見出し画像

海の向こうに父を見る

バイト先のカフェで一緒に働いている大学生にこんな質問をして回ったことがある

「今年、海水浴行った?」

答えはみんなNOだった。海は入ると怖そうだし、プールの方がインスタ映えするから良いみたい。

私は海に入ることが大好きだ。

小さい頃から毎年、東京から車に乗り、家族で海水浴に行っていた。両親が海を好きだったからだと思う。父は海に行くたびに沖にあるブイまで泳いでいた。小さくなる父の姿を見ながら、小さかった私はよく泣いていた。父親が心配だからじゃない。ここからどうやって帰ったらいいか心配だったからだ。いまだに、母親は笑いながら今でもたまにその話をする。

そんな環境で育った私は、今の夫と付き合ってからも毎年のように海へ行く。

画像1

静岡の伊豆にある吉佐美大浜は、海外のビーチに似ていることから、海外の旅行雑誌に取り上げられることが多い。なので、外国人のファミリーやカップルもよく来るアットホームなビーチだ。雰囲気が良くて、沖縄に負けないくらい海もキレイ!誰にも教えたくないくらいおすすめのビーチだ。(今こうして書いてしまっているけど)小さい時から海は伊豆と決まっている。

とはいえ、海には不自由なこともたくさんある。潮風で髪の毛はバリバリになるし、日焼けもしちゃうし、砂があちこちについてくる。でも、それを上回る魅力があるのだ。

海へ行くと、さっそく遊ぶ息子たちの様子を見守っているが、午後は息子たちを夫に任せ海に入る。メイクも気にせず泳ぎ、ボディーボードを持って沖へ出て波を待つ。この瞬間が私にとってマインドフルネスな時間なのだ。ヨガや瞑想などいろいろやってみたが、この瞬間に勝るものはない。ボードに寝そべると、海の音と自分の呼吸の音だけが聞こえる。広大な海にいるちっぽけな自分自身に悩みなんてどうでも良くなってくるのだ。海は私を浄化してくれる場所だ。

特に夕方の海は暑くもなく、心地いい風が吹いて太陽もちょっとオレンジ色になり、なんともいえない雰囲気になる。この時間が大好きだ。我が家は朝から日が暮れるまで海で遊んでいるが、あまり海に行くことがない人も夕方の海の心地よさにふれてみて欲しいと思う。

画像2

息子たちは少し怖がりな性格で、小さい頃は2人とも大きな波に泣いていた。

今では、長男は足が届かないところへもシュノーケルをしにスイスイ泳ぎ、波乗りも楽しんでいる。次男も去年ボディーボードデビューした。

小さい頃やっていたことはひとつ。大人が楽しんでいる姿を見せることだ。見せるために楽しんでいたのではない。今もだが、親の方が楽しんでいる自信がある笑 

そう思うと、父がブイまで泳いでいたことと、大人になった私が海で楽しんでいることが重なり笑ってしまった。父も小さい頃に海を泳ぎながら楽しんでいたのだろうな。その姿を泣きながら見ていた私も、大人になり父と同じことをやっていた。

息子たちには経験や自分の感じたことでいろいろなことを学んでほしいと思っている。自分の人生だから主体的であってほしい。


日が暮れるまで遊び、心地いい疲労感の中、家に帰る。車中に少し連れて帰ってきてしまった砂浜の砂を見て、また海が恋しくなり、父が沖へ泳ぐ姿を思い出す。


この記事が参加している募集

振り返りnote

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?