見出し画像

人新世の「資本論」をサクッと知る

Kohei Saito, he is associate professor of Osaka City Univ., has ignited interest on the Garman thinker with a book and TV appearances. His recent book hits in Japan. In his book, Kohei Saito argues that the realization of sustainable development goals set by the U.N. is as impossible as “drawing a round triangle” under modern-day capitalism. It's worth to listen what he thinks, evolutional idea for next generation and saves the future of human being and this planet.

※このコンテンツは音声でもお聴き頂けます

三川屋幾朗はSDGs推進派です。

著者:斎藤幸平ってだれ?

既に話題の斎藤幸平さん。

2021新書大賞第1位の『人新世の「資本論」』を読まれた方も多いでしょう。

この本を書店で手に取って、滅多なことではその場で本を買うことのない私が(家じゅう本だらけになるから)、久方ぶりにレジへ直行した本です。冒頭からドカンと叩かれました。

はじめに ーSDGsは「大衆のアヘンである」ー
 温暖化対策として、あなたは、なにかしているだろうか。レジ袋削減のために、エコバックを買った?ペットボトル入り飲料を買わないようにマイボトルを持ち歩いている?車をハイブリッドカーにした?
 はっきり言おう。その善意だけなら無意味に終わる。それどころか、その善意は有害でさえある。

斎藤幸平はこうきました。いきなり喧嘩を売ってます

こういうの、大好き。

何も変えない先に未来は無い、SDGsのような一部を変えて対処するような小手先の対応では人類は破滅してしまう、そんな局面にいる、だからこそ「新しい考え方」に移行することで「幸せになります」、という主張を下記の動画の中で語っています。

コロナ後は、前に戻すのではなく、新しい社会へ移行するのが唯一の解決策であり、このコロナ禍が「変わるチャンス」であることを教えてくれています。

■齋藤幸平准教授:博士(哲学)。専門は経済学説、経済思想。
現代社会における諸問題を解決すべく、マルクス経済学をテーマに、自然科学と経済学の融合を試みて研究を行う。研究成果は、『大洪水の前に』 堀之内出版、 2019 年 、『未来への大分岐』 集英社新書、 2019 年 など。 2018 年にはマルクス経済学において最高峰賞である「ドイッチャー記念賞」を日本人初、史上最年少 当時31歳で受賞。


ハイライトを列挙しましょう。

・資本主義へのワクチンとしての社会主義・コミュニズム
・脱成長型の社会への移行を目指す
・私たちは豊かになったか?格差が広がっただけじゃないのか?
・「今まで通り」に変えることは破滅への道に戻ること。気候変動は待ったなし
・グレタ・トゥーベリーさんのに代表される若い世代が反旗を翻した
 「無限の成長というおとぎ話」はもうたくさん!
・大人たちは「今の生活を変えなくても良い」レベルで対応しようとしている。そうしてここ30年間、表面的な対策しかしてこなかった。
・米国では大統領選でサンダース候補が30歳以下の有権者の8割の支持を得た。サンダース氏はバリバリの社会主義者なのに、なぜいま彼なの?
・化石燃料:人類はたった30年で全資源の使ってしまっている
・お金持ちが温暖化ガスの排出を促進している。弱い人にしわ寄せがくる仕組みになってしまった。これが資本主義の正体。誰が率先して変わるべきなの?
・「いま」は新しい社会を作る「ラストチャンス」。小手先の技術で「変える」は無理!


斎藤幸平氏が自ら語る19分の動画はこちらです

19分程ですが、中身は濃いので納得いただけると思います。

【ポストコロナ時代の新しい社会の在り方 ~グリーン経済の実現に向けて~】大阪市立大学 公式チャンネル Osaka City University 2020.10.26

2020 年9月4 日に開催されました学長記者懇談会での経済学研究科 齋藤幸平准教授によるプレゼンテーションです。
テーマは「コロナ、気候危機、21世紀のコミュニズム」です。



関連動画も観てみましょう

いまや大人気の斎藤幸平氏。次々に出される関連動画を貼っておきます。まずは茂木健一郎さんから。


あとはYouTubeのおススメに沿って貼っていきます。特に現代世界の知の巨人のひとり、マルクス・ガブリエル氏との対談は興味深いです。英語ですが、苦手な方でも速度を落とせば聞き取れると思うので、頑張って聴いてみてください。


5金スペシャルは出色の出来でした。私は目から鱗が落ちました。

あの中田敦彦氏も持ち上げてますね。




時代の変化は波動であり、社会は揺らぎの中にある

人間は社会的動物である、これはゆるぎない事実です。人は一人では生きてゆけません。生まれる時も社会の中で、死ぬ時も社会の中です。切り離そうと思っても切り離せません。たとえ森の中で一人で生活しても、政府には捕捉されています。

人間社会の古くは、ムラ社会に代表される古典的社会主義といえるコミュニティの中で営まれてきました。それが街になり、都市になり、国家になっていきました。

大きな変化が起きたのは、産業革命でした。そこで資本主義が勃興し、その利便性ゆえに瞬く間に世界中に広がりました。と同時に、富の偏在が始まり、それまでの王家や貴族などの限られた特権階級による富の囲い込みから、一般人による富の収奪と蓄財が始まりました。エコノミックアニマルの誕生です。

そして時代は移り、マルクス社会主義理論を用いて、ソ連と中国で社会主義という壮大な社会実験が行われました。その結果、ソ連のコミュニズムはゴルバチョフ書記長ともに崩壊し、東ドイツは消え去り、東欧諸国は「解放」されて、ソ連型の社会主義は終焉を迎えました。それに対して中国の社会主義は、鄧小平により資本主義のエッセンスが加えられ、一対一路というかつての帝国主義を取り入れて拡大を続け、7年後にはGDP世界1位になることが予想されています。

斎藤幸平氏の思想の根底には「幸せとは何か?」「豊かさとは何か?「そこに愛はあるか?」そして日々の暮らしで「何のために働くのか?」ということを問い直し、考えるチャンスと、この問題の捉え方の処方箋を示してくれていると私は捉えました。

私は今後、この学術的で取っつき難い内容を、市井レベルに落とし込もうと思っています。私がQuoraで展開している「中学生にもわかるシリーズ」に沿って分かりやすく解説していこうと思っています。

斎藤幸平氏が提唱する脱成長コミュニズム、つまり「ネオ社会主義」の提言は、主人公である私たちひとりひとりが、モノゴトを考えるひとつのキッカケを与えてくれました。

もう一度記しますが、斎藤幸平氏は、コロナ後はコロナ禍前に戻すのではなく、新しい社会へ移行するのが唯一の解決策であり、このコロナ禍が「変わるチャンス」であることを教えてくれています。

ここを始点として日本人が、世界が、彼が言うところの「ラストチャンス」を活かして、資本主義とネオ社会主義の間に横たわる「深い溝に橋を架ける」アイディアを出し合い実行する出発点となることを私は望みますし、その一助になりたいと思います。このnoteで、このテーマ「人新世」「脱成長コミュニズム」「ネオ社会主義」を今後も取り上げていきます。

以上、明日を考えるヒントになれば幸いです。


ではでは

三河屋幾朗@mikawaya1960
 公共メンターhttps://menta.work/plan/954


参考:

お金の使い方を見直しましょう

「資本主義教」が行き過ぎて、地球が壊れ始めてしまった。人間の原点に立ち返って、お金という道具を見つめ直してきたのが、この「お金の使い方」三部作です。


Quora:コロナ禍で得する国は?

もはやコロナ禍前に戻すことは、人類には住めない惑星になること、つまり人類の大量自殺を促すようなものです。それは緩慢な死、つまり「茹でガエル」と同様で、気が付いたら死んでいた、という状態になります。それにいま、全世界は気が付きました。「自殺は止めなきゃ」と気が付いたのです。

サポートありがとうございます! 日々クリエイターの皆様に投げ銭しています サポート頂いたり、投稿購入いただいたお金は「全部」優れた記事やクリエイターさんに使わせていただきます