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外資の英語プレゼン協奏曲

外資で昇進するために必須のスキルに英語でのプレゼン力があります。同じ職場で仕事をしていない人達に、20分程度の英語でのプレゼンを元に「仕事ができる・できない」と評価されるのは理解し難いですが、そういう文化なので仕方ありません。

今日は日本の業績レビューのために、アジア・パシフィックの本部から四半期ごとにお偉いさんが来日した時の、リハーサル風景をお届けします。

アメリカ人社長は、頭脳明晰、体力・気力・出世欲・スピードともに人並み外れた、アメリカ人とは思えないほどの完璧主義でした。100点なのは当たり前、120点を目指すのが彼流なので、ついたあだ名は Mr. 120。

John(仮名)は、本部長10人を3つのグループに分けました。A) 英語力が足りないとわかっていたけれど、人間関係の難しい部署を任せた日本人部長。ここには2人が該当し、なんとJohn自らが、2人のためにTOEIC600点くらいの英語を駆使して、20分の原稿を作成し「これを丸暗記しろ、お前にはメリハリとかアイコンタクトとか追加のことは求めないから、とにかく全部覚えろ」と申し渡しました。原稿を見せてもらいましたが、これが凄い。ネイティブであれだけインテリの人が、英単語のレベルをTOEIC600点くらいにして書けるのには本当に感心しました。2人がすべきことは、ひたすら丸暗記することでした。

Group B) には、英語にもプレゼンにもそこそこ慣れている日本人部長が当てはまります。私はこのグループ所属でした。Johnがパワポをチェックしてくれた後は「振り付け」です。「ミッキー、そこまで来たら、この間社員に配布したリーフレットを拡大したものを、向かって右側の柱に貼って、そこにレーザーポインターを当てろ」「拡大って、B4ですか?」「バカ、座ってる観客からB4で見えるか。マーケティングに頼んで、ポスター大のものを至急作ってもらえ。」「予算は?」「いくらでもいい」

さてさて、レーザーポインターを柱に当てる練習です。「そんな、年寄りの魔法使いが杖振ってるようなことをするな。もっとドラマティックにやれ」「は、はい」3回ほど、ポインターを降り、これ以上やったらスターウォーズの世界突入の寸前でOKが出ました。私が、英語圏でのプレゼンはパフォーマンスだと思っているのは、Johnとの数々のやり取りから来ています。

グループ C) イギリス人とスコットランド人が当てはまりました。二人ともネイティブ・スピーカーなので「なんで俺たちに練習が必要なんだ」とブーブー言ってましたが、スコットランド人は訛りは置いといて、モグモグ話す癖があって必ずしもプレゼンは上手とは言えず、英語ができる=プレゼンが上手は真実ではないの典型例でした。

こうして個別演習が終わったら、通しでリハーサルです、一人20分で本部長は9人いたので、180分つまりは3時間の通し稽古です。誰がどこに座り、バトンタッチする時、どっちがどちら側から出て次のプレゼンターはどう舞台に上がるかまでみっちりお稽古です。

無事に通し稽古が終わり、やれやれと思ったら、「前の日にもう一度やるから、14:00に集まれ」との仰せです。えっ、もう一回全員でやるんですか? まぁ、社長の仰せなら仕方ありません。

こうして万端の準備をして迎える本番は、いつもそれは素晴らしい『舞台』でした。シンガポールのヘッドに、”Japan team is great. John is an excellent leader.”(日本チームは素晴らしい。ジョンは優れたリーダーだ」とか言われて、「単純だよね」と苦笑。まぁ、みんなの努力が報われたのは良かったですが。

3ヶ月に一度、これを繰り返すこと2年。ある四半期、外的要因でさすがのJohnも売り上げ目標を落とすという事態が発生しました。どうなったか? お目こぼしをもらいました。「日本はいつも非常によくやっている、たまにこういうことがあるのはしょうがない。但し、来期、このようなことがないように」で許されました。あーなるほどね、こういう時のために、「リハーサル狂想曲」は奏でる必要があるんだなと理解しました。

当時はついていくのが大変でしたが、Johnの部下だった時が一番たくさんのことを学び、仕事のクオリティにこだわる必要性も理解したような気がします。Nativeの本部長でさえ、英語でのプレゼンのリハーサルが必要なのに、英語は外国語の私たちがぶっつけ本番でいいわけはありません。次回、登壇する機会があったら念入りに準備してください。英語圏でプレゼンテーション力は必須のビジネス・スキルです。あなたの仕事のレベルを決められてしまいます。

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('O'*) 右脳の女王から おまけ('O'*)
大阪に出張した帰り、新幹線に乗りました。座席に座り、ふと車両の前方にある電光掲示板を見ると「次は神戸」と流れたのです。大阪と東京の間に神戸駅はありません。  隣の方に「この新幹線、どこ行きですか?」と超早口で尋ねたら、なんと「博多行き」だそうな。立ち上がってキャリーをひっつかみ、全速力で廊下を走って新幹線から降りた瞬間に、後ろでドアが閉まりました。間一髪。助かりました。どういうわけで、博多行きの新幹線に乗ったのか、いまだに謎が解けません。右脳の女王は今日も行く〜。


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鈴木 美加子(グローバル人材塾)
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