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2019 詩

17
ことばにこころをこめながら、手編みしていきます。
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ひかり

ひかり

  
  
 お芝居のように
 流れていく

 太陽のひかりに
 時間というなまえが
 つけられたのか

 過ぎてから
 ああだったこうだったと言う
 さなかには
 何もわからず
 いたというのに

 それなりに理由をつけて
 なだめたい
 人の解釈にも
 よりかかって
 安心したいのだ

 お芝居のように
 流れていく
 
 あなたというひかりが
 なまえや年齢という枠に
 おさまるのか

 輪

もっとみる
どこにいても

どこにいても

  

 あの日のあなたを
 だきしめます

 あなたに
 見えないわたしの

 手のぬくもり
 頬のやわらかさが
 届くといい

 今のあなたを
 だきしめます

 背中から
 肩から
 そっと手を回します

 思い出してください
 あなたを決して
 ひとりにしません

 見えないわたしの
 手のぬくもり

 あなたが
 どこにいても
 だきしめてキスをします
 
 

 
 
 
 

ことばにする

ことばにする

 

どうせ
言っても
わかってもらえないから


言うのをやめてしまう

笑ってごまかして
さよなら
連絡もつかなくなる

ひびかなくても
遠く思えても
ノックしてみよう
ことばにしてみよう

ふるえながら
伝えたことで花丸
ことばにできたね
もやもやが減ったね

伝えることが花丸
色んな伝え方あるけれど

ルールが違う場所
雰囲気の違うひと

小さなきっかけで
笑い合えることも
あるから

もっとみる
あのね

あのね

 

あのね
こんなことがあったよ
色んなことを思った
あのことを思い出した

最近はどんな映画をみた?
どんな音楽きいているの?

こころが動いたことは何?
気になるのはどんなこと?

あの事件は、
日本のこと、
世界のことは、
どう思う?

これからしたいことは何?
行きたい場所はどこ?
どんなことを
イメージする?

 

 
 

no title

no title

たくさんあいされて

いろんなところへいったね

たくさんあいされて

ここまできて

いま ここにいるのね

空も かぜも

ほんとうにあなたをあいします

たくさんあいされて

うんとしあわせに

おなりなさい

 




 
 

おひさま

おひさま

 

いらない子だと思ってた?

映画みたいに
抱きしめてもらえないって

目が覚めても
何もいいことないよって

ずっと眠っていたいと思ってた?

 

逃れられない
大きいおひさまが
呼んでる

どんな小さなことで
笑ってもいいよ

どんな小さなことで
満足してもいい

お出かけして
すぐ帰ってきてもいい

ひっそりと
ちっぽけでもいい

この子を引き受けて
大切に大切にして

とき

とき

   

 出逢いがないと
 つぶやいていた子が
 乳母車を押して
 会いにくるほどの

 出戻った
 あの子の
 持ち帰った家電が
 いつしか壊れるほどの

 時がたった
 あのときも
 ひとときも
 止められない
 自動再生の

 色のない
 透明な時が

  今も
  音もなく
   私たちを包みながら

 

 

おみやげ

おみやげ

 

あなたを驚かせる
きらきらした話は
ポケットの穴から
こぼれ落ちた

あなたをひきつけられる
ものはないし
点と点をつなぐような
話しかないけど

手ぶらで会いにいくよ

お土産は
今ここにいること

過去と今を祝福しながら
あなたのとなりを歩くこと
耳をかたむけること
また会おうね
元気でねと手を振ること

 
 
 
  
 
 

雨のち晴れ

雨のち晴れ

泣いて笑う
きみのよう

窓をたたいて
大泣きしたことも
すぐに忘れてしまうんだ

 きみのなみだは
  町をあらったよ

 きみのなみだは
  緑をたいそううるおした

  無駄じゃなかったよ
  ありがとうね

  
 

 
 

消息

消息

 

 あなたの消息を聞いて

 ほほえんでいる人がいるよ

 元気でよかった

 しあわせならうれしい

 生きていてくれてよかった

 どこかで生きていて欲しいと

 願っている人がいるよ

  会えなくても

  会わなくても

  

 
 
 

ことばをこえて

ことばをこえて

 うまく話せないよ
 うまく説明できないよ

 何があったか
 言葉にするなんて無理さ

 絵の具でくるくる描いてみせるよ

 ゆらゆらゆらゆら踊ってみせるよ

 ギターをぽろぽろ弾いてみせるよ

 だからどうか
 
 どうにもこうにも
 なめらかに話せないよ

 並べたことばの
 さみしさに
 ぼくが
 打ち負かされるよ

    
 

 
 

 
 

沈丁花のころ

沈丁花のころ

  

 もも色の空に
 もも色の風が
 吹くような日

 風に
 花の香りが
 混じっている

 たっぷりと
 梅の木が
 話しかけてくる日

 冷たい夜風に
 胸の奥がツンとする
 満開の沈丁花

 降ってくる
 思い出に
 負けないで
 歩いて帰ろう

  
  
 

 
 
 

 

はるがくるよ

はるがくるよ

 
 
 はるがくるよ
 
 何もかもを巻き上げながら
 あたり一面吹き飛ばしながら

 はるがくるよ
 
 重いコートを飛ばしてしまう
 映画のワンシーンみたいに
 明日は服が舞うでしょう
 
 はるがくるよ

 きみの涙を乾かしてしまう
 鼻水も嗚咽もひかりのなか

 ねえきみ
 はるが くるよ