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にじみと白・美を心に刻むために~久保田一竹美術館|MikaGoRock美加語録

シベリアの真っ赤な夕日、その美の極致をみながら、
自分は辻が花を完成しないまま死んでしまうのか。。。

久保田一竹氏


「美しいものを観なさい」「たくさん感動しなさい」

今まで出会った師達は皆、私にそう言います。

それは瞑想の師であれ、アートの師であれ、美しいものを見て感じて体と心に刻むことが何よりも大切であると。



先達に勧められて、河口湖にある久保田一竹美術館にいってきました。


一竹氏は失われた辻が花の技法を復活させた染色家です。色鮮やかな一竹辻が花の着物は、皆さん目にしたことがあると思います。

一竹氏は、戦後にシベリア抑留を体験します。
明日の命もわからぬ中、シベリアの巨大で真っ赤な、美しさの極致のような夕日をみながら、自分は辻が花を完成しないまま死ぬのかと残念に思ったそうです。

そして幸運にも帰国できた時、これからは何が何でも辻が花をやる、と決めたそうです。それから20年間苦労を重ね、とうとう60歳の時に一竹辻が花を完成します。


久保田一竹美術館より  左:シベリアの夕日をモチーフにした辻が花


これで完成した、と思わせたのは今まで見たことのない美しい「にじみ」だったそうです。


にじみ


グラデーションでもなく、中間色でもなく、にじんでいるのではなく、
にじみという色。


今までそんな風に滲んだ色を見たことがありませんでした。

 

美術館の中を何周もして、何度も何度も作品をみて、やっと色が見えてきました。



窓の外には紅葉が過ぎて、汚れたような枯れ葉色がありました。それさえも全体の中ではにじみという大切な色の要素として存在していたのでした。
にじみこそが他の色を支えている色でした。


そして、にじみは、音や空間、人の中にもあるのだと気が付きました。
そのにじみをあらゆるものの中に感じてみたい。。。


新しく開かれた眼で、さらに作品を見ていきました。
そうして、ある作品にくぎ付けになりました。


 

現在美術館では「大光響展」が開催されています。
それはには秋から冬にかけて30点の着物による一大風景です。


一竹辻が花はその艶やかな色で有名ですが、
この時に一番目を引いたのは、一面の雪景色、白一色の着物でした。


そう、白の絹糸だけを使った作品。

ところが、光に反射するバリエーションが最も多いのがその白でした。
何度見ても同じようには見えないのです。

 

光の元素の中で、白はすべての色を合わせた時にできる色です。
色がないのに全ての光のバリエーションがそこに在りました。
白こそがもっともカラフルな色だったのです。


 
何もないのに全てある




私はまだ世界を知らないという、喜ばしき無限の空間の前に立たされました。。。


 


色は情、形は理性。すべての色は「白」のためにある

辻が花染色家 小倉淳史氏


photo: ©mikarin




 

 

 

 

 

 

 
 
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