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創作文

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2019年7月の記事一覧

尖った芯

尖った芯

先がつん、と尖っていた鉛筆の芯は、絵を描くごとにどんどん丸くなっていく。カッターナイフでまた削り、尖らせて、また描き始める。
しばらく描いていれば、また丸くなる。さあまた鉛筆を削らねば。と、その繰り返しで白紙を埋めていく。すこし余白を持たせると雰囲気が出る。
歌を作るのもたぶんそれと同じようなことだと思った。

わたしは「幸せは途切れていく」と、「ゆうやみ」という歌の歌詞に書いた。
その曲はまだ製

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無題

この雪が融ける頃には
すべて忘れて
生きているのだろう

あてにならない
そんな言葉はいらない
僕は手紙を書いて
そして君とまた出会うのだろう

君の涙を
ここで拭ったことも
きっと忘れてしまうから
この雪が解ける頃にはこの雪が融ける頃には
すべて忘れて
生きているのだろう

グッドバイ

グッドバイ

例えようのない孤独
行き場のない思い出すらも
きみは包み込むよう
抱きしめてくれる

この心が
暗く、落ち込んでしまって
いつか泣いてしまったなら
きみはきっと優しく微笑むだろう

傷つけすぎたこの手が
あたりまえのような暖かさを知っていたのなら
僕はあなたを抱きしめてあげられただろうか

春の風に憩わせるように
きみはそっと笑う
「ひとりじゃない」って
幸せに、なってもいいかな
ぼろ

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ブロンドに寄り添って

彼は生きていくという生ぬるい地獄を知っていたから
自分の痛みにはとことん強くって
でも愛する者の痛みには、本人よりも敏感に感じてしまう。
よって、誰かを愛するということが1番の痛みであり、弱点にもなった。

彼が地獄の中で得た愛はどれほど暖かかったのだろうか。
どれほど幸せなものだったのだろう

安らかに眠る彼は静かに微笑んでいた。
きっとそれが答えに違いない。

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