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高砂と海原

高砂「お前ってさ、いつも突然だよな。」

海原「え、そう?」

高砂「いやそうだろ。年収8万キャップのホワイト企業を急に辞めるって。どうしたんだよ。」

海原「いやホワイトじゃないって。仕事が全然面白くなくってさ。これを定年まで続けて安定した老後、なんて嫌なんだよ。だから、面白いことをやろうって。」

高砂「まあそれもわかるけどなあ。でも、時間があるってのは羨ましいかも。」

海原「自由を謳歌してるなう。」

高砂「うるさ。」

海原「じゃあさ、もし時間が自由にあったとして、急に1万キャップもらえるとしたらどうする?」

高砂「あーー、そうだなあ。まあ増やすかな。」

海原「増やす?」

高砂「競鮫だよ。」

海原「お前いっつも負けてるじゃんか。」

高砂「うるせえな。じゃあ、お前はどうする?」

海原「俺はキャップ風呂だな。」

高砂「足りねえだろ。」

海原「ハハ。でさ、友達のタコに同じ質問をした時にさ、そいつ『日本一周する』って答えたんだよ。」

高砂「え、それも足りなくね?」

海原「そう思うよな。で、気になって試算してみたんだよ。」

高砂「お前って変なとこ真面目だよな。」

海原「一周するのにざっくり60日かかるとすると、周遊クジラきっぷ12枚分。で、1枚120キャップだから、1440キャップ。」

高砂「特急マグロだともっとかかるよな。」

海原「そうだね。だし、せっかく日本一周するなら鈍行で行きたいじゃん。」

高砂「まあな。」

海原「で、現地でカニとかに乗るから、交通費でざっくり2500キャップくらいかかる。」

高砂「意外と少ないな。」

海原「だろ。食費に月500キャップだとしても合計3500キャップ。1万キャップでも全然旅行できちゃうんだよね。」

高砂「…心配してたけど、お前って意外と計画性あるんだな。」

海原「バカにしてる?」

高砂「いやいや、そんなことないって。でも、2ヶ月の休みさえあれば俺でもできそうだな。」

海原「俺たちがイワシとかならもっと短い期間でできるんだけどな。」

高砂「俺たちヒトデだからなあ。」

海原「な。」



海原「でさ、1個お願いがあるんだけど。」

高砂「ん?」

海原「1500キャップ貸してくれない?」

高砂「……お前、貯金は?」

海原「2000キャップ」

高砂「お前やっぱり計画性無いわ。」



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