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「サイダーのように言葉が湧き上がる」

「気持ちを伝える勇気がない」「実行する勇気がない」「これが本心だと認めたくない」そういう気持ちが混ざってくると、自分の本音がわからなくなってしまうことがある。

浮かんでくる感情や意志に言葉をあてはめる時に、そうしたその場しのぎの気持ちに惑わされてしまうと「本音の顔をした建前」が生まれてしまうのだろう。

そうなれば言葉にならなかった本心は、形のないまま底に沈んでしまうのかもしれない。

でも一度沈んだ本音が後々、不意に底から湧き上がってくる瞬間がある。時間が経ってからあふれてきて、そこでやっと気がつくなんてこともある。

そうして湧き上がってきた気持ちには、今度こそ正しい言葉をあてがって認めてあげたい。そしてこれからはできるだけ間違えずに、素直に浮かびあがる気持ちや言葉をちゃんと認めながら生きていきたい。

今日観てきた「サイダーのように言葉が湧き上がる」。20代後半になってやっと自分の中に居座る建前に気がつき、そう気持ちを改め始めた私を肯定してくれるような映画だった。

それから、この映画のメインテーマである俳句。
俳句はすごい。少ない言葉数の中で、風情も、情景も、感情も、情熱も、ポップな人懐っこさも表現することができる。

いつも自分が綴っている文章に比べればはるかに涼しげで、でもちゃんと大事なことが詰まっているその表現がとても新鮮な世界だった。

最後のシーンは気がつけば涙が溢れていたけれど、エンドロールで流れるネバヤンの楽曲が、優しく包んでくれた。

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