。

清水 そんなことは出来ないッ。(どちらか一種のみを適用する)

L氏 四式抗弾具足を買おう。あっ、入手判定に失敗した。もう1回やり直そう。

清水 おいおい、同じ判定を何回もやり直しちゃイカンよ、判定の意味がなくなるだろ(笑)。

L氏 あーもういい、「アラガミ師は恐竜を降りたら終わり」ってことで、ゲキの防具はどうでもいいや(笑)。恐竜に寄生してるんだな(笑)。

清水 武器だが、戦術の幅の広さからいえば、機銃系がお薦め。それ以外なら無反動砲がオーソドックスかな。重さ制限については、防御力重視なら、火器をなくして、装甲を固めにするというテもある。

L氏 ガトリング砲が魅力的だなあ。でも難易度が高いなあ。80式軽機がいいかな?

清水 ガトリング砲? 1回の射撃で9回の判定が必要で面倒だよ(笑)。80式軽機は、軽機関銃だから、装甲目標に対して弱すぎだろ、全く貫通しないから(笑)。女の子がもつものだよ、下車戦闘のときにね。

L氏 この世界だと、そういう表現になるんだなあ(三龍帝国では女性のほうが色々と強い)。ランボーみたいだ。イカヅチ5型……弾数が……使い捨て?

清水 使い捨てロケットランチャーだよ。1発撃ったら終わり。

L氏 あーー。88式高射砲をつみたいけど、重くて乗せられないーー。対せんてい誘導弾も重いな。

清水 対しゅうてい(舟艇)誘導弾だろ。

AT氏 ヒトデ型ムシオニの破壊力が12って、高いなあ。「生命」消費も意外と少ないし。

清水 ちょっと恐竜が可哀そうだけどね。生体ミサイルを撃つたびに、ムシオニに吸血されて痩せていくかんじで。
 ムシオニは「装火点」(ハードポイント)をつかわないから、普通の武器とは別に付けられるってのは利点だよね。恐竜の装火点は、どれも1箇所だけだし。

AT氏 イダテンあたりにムシオニをのせたら大変なことになるよね(笑)。ところで、砲撃判定ってナニで撃つんだっけ?

清水 「知」で撃つんだけど。

AT氏 うわこいつ「知」1しかないよ。しかもゲキも頭悪いよ、知性2しかないよ(一同笑)。もう火器は積まないことにしよう。

L氏 もうクイナは白兵戦に生きるしかないね(笑)。

 

▼登場人物▼


 ●アラガミ師
 「綺羅シュンカ」(きらしゅんか)
 真っ直ぐで熱くなりやすい性格の、アラガミ師の少女。孤児だが、龍魂の才能をみこまれて綺羅家の養女となったらしい。クイナとは昔から友達のようだ。遊戯者はL氏。
 第一話から参戦しているキャラクターだが、最初のころはレベルアップ規則が未定だったので、今回冒頭、まとめて推定で逆算、レベルアップ処理を行った。

 諸元

 レベル3(推定)

「体力」3:
「技術」1:
「知性」4:【砲術1(判定値5)】
「魅力」2:
「龍魂」5:【放心惹起1(判定値6)】

 生命:15
 キズナ:恐竜2(=キズナ判定値7)

 出生:孤児。経歴は砲術隊。
 関連組織:シンテツ兵の頼れる(??)先輩がいる。
 冒険目的:何かを倒したい

 装備:略

【トモガミ】
 ヒメテイリュウ「名前:戦火」(いくさび)
 能力値は略
 体 【くわえなげ1】
 動
 知 【騎乗砲術2】【騎乗誘導弾1】【騎乗索敵1】【威嚇1】

<トモガミ装備>
 三式重機、第1種装甲

撮影:清水


 ●アラガミ師
 「山場クイナ」(やんばくいな)
 無口な堅頭竜のりの少女。特殊隊出身で、そのせいで寡黙になったのかもしれない。トモガミのあだ名はゴッズィーだが、誰もそう呼んでくれないらしい(本人談)。時折するどい発言をする。ゲキもトモガミ同様、頭が硬いらしい(物理)。
 トモガミに火器を一切装備せず、重装甲を施し、白兵戦に特化している。遊戯者はAT氏。

諸元

「体力」:3【戦術格闘1(4)】
「技術」:5【必殺の一弾1(6)】【携行火器1(6)】
「知性」:2
「魅力」:1
「龍魂」:4【感情投射1(5)】

 出生:
 経歴:特殊作戦隊
 関連組織:友好的なカワアガニの知人(ランコ?)
 冒険目的:

 装備:

【トモガミ】
クワガタケントウリュウ「護頭」(ごず。あだ名はゴッズィー)

 <トモガミの取得技能>
 【硬い頭1】【怒号突撃1】【騎乗隠密1】

 <トモガミ装備>
 第2種装甲
 武装はなし


【序章:ファーグニル海軍艦隊泊地 第三艦隊司令部】


撮影:清水(イメージ)


 ファーグニル連合軍は、惑星アマミツヨの各地に、海軍や空軍の基地を保有している。
 ガルナス帝国領海にほど近い海軍根拠地・モフターキン泊地には、ガルナス・央天青方面の海軍部隊を指揮する第三艦隊司令部が存在していた。

 熱帯の太陽に照らされ、モフターキン島の弓状の砂浜が、白く燃えるように輝いている。
 わずかながらの椰子の木に隠れるようにしている小さな耐爆建築が、第三艦隊司令部施設である。

 建物の前には、巨大な青い礁湖がひろがっており、旧式の巡洋艦と駆逐艦が数隻、もうしわけ程度に錨を下ろしていた。

 第三艦隊司令、ランド・ブリン中将は、蒸し暑い執務室で、書類を見るふりをしながら午睡をとっていた。もう何年も実戦などなく、艦隊は退役寸前の旧式艦で構成されている。

 だが、司令官は違った。
 潮風をふくんだ短い白髪と、陽光を長年受けてきた肌は、60歳という年齢のわりには武人としての威厳を保っている。

 扉を叩く音、続いて部下の参謀が入室する軍靴の足音。

「失礼します。司令、本国からの入電です」

 これまで多くの海戦を経験した男だ。少々のことでは動じない。青年士官の声に、ブリン中将はものうげに瞳を開き、のんびりと報告書に目を通す。

「レンガルナ海域におけるガルナス艦艇の活動に関する報告?」

「はい。この数ヶ月、当該海域において、ガルナス帝国海軍の活動が活発になっているとか。戦艦を意味する暗号符丁の使用頻度が、通常の5倍になっていると、本国情報部からの報告です」

 セイウチのように、重い声でブリンは言う。

「あの海域には大したものはないだろう。せいぜい、前の海戦のガラクタ程度だよ。少佐、そんなことより、はやく夕食をもってこさせろ」

 部下は、ブリンの調子には呑まれない。小馬鹿にしたような視線で、しかし姿勢は崩さず、参謀は告げた。

「2時間前に昼食をお持ちしたばかりです、中将」

 憮然とした表情のまま、一枚の写真を机に置く。高高度偵察機が撮影したものである。

「戦略空軍の熱線画像写真です。ガルナス領海内の、座標RZ114225にある島で、異常な赤外線反応および磁気反応が」

 白い荒縄のような眉が、かすかに吊りあがった。

「なるほど。こいつは、ワシの旧い友人のお目覚めか。調査の必要がありそうだ」

「しかし中将。問題の海域は、ガルナス帝国領海内、それも直轄領ですが」

 老提督は、平然としていた。

「たしか、その海域で、わが艦隊の演習が予定されていたはずだな」

 青年士官は、ブリンの言わんとするところを飲みこめない。

 応えるように、ブリン中将は続けた。

「なぁに……わが第三艦隊は、モスボール寸前の旧式艦ばかりだ。演習中にちょっとばかり演習海域を外れるなんてことは、珍しくもないことじゃないかね?」



序章 おわり

【場面1:海城京】


GM(清水三毛) では、始めよう。
 例によって、ウツロヒ宿で君たちに依頼があった。
 依頼主は、レグ・ガラガ・パラパ・レアという、若いガルナス・メイだ。君たちに、護衛を頼みたいようだ。

シュンカ 名前が長いから、断ろうか。

クイナ 覚えられないよネ。


ガルナス・メイ属 デザイン画決定稿


GM なんだってーー!!(笑)
「レア、と呼んでください。報酬は、おひとり20万リンでいかがですかネェ」

クイナ 「どういう任務なの?」

レア/GM 「実は、ある地図を手がかりに、ある海域に眠るといわれる『宝』を探したいのですが……正直に申しますと、それを狙っている者が多いらしくて。中堅ウツロヒの中でも実力があると評判の、あなた方に護衛を頼みたいワケですよ」

シュンカ 海域、とか言われてもね。海の戦闘に向いた技能をもってないんだよね。

GM いきなりそういうシステム的な発言をするのもどうかと思うが(笑)。
「いやいや、もちろん、こちらで船のほうは手配しますので、後は、あなたの火器を生かしていただければそれで十分です」

クイナ 「火器、ないんだよね(笑)」

シュンカ 「ミツリュウカダンヒトデを入手したいと思っていたんだがな。そうだ、今からアカマツ百騎長に入手をお願いして、その交渉がうまくいったら依頼を受ける、ということで」

レア/GM 「なんですか!? そんな、仕事内容と関係ないことで決めないで下さいよー!? ジュピッチャアアーー!!(鳴き声)」

シュンカ うわあっ!?

レア/GM 納得のいかない顔で、「じゃあ、また一時間後にこの宿で集合ということで……ブツブツ」

シュンカ じゃ、アカマツ百騎長のウドゥン(御殿)に乗り込んで、「ミツリュウカダンヒトデが欲しいのです! 我が『戦火』に必殺の火力を装備するために、ぜひとも必要なのです!」

アカマツ/GM 「今日は休日だったはずでは?! しかもムシオニですか。あれは、トモガミさんが可哀そうですからねえ、ううん」

シュンカ 「いいえっ、我がトモガミ〈戦火〉(いくさび)も既に同意しております。既に我らは一心同体、トモガミの生命が減るたびに、わたしもわが身を短剣でえぐる覚悟ですッ!」

GM そこまで覚悟しなくてもいいが(笑)、では調達の判定を。難易度14、知性、調達技能があればそれでどうぞ。


 けっきょく判定は失敗に終わった。


シュンカ このままじゃ火力が低いなあ。依頼者に頼むか。

GM 忘れてた、開始時のキズナ判定をしてね。ジュラ紀後期、草原ね。

シュンカ 俺らの恐竜、年代が「白亜紀後期」なんだけど。しかも〈戦火〉は「森林」だから、難易度プラス4!? 無理だー!

クイナ 大失敗してこっちを巻き込まないでよ。

シュンカ (ころころとサイコロを振る)おっ、6ゾロがでた!

GM やるな! では、環境が合わないのに、奇跡的にうまくヒメテイリュウの世話をしたということで、「武魂」が1点入った。

クイナ 11.

GM 失敗してるね。まあ通常失敗だから、武魂がたまらないだけで、世話はいちおうこなしたと。(このルールは改正され、ルールブック二一型では、通常失敗でも『キズナ判定失敗表』を適用することになった。よりPCの新米らしさを強調するための仕掛けである

シュンカ 「上官に武器を申請したのだが、却下されてしまった。ミツリュウカダンヒトデというムシオニを手配してほしいのだがな?」

レア/GM 「えっ、ムシオニはちょっと……。蘇龍機の武器なら、わりと持っているんですがねえ」

シュンカ 「わたしは蘇龍機には乗っていない。ムシオニが欲しいのだ」

レア/GM 「や、蘇龍機もイイもんですよ?」

シュンカ 「わたしはミツリュウカダンヒトデをいま欲しているのだ!」

レア/GM 「そんな生っぽいものを……しょうがないなあ、ちょっと喜如羅市でツテをたぐってみますよ。30分後(和訳)に、喜如羅市の第三桟橋で集合ということで。そこに船が舫ってあるので」
 調達は、難易度14か。……30分後、ナニを勘違いしたのか腐ったサカナをもってきて、「これでしたっけ?」

シュンカ 「これは、腐った魚だな」まあ、判定に失敗したならしょうがない。ヒトデほしかったなあ。あ、装備はもう整えて集合したということで。

クイナ もう諦めたら。

レア/GM 「やっぱり、ギョクガセ属を探したほうがいいんじゃないですかねえ」(生体兵器ムシオニを専門に扱っている、肉塊のような謎の種属)

場面1 おわり

【場面2:船上】



GM 君たちが乗る船は、よくあるシンテツの輸送船タイプの拡張筐体で、全長40メートルほどのボロ船だ。操縦はシンテツ兵がやっている。

レア/GM 「目的地は、ここから二日ほどのレンガ島海域です。ガルナス・ダガンとかいうクソッタレ野郎どもの領海内の座標なのですが、まあ、事を荒立てて侵入していく予定ですので(笑)」

クイナ 「いま何か言ったね!?」

シュンカ 「確か、おぬしたちメイも、ガルナス帝国に属していたはずでは?」

 レア/GM 「ふふん、何をおっしゃる、我が〈ガーグ宗王国〉は独立国家ですよ。あんな、ガルナス帝国などというウ○コ野郎たちの国なんて……」

 シュンカ 「しかし、国際的には、ガルナス帝国のほうが承認されていたはずだが」

 レア/GM 「ジュピッチャアアア!!」(鳴き声)

 シュンカ・クイナ うわあっ!?

 レア/GM 「そもそも! あなたがた三龍帝国が、わが国ではなくガルナス帝国を承認したりするからイケナイのですよ!? トトトトトン!!(甲板を叩く音)」

 シュンカ (華麗にスルー)「さて、早く出発しなければならんのだったな」


惑星アマミツヨ央天青方面の図。ガルナス帝国とガーグ宗王国の位置を確かめてみよう。


 GM 船はもう、港を出ているよ。すでに洋上だ。

 クイナ 「あまり、そういうセンシティヴな論点に触れないほうが……」

 シュンカ 「しかしおぬしら、外骨格っぽい外見だし、なんとなくガルナス・ダガンと似ているではないか」

 GM 「失礼な! じゅ、ジュピッチャーーー!!」

 クイナ (シュンカに)「だから、その論点に触れるなって!(笑)」

 レア/GM 「あなた哺乳類のくせに生意気ですよ!」と、シュンカの尻をクチバシでつつく。

場面2 おわり


【場面3:央天湾沖合い50キロ/海戦】



 三龍の海が、熱帯の陽光に輝いている。

 トモガミ恐竜が敵を威嚇して吼える。激しい砲声が水平線に轟く。

 弾着が、無数の白い水柱となって、シンテツ貨物船のすぐそばに吹き上がる。三龍帝国、とくに、この央天青では、珍しくもない光景だ。

 「ひいいい、ジュピッチャアア!」

 若いメイが、派手な色の腕羽をばたつかせ、甲板にはいつくばって砲弾を避けようとする。
 鳥の骨ガラのような貧弱なキチン質の身体は、砲弾を食らったら、ひとたまりもない。

「敵艦、右舷(みぎげん)に急速接近! 応射する!」

 いま、綺羅シュンカと山場クイナは、砲戦の真っ最中であった。



レア/GM
 いま、君らの右手側、30メートルぐらいの距離の海上に、大砲を積んだ船が横付けしていてね、ズドバゴと君らと撃ち合いつつ追撃戦をしている最中だから。敵船の大きさは君らの船と同程度だ。

クイナ ごくナチュラルにそんなことを言われてもね。

レア/GM 「第一甲板、被弾! ジュピッチャア、この程度! さあアラガミ師さん、がんばってください! あれは敵です!」
 敵は、こちらと同じようなシンテツ輸送船だ。

シュンカ とりあえず撃ち返すか。「砲術隊出身の腕前、見せてやる」

クイナ 頑張ってね。

レア/GM 「こちらにも、艦尾に40丸(120ミリ)単装砲があります。これなら駆逐艦の主砲に匹敵しますよ」
 ちょっとトモガミから降りて、ゲキの砲術技能で撃ってね。

シュンカ トモガミから降りるのか……ドキドキ。

GM ちなみに、いまは回避機動の真っ最中で、甲板が揺れているので、シュンカは「技術」で判定してね。失敗したら海に落ちる。
「右舷に至近弾!」
 ドオーン! 水柱とともに、船がまた、激しく揺れる。水しぶきが降り注ぐ。

シュンカ 技術、1しかないんだけどなあ。……13.

GM じゃ、こけつまろびつ、なんとか艦尾の単装砲にたどり着いた。一抱えもある大砲で、シンテツの補佐で砲塔旋回、照準を行う。
「照準して発砲してください、あとはシンテツ側がやってくれます」
 動いているけど同じ速度で同航しているから。難易度10でよい。揺れているから技能マイナス1ね。

シュンカ 達成値12.

レア/GM 「命中! 敵機関室に直撃したようです!」敵船から火花と煙が吹き上がった。
「やりますねえ」と、レアが感心している。
 敵は、黒煙を吐きながら大きく舵を切って、逃げていく。

シュンカ 「まあ、追撃する必要もなかろう」

GM さて、戦闘終了だが。トモガミを使ってないから、キズナ判定はナシだな(笑)。

シュンカ えっ!? でも、戦闘の音とかでトモガミが興奮しているから、それをなだめるキズナ判定ってことでどうよ?

GM いやあ、それはダメでしょ。そういうこと言うと、トモガミが興奮して暴れている、とか俺言っちゃうよ(笑)。

シュンカ 「ところで、いま攻撃してきた敵って何なの?」

レア/GM 「おそらくダガンか、トオミ属かもしれませんネェ」

シュンカ 「……そもそもこの航海の目的は何なのだ? 我々もいちおう帝国軍人、違法なモノに関わるわけにはいかないからな」

レア/GM 「ハッ(小馬鹿にした口調)、それは秘密ということにしたいのですが。お話したほうがよろしいですカネェ? ……では、後で、下の兵員食堂で、夕食をご馳走しますので、そのときお話しますよ」

 PCに信頼されづらそうな台詞を吐く依頼者・レアであった。

場面3 おわり


【場面4:船の兵員食堂/夕食】


GM 船の中だから、食堂のランプの灯りが揺れている。食堂にはガルナス・メイ料理が並んでいる。
「こちらは、わが国では最高の美食とされているガの幼虫で、こちらはそのサナギで。さらにこちらは、成虫の胴体です。マァ、召し上がって下さいよ」

シュンカ グロいよ。

クイナ いや。クイナは普通に食べるね。

GM 三龍帝国では動物タンパクが不足しがちだから、けっこう虫も食べてると思うよ。
「実はですね、わたしの属している機刃衆(キバシュウ)は、いまでこそ落ちぶれていますが。昔は、一流と名高い機刃衆でした。
 ある戦で、大失態を演じて以来、わが衆は零落してしまったのです。わたしは、機刃衆の次代党首として、ぜひともわが衆を復興させたいと思っているのです!
 ここで、レアは一枚の古地図を取り出す。


 ガルナス・メイは、「機刃衆」という職能集団を群れで構成し、発掘竜型兵器「蘇龍機」を、宗教儀礼にのっとって運用する。


ダージャオ科蘇龍機


レア/GM 「……あるとき、わたしは『機刃衆復興マニュアル』という本を古書店で立ち読みしていたのですが、それに挟まっていたのが、この古地図です。コレですよ!」

シュンカ 「うさんくさいのう」

レア/GM 「この地図のここ、この海域に、我が機刃衆に属していた戦艦が眠っている! と、この地図には記されているのですよ! これを復活させれば、同じ牙洞院のなかでも、ほかの機刃衆に対して優位にたてますからね!」

シュンカ 「しかし……、戦艦というと、メイというより、シンテツの財産なのではないか? その古地図とやらは、本当にその本に元々付属していたものなのか? 偶然、挟まったのかもしれないだろう?」

GM 知性で交渉判定ね。15.

シュンカ 何で交渉判定になるんだ。……13、失敗。

レア/GM 「ジュッ、ジュピッチャアアア!!」激怒してシュンカをつつきまくる。「ナニをいうんですか! これは蘇龍機の戦艦ですよ、間違いないですよ!!」

シュンカ 「いたたた。そもそもその、機刃衆復興マニュアルとかいう本、いったいどれほど信頼できるのだ?」

レア/GM 「何を言うんです、わたしが買ったんだから間違いありません! 5リンで古本屋で買ったのです!」

クイナ 安いよ(笑)。

シュンカ もうちょっと詳しく事前に話を聞いておくんだった。この分だと実際は何もないんだろうな(笑)。

レア/GM 「それでですね。これから向かうレンガ島海域は、ダガンの帝国直轄領でして、その上、ファーグニル艦隊の演習海域が近くにありまして、非常に物騒なのです。だから、貴方がたに護衛を頼んだのです。よろしくお願いしますね」

シュンカ 「まあ、水中戦闘も、水上戦闘も、自信はないがな!」

レア/GM 「……特にこの、演習場ってのが物騒で、よく、ファーグニル主力艦隊が火力演習をやってるんですよねー。なるべく見つからないように行きましょうネ」

シュンカ 何か、この段階に至って初めて、サラリとヤバイこと言ってるぞおおお。

レア/GM 「もう、岸から大分離れていますからね。あなた方のトモガミでは、泳いで戻ることは不可能ですよね。フウ、良かった♪」

クイナ なんなんだこのヒト。(依頼者に対する疑惑)

シュンカ 「ところでレア殿。貴公の蘇龍機は、この船に搭載されているのか?」

レア/GM 「じゅぴッ……!? わたしはまだ若いので、蘇龍機は供与されていないのです」

シュンカ 「なんだ。期待はずれだな」

レア/GM 「ジュッ、ジュピッチャアアアア!!(怒) まだ発掘機体の割り当てがワタシまで回ってこないのですよ!」

シュンカ 「フウーン。」

レア/GM 「アナタ哺乳類のくせに生意気ですよ!?」

シュンカ 「まあ、蘇龍機は生産できなくて、いちいち掘り起こすから大変だとは聞いているがな」

レア/GM 「そうですよ、こないだなんて蘇龍機かとおもって掘り起こしたら、落盤で埋まった古代のシンテツモグラだったんですよ。アタマにきて、その場で捨てましたよ!」

シュンカ 「なかなか苦労が絶えないようだな」

GM といったかんじで、船上の夜は更けていく。
 ちなみに、レアの機刃衆の仲間が、30人ぐらい同乗しているから、そいつらから情報収集してもいい。ぴよぴよ、ぴよぴよ(メイ集団の鳴き声)。
「まあ、若の言うことですからね。アテにはならないかもしれませんねえ。貴方がたを頼りにしていますよ。特殊隊のご出身だとか?」
 4,5羽のメイが、ひよひよ言いながら、シュンカとクイナを囲んで体験談をねだっている。

クイナ うざいね。

GM それ、言うのか?(笑)

クイナ そのまま去るわ。

メイの群れ/GM 「? つつしみ深い方のようですな」

シュンカ 「特殊作戦隊の訓練で、彼女は心に深い傷を負ってあのような人格になってしまったのだ。だから、あまり……そのことには触れないでほしい」

クイナ なに勝手に決めてるの!?(笑)

メイの群れ/GM 「美しい話です。実は、わたしも昔、戦場でね……」と、体験談が始まる。

シュンカ じゃ、それには付き合わないで寝るワ。

クイナ 何か失礼だよね。

メイの群れ/GM 「全く、哺乳類というものは……ひよひよ……ひよひよ……」

シュンカ メイがたくさんいるところって、独特の、鳥のフンとかのにおいがするんじゃないかと思うんだよね。だから居たくないんじゃないかなー、と(笑)。温度も高くなってそうだし。あ、これは発言してはいないからね。
「ガルナス・メイという種属もなかなか個性的だな、クイナ」と、船室で話してる。

クイナ 「……うん」

GM では、今晩はこれ以上は情報は集めないでいいんだね。
 君たちが寝床で、舷窓の外を見ると、夜の水平線に、かつて天魔との戦いで砕かれたという〈崩月〉が、白々と輝いている。

ソウデン科蘇龍機


つづく


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