「カネ、カネ、カネ」の世界に生きる今の地球人類
アマゾンのおすすめに表示されてきた「エネルギーをめぐる旅――文明の歴史と私たちの未来」という書籍を読んた。
金額が2,640円もするので購入を迷ったが、結論からいうと、かなり買ってよかった。書かれている内容からすると安いものだ。(実は、最初kindleで買ったが、読み進めるうちに手にとって読みたくなり、ペーパー版の両方を買った。)
著者は古舘 恒介さんという現役のサラリーマンの方で、本業もエネルギー関係のお仕事に従事されているとともに、生来の読書家で、いつか自分の書籍を世に出したい、という夢があって、何十年という読書の蓄積と10年にもおよぶ推敲を経て書き上げられた肝いりの書籍である。
まず、「エネルギー」という難しそうな内容に対して、とても読みやすい文章で書かれている。素晴らしい文章力である。
またその内容も「エネルギー」ということに焦点をあてて人類史をひもとくもので、「エネルギー」の視点から人類の営みを洞察され、とても示唆に富むものであった。
今年読んだ「人新世の「資本論」」(斎藤 幸平さん著)と並んで、名著だと私は思う。
文系人間の私は、そもそも「エネルギーとは何か」なんて考えたことがない。
そもそもエネルギーとは何か、そして人類のこれまでのエネルギー獲得のための歴史、そして新たに得たエネルギーによって転換した社会の仕組み、その結果人々の暮らしへの影響、などなど、「なるほどなあ」と納得しながら読むことができた。
この書籍で得たことをトピックスにして、数回にわけて投稿したい。
まずは、
資本の神への隷属
ということである。
エネルギーについての書籍なのに、最初からこの書籍の本質的なことではないが、現代の地球を覆う資本主義や貨幣経済について言及されており、言い得て妙。とても私は腑に落ちたので紹介したい。
「経済合理性」というとスマートな響きがあるが、要は「儲かるかどうか」が判断基準だということ。これが資本主義の掟であって、資本主義の価値観が支配する社会の仕組みから私たち人類は抜け出すことが難しく、それは「資本という新たな神への隷属を意味」するというのである。
なるほど。。。
さらに、このように書かれている。
なぜ現代に生きる我々は、多かれ少なかれ、人々はお金を求めるのか。
それは自明なことだ。
生きていくには、食糧が必要であり、水や電気や火といった水道光熱が必要であり、衣服が必要であり、住むところが必要。最低でも衣食住が必要である。
そして、スマホも必要、医療サービスや子供の教育、車も必要。
さらには書籍や旅行やレジャーや外食など文化的生活もしたい。
そして、衣食住ももっと、もっと贅沢になりたい。もっといいモノがほしい、いいサービスを受けたい。その方が快適だから。このようにして欲望はつきない。
そして、便利なことに、今の時代は、多くのモノやサービスが、世界を超えて、すべて貨幣を介して受けることができる。
多くのモノやサービスが貨幣換算される時代である。
だから、貨幣、つまり「カネ」は出来るだけ多くあった方が、満足のできる生活ができる。その欲求は際限なく広がっていく。
そして、儲かるかどうか、貨幣価値としてギブアンドテイクが成り立つか、という世界が支配する。
「カネ、カネ、カネ」という価値基準が地球を支配しているのである。
果てしなき欲望、「カネ、カネ、カネ」の世界に生きているのが今の地球人類ではないか。
これが資本という新たな神への隷属である。
このように、「カネ、カネ、カネ」が支配する今の地球人類だが、しかし、欲望資本主義をこのまま追求していくと、地球が持たない、ということもまた人類は気づき始めた。
少し離れて地球をみてみたい。
宇宙から地球をみると、青く輝く地球がぽっかりと浮かんでいる。
その姿は我々一般人は写真やテレビでしか見ることができないが、その美しさと大きさは感動的だ。
その美しい地球の上で人類は生きているのだ。
そう。地球が人類を育んでくれているしか思えない。
この地球が人類を育んでくれているということを忘れて、
地球人類はこれまでの歴史過程をへて、貨幣という経済手段を発明し、されに様々なエネルギー獲得の結果、資本主義・貨幣経済が支配する仕組みを作り上げた。
しかし、ついには、自ら育んでくれた地球を、自らの果てしなき欲望のために、地球環境汚染や森林伐採、海上汚染、CO2排出などで地球を過剰までに破壊しだした。つまりは、金儲けのために、自ら母なる地球を傷つけてしまっているのだ。
昨今の不可逆的な気候変動問題は、行き過ぎた資本主義、「カネ、カネ、カネ」の欲望資本主義に対する人類への警告ではないか。
地球人類を、これまでの長い歴史の過程で、エネルギー獲得を追求した結果、ついには欲望資本主義を発展させ、結果的に地球を破壊し、その反動として、地球環境問題として地球人類に降りかかってきている。
この書籍を読んであらためてそう感じた。
これから先に地球の未来はあるのだろうか。
この書籍は警鐘の書だけでなく、希望の書でもある。
あとがきにこのように書かれている
欲望資本主義の世界を脱し、あらたな仕組みを築くべき時なのだと思う。それに失敗すると未来の地球は無いのだから。しかし、決してそうならないことを一地球人として願うのである。
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