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【大人のための残酷童話】リリー&サリー①

昔、イギリス諸島に小さな小さな、ゲススタイン島という島がありました。

空は薄暗くどんよりとした空気が島中をおおっていました。胡乱な者達がときより、その島を訪れては子供を連れて戻ってくるという不穏な噂の絶えない島でした。

その島には小さな修道院がありました。聖ペドゴリオ修道院という名で、数人の修道女と身よりのない子供たちが自給自足しながら細々と暮らしていました。

修道院の暮らしは当番制でお料理係、掃除係、飼育係、畑で野菜や穀物を育てる農作業係に別れていました。子供たちが中心に担当していて修道女たちは子どもをこき使い、自分達は怠けてばかりでした。

中でもシスターマリアは修道院を牛耳っていて、修道院の仕事も子どもたちのお世話も何にもしませんでした。
シスターマリアは強欲で贅沢を好み、修道院への寄付金を独り占めにしていました。たまに秘密の取引で手に入れたお金を他の修道女たちに分け与えていました。修道女たちは他に行く場所もなかったため、シスターマリアに従うしかありませんでした。


憂鬱な雲が覆う、ある雨の日のことでした。そんな聖ペドゴリオ修道院の前にある2人の少女が立っていました。

2人ともボロボロのワンピースを着て悲しそうな顔をして立っていました。

「誰なの、あなたたち。家族はどこ?」

シスターイブリンが訝しげに尋ねます。

「あなた達、双子?」

2人はまるで双子のように同時に首を横にふりました。

すると、後ろからシスターマリアが顔を覗かせ、
「あなたたち、親はいないの?家族は?」と尋ねると

2人とも俯いてしまいました。

「陰険な子ども達ね。まあ、いいわ。ちょうど数人引き渡したところだったから、もっと子どもが必要よ。うちで面倒みましょう」
ため息まじりにシスターマリアが言いました。


すると、シスターイブリンは腕を組み、2人の子どもの顔を覗き込みながら言いました。

「ちゃんと言うこと聞きなさいよ!うちでは修道院のお手伝いができない子どもはいりませんからね」

シスターマリアは腰に手を当て、「2人とも名前は?」と見下ろしながら尋ねました。

「リリー」

「サリー」

2人はそれぞれ答えます。

修道女達の態度は、リリーとサリーに不安と絶望を与えるものでした。

こうして、リリーとサリーの修道院での生活とその後、数百年にわたって語り継がれる聖ペドゴリオ修道院の悪魔の惨劇が幕開けとなったのでした。

             〈つづく〉

※イラストはAIで生成されています。(物語はオリジナルです。)


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