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夜空の下、育休は休みと一度でも考えた幸せな脳みそをぶち飛ばした話

毎日氷点下だった夜がふと気づいたら暖かくて、道路の電光掲示板を見たら4度だった。暖かいわけだーーーーーーーー(※今回もエモめでお送りしてます)


出産して7ヶ月が経った。私はこの日初めて夜に一人で外をふらついた。何でもない日だった。旦那が外出して両親と娘と半日を過ごし、あっという間に夜を迎えた頃にはすでに無気力だった。この1ヶ月くらい、私はずっと無気力で生活している。
毎日必要なことを考えるので精一杯だった。新しい車を買って、2ヶ月後には引っ越し、旦那は2週間不在にし、その間はずっとワンオペ。赤ちゃんをお世話するだけで人間らしい生活から遠ざかっている、そんな感覚。

私は考えることから逃げたいのだ。「お前はどうしたい」で有名な弊社で仕事をした2年間、私はずっと「お前はどうしたい」に答えられなかった。毎日が消化する日々。考えるより先に機械的に仕事を消化していく。どうしたいと聞かれたら「休みたい」が先に出てくるような、そんな生活。実際には今も近い思いを抱いている、と夜道を散歩しながら気づいた。

夜道は、おもしろかった。

一人で夜道を歩くとたくさんの発見があって、脳みそがフル回転した。


空を見上げると、北斗七星が見えた。東京より明かりが少ない東北の田舎は、星がくっきりと見えて、とても美しかった。旦那さんと長野に旅行で泊まった山奥のコテージでたくさんの流れ星を見たことを思い出す。さらに、星が好きで高校の理科選択で地学を選択したことも。

冷たい風が吹くと、ワンオペで洗えなかったパサついた髪の毛が、中途半端に濡れたところだけ冷たくなっていたのを感じた。一人で夜道を歩くのは、産休に入る前以来、1年弱ぶりだった。

産休前まで、毎日激務をこなし、夜は誰かと居酒屋でご飯を済ませて帰っていた。妊婦だった締め日には同僚と上司とオールでカラオケに行き、次の日は午前中までどうでもいい話をしながら「これからはこんなふうに誰かとオールしたり、夜遅くまで外に出たりできなくなる」と心で呟きながら、最後かと思いながら楽しんだ。

全部、私にとっては無駄なことだった。ぜーんぶ、やりたいことだけやってたら、必要なかったことだった。

なのに、たくさん、思い出した。


長野の山奥で、夜のものすごく寒い深夜を回った時間にわざわざ外に出るのを当然のように嫌だと言ったのに、旦那に無理やり連れて行かれたら、信じられないくらい美しかった星たちに心を打たれた。

毎日仕事が残っているのに、22時を超えて一旦帰るかと残っていた同僚や後輩や上司とみんなで飲みに行き結局その日の仕事が終わらないループを繰り返しているのは、目に見えて効率が悪かった。
なのに、最後の最後まで一緒に仕事をした彼らの歌を聴きながら涙が出てきた。堅苦しくて熱くてできない私のことも最後まで見放さない上司の歌を聴きながら泣けてきた。

あの日ほど、無意味で次の日に支障が出るような時間はない。
けれど、あの日のことを、色濃く思い出してしっかり胸の中に刻んでおきたいと、強く思った。


「必要のない」ものを捨てすぎた


私は今、辛い。育休を1年とって育児には慣れたけれど、完全に赤ちゃんリズムに合わせて自分の時間の一切を捨てるのが、しんどい。体力もない、夜中に1度は起きて授乳するのもきつい。おかげで朝は寝不足で、赤ちゃんの泣き声で目覚めも最悪。完全に負のループだ。
そのはずなのに、育休中は「1日何もしていない」気持ちで終わってしまうような日を過ごしすぎた。私今日、補完食食べさせて、散歩行って、おむつ変えて昼寝させてお風呂入れて寝かしつけた、それだけ、だなんて思っていた。それだけなのに、毎日辛くて寝不足でしんどい、なんで、と。

当たり前だバーロー、赤子の命守ってさらに育ててんだぞ。私、育児舐めてたし、自分のやってることに懐疑的だった。けれど、今は誇りすらある。

私は知っている。夜中に一人で散歩に行く楽しさを。夜に居酒屋に行って知らねー人とどうでもいい話をして過ごすくだらなさを。

そして、自分の「必要のない」と思ってるものの中に、私にとっての「必要なもの」はあるんだってこと。
育休は休みじゃない。普通に激務。しんどいことの繰り返し、心身ともに苦しいの連続。でも子供が圧倒的に可愛い。寝れない、他のことを考えられない、辛い、は当然だ。寝れてないから。無になって機械的にやって当然だ、激務なんだもの。

まずは私は自分を楽にしてあげるところから始めたい。


1日フルタイム(24時間労働、休憩なし、睡眠時間6時間です、給料はなしです)で働いたように生きてみて、死にそうだから楽に生きようと思う


これが私の結論だ。
世の中の育児に関わる諸君、これが育児だ。これが子育てだ。みんな尊厳持って生きような

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