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性別適合手術をしないと戸籍の性別を変更できないのは人権侵害なのか②

こんにちは。

昨日の「性別適合手術をしないと戸籍の性別を変更できないのは人権侵害なのか①」の続きです。

(「性別適合手術をしていないと戸籍の性別変更ができないことは人権侵害である」として、憲法違反にあたるかどうかの審議が9月27日に最高裁で行われることについて)

◆戸籍の性別変更が1番の目的ではない

そもそも性別違和を訴える人は、必ずしも戸籍の性別を変更したい人、というわけではありません。戸籍変更できなくても身体違和を解消したい人、
または手術を済ませていても、戸籍変更まではする必要がないと思っている人も少なくないです。

何よりも解消したいのは身体違和であり、戸籍の性別変更はその先にある大きな選択肢のひとつです。

戸籍の性別を変えると、生活におけるほとんどの手続きを変更していくことになります。自分の個人情報を登録してあるところの全てを変更します。
これって、引っ越しや結婚、離婚をした方なら分かると思いますが、思った以上にすごく手間ですよね。この手間が大変なので、離婚後も元配偶者の名字のままにしている人も結構いるくらいです。

さらに通常であれば、個人の生年月日と性別は一生変わることがないため、一度登録したものは固定されており、簡単には変更できないことになっているものが多いです。ここを変更するとなると手続きが混乱します。
その個人にとって固定された大事な情報であり、信頼につながるものだからです。なのでローンや保険などは特に、すんなりとは変更できないことが多いです。

自分の働いている職場や、関連する会社の人たちにもそれぞれに伝え、変更のお願いをしないといけません。なかなか言いづらいことですし、仕事のことを考えると戸籍は変更せずにそのままにする、という人も多いです。

また、当事者には誰かしらの家族や大切な人がいます。
自分の強い希望、切実な思いで体は性別移行をした。
でも、「産んでくれた両親のために」「これからも戸籍上も夫婦でいたいから妻(夫)のために」「ずっと戸籍上も自分の子どもの父親(母親)でいたいから」
といった、大切な人のために戸籍の性別変更はしないという選択をしている当事者もたくさんいます。これも自分の大事な人たちへの、ひとつの責任の果たし方だと思います。


◆戸籍の性別変更をすることへのリスクもゼロではない

そして、戸籍の性別を変えないことは、その当事者自身を守ることにもなる、という面もあります。
性別移行をしたけど戸籍の性別を変更していない人は、見た目の性別と戸籍の性別が逆です。なので病院や役所などの公的機関で、名前を呼ばれるたびに相手に説明をしないとならず、そこに煩わしさを感じる当事者も多いようです。

ですが、当事者が何か病気になって、その症状に合わせた科を受診する時には、例え戸籍の性別を変更していたとしても、元々の性別を医師に伝えないといけません。通常であっても大きな既往歴は医師に伝えないと診察に支障が出ますし、それが体の性別のつくり自体を変えているとなったら尚更です。大ごとなんです。

もし、この当事者が事故や急病に倒れ、かかったことのない病院に運ばれたとします。とても会話が出来る状態ではなかったとします。
緊急で処置にあたった医師や看護師は、その患者の元々の性別を知らないまま処置をすることになります。その時の病状が重いものであるほど、当事者の危険は増します。

まあ、これは可能性の話ではありますが、体の性別を変えること、さらに戸籍の性別も変えることは、こういった面での健康や命のリスクまでもある、ということですね。


◆最後に審議の話に戻ると

ところでこの審議、過去(2019年)にも一度行われたそうです。その時は「合憲」との決定だったそう。
これまでだったら「まさか通らないだろう」と思っていたような性同一性障害に関する裁判や審議が、今年に入ってからは実際に可決されてしまっています。

「憲法違反」となって誰が得をするのでしょうか。手術要件をなくしてしまった諸外国は、現在社会が大きく混乱しています。どうしてそこに学ばないのか。当事者たちの社会からの信頼も下がっていくだけです。

「憲法違反」にするべきではありません。


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