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ことば

ここ5~6年で国内を旅する機会が多くなった。宿泊先のホテルでもぎりぎりまで原稿を書いていることが多いので、それほど観光はしない。それでも、知らない土地で過ごす時間は刺激的だ。見知らぬ土地のホテルでごろごろとしているだけでも私には楽しい。

さて、数年前に「花筏」という言葉を、SNSで知った。どうしても直接見たくて、その日に弘前へと向かった。落ちたはなびらが堀に浮かぶ様はうつくしくて虜になった。それ以来、時期になると、毎年足を運んでいる。

この様子自体も素晴らしいが「花筏」という名称もまた素晴らしい。とてもきれいな言葉だと思う。

日本語は、綺麗だ。さらに、ひとつのものに様々な別称がある。子供時代はそんな「日本語」を知るのが好きだった。何もすることがない暇な時間には、よく辞書を読んで過ごしたものだ。

新しい風景や、新しい言葉を知るのはとても楽しくて刺激的だ。

家でも、旅先でも、私は大抵何かを書いていることが多い。目に映るものを取り込んで自分の言葉でアウトプットする。その単純作業が楽しい。"自分が見たうつくしいものを、私が知る日本語を使ってどう表現するのか”。それはとても難しくて楽しい作業だ。

しかし実際のところ、うつくしい風景はどこにでもある。

例えば、これは家から遠くない場所にある川。時期になると白鳥が訪れる。白鳥は騒がしいが、その動きは実に優雅で、見惚れる。旅もいいが、こんな日常風景もいい。どんなものも、取り込んではアウトプットしたくなる。

言葉は、写真ほど鮮明に風景を描き出すことはできない。しかし時には、写真に見える以上のことを伝えることもできる。難しいなあと思いながらも、毎日、言葉を紡ぎだしている。

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