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【中東歴史・文化の本紹介その1】イスラームの「英雄」サラディン 十字軍と戦った男 佐藤次高/著

こんにちは、みかさのと申します。
ただ今12世紀の中東で活躍したサラディンという人物を中心としたイラストなどを描いていまして、その参考として読んだ本を自分語りなども含めて読書記録として紹介していきたいと思います。
第一回目にご紹介したいのはこちらです。

イスラームの「英雄」サラディン
十字軍と戦った男
佐藤次高/著
講談社 講談社学術文庫
出版年2011.11

日本語で書かれたサラディンを紹介する本といえばやはりこちらです。
サラディンの生い立ちからエジプトで権力を得てアイユーブ朝を開き、やがて聖地エルサレムをキリスト教徒である十字軍国家の長年の支配から奪還し、第三回十字軍としてやってきたイギリスのリチャード獅子心王を迎え撃つという、イスラームの「英雄」サラディンの生涯を余す所なくまとめてあります。

サラディンの側近だったカーディ(法官)・アル=ファーディルや、サラディンの伝記を書いたイマードウッディーン・アル=イスファハーニー、バハーウッディーン・イブン・シャッダードなどの紹介も詳細にされています。

サラディン治世下のエジプトやシリアの政治や都市開発、農業、当時のイスラム騎士が軍備を整えるために土地の徴税権を与えられるイクター制の紹介もあり、無名の軍人だったサラディンがいかに側近達と国を治めて軍を作り上げ、シリアや十字軍の勢力と渡り合ったかを知ることが出来ます。

現在でもこの本はサラディンや十字軍関連の本でよく参考書籍として挙げられていますね。

著者の佐藤次高先生は中東の歴史に関する本を他にも出されていますので、またご紹介したいと思います。


ここからは自分語りを含めた感想です。

私がサラディンを知ったのは高校時代に世界史の学習漫画を読んだ事がきっかけだったのですが、その頃にはもうこの本が出ていたので、サラディンの事を調べる足がかりとしても、世界史の授業のレポートで参考にさせてもらった記憶があります。改めてサラディンの事を勉強しなおすのにも大変重宝しています。

ところで私はサラディンの側近だとファーディルに落ちてしまったのですが、昔この本を読んだ時にはあまりピンと来ず、2023年の今になって小説「昼も夜も彷徨え」を原作にしたNHKラジオのオーディオドラマを聴くにあたり「そんな人物もいたなぁ」という認識だったのですが、オーディオドラマを聴いて落ちてしまった後に、早いうちにファーディルの可能性に気付いておれば…という後悔で改めて彼の事を調べまくってるのかもしれません。ファーディルを演じられた渡辺大輔さんの演技も素晴らしかったですね。
サラディンの人生を辿るにしても、この本は綿密に年代を追ってくれてるので、特に第三回十字軍と戦ってた頃の晩年のサラディンに思いを馳せてしまいます。

ここまで読んで下さってありがとうございました。

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