ものかきものがたり・7行め:「接近」
いつもと同じように、印刷工場でのアルバイトに出て。確か、季節は5月頃の週末。
夏と冬の繁忙期の端境で、大きな仕事は宗教のそれだけ。暇ではないが、余裕のある工場で。いつものように、倉庫から搬出した紙を積み上げ、宗教の事務所に納入する封筒を箱詰めしていた青年のもとに、
「菅沼くん、ちょっと配達を頼むよ。君は、初めてのところになるけど――」
印刷工場の受付をしていた社員に呼ばれた青年は、小口注文を配達するための窓口で……ひとつの、小ぶりな梱包と、手書きの地図を渡された。
「自転車で