暗闇を覗きにいく
先日、返済を続けている奨学金が、残高不足で引き落とされなかったという通知が届いた。
机の上に置かれたハガキに目を落とすと、不協和音がどこからともなく鳴り響き、心に暗雲が立ち込める。
心地よさとは似ても似つかぬ、胸のざわつき。
これは急に起きた発作のような体験ではなく、請求書やカードの利用通知など、この手の書類をあまり見たい気分にならない自分は、以前から存在した。
モヤモヤは、人生好転のサイン
春分を前にして、心の断捨離が進むこの時期に、良い機会だと捉え暗闇を覗きに行ってみようという気分になる。
通知はただの紙切れやメールなのに、私はそれらに余計な感情を付着させ、お金との関係をこじらせている
自分の中に、世にいうお金のブロックというものがあることを感じた。
奨学金は、本来ポジティブなものだったはず。
経済的援助によって、今まで開くことのなかった未来への扉が開き、「あなたも良かったらこちらへどうぞ」と、希望溢れる未来へと招き入れてくれるのだから。
都会に移り住み、初めての一人暮らしをしながら行きたかった大学に通い、憧れていたアメリカ留学が、現実へと形を変えた。
日々増えていく知識と経験の追い風を受けて、新しい価値観が形成され、端が見えないほどに視野も広がった。
そして、今でも将来を熱く語り合える友人に出会い、彼らと無数の思い出を重ねることができた。
これらは、どんな天然石よりもまばゆく光る宝物だ。
閉じていた未来への扉を開き、向こう側の景色を見せてくれた奨学金。
私を陰で支えてくれたにも関わらず、そこには輝きより暗闇が反映されていた。
鳴り止みません、向き合うまでは。
紙切れに意識を戻すと、心の中の不協和音は、いまや何処かの国のストライキにも負けないくらい勢いづいて、要らない価値観を手放す時を告げていた。
重い扉を開け、暗がりの奥に見つけたもの。
それは、
我慢し続け欠乏感を抱えた自分と、それゆえに堆積した怒り
だった。
私は、決して裕福とは言えない母子家庭で育った。
他の子たちより制限が多く課せられていた気がする生活はそれだけで、欠乏感を抱くにはぴったりの環境だった。
加えて私は察しが良く、ほしいものをなんでも口にする子ではなかった。
これを言ったら、親を困らせるかな、怒られるかな
きっと言っても却下だろうな
黙っていた方が、波風が立たなくて良いよな
いい子たるもの、自己の欲求は訴えず、相手の期待に応えよ
そんな風に勝手に決め込んで、自分の望みの大半を言葉にさえせず、自分の中に押し込めていった。
ほしいものはあっても、主張は控える。
そんな状態が続くと、無色透明な私の望みも、我慢という不健康な色に変化していった。
そして、我慢は溜まると、怒りに変わることが出来るらしい。
なんで親の事情で、私はこんな思いをしなければいけないんだと、親を攻撃対象に定め、怒りの不発砲弾は心の奥に山積みになっていった。
親に叶えてほしいことがたくさんあった(けれどしてもらえなかった)
この我慢を溜めて生まれた欠乏感と、それが肥大化した
なんでもっと与えてくれなかったのという怒り
これらが反応し、無実の奨学金返済通知を見て、勝手にモヤモヤした。
心の中に高く聳えたつ、怒りの山。
こんなに我慢してきたのに、
どうして大人になった今も、自分が頑張らなければいけないのか。
家庭が裕福だったら、両親が揃っていたら、
こんな思いをしなくても良かったのではないか。
親が果たす「べき」役割を自分が担わ「されて」いて、これもまた我慢につながっていたと主張してやまない私の中のわたしの不満が、無意識下で煮えかえっていた。
私は「親」という存在に、何を期待していたのだろう。
これからはもっと、自分の声に耳を傾けよう
自分の「ほしい、したい」という感情に寄り添おう
お金に対する感情も、ワクワクするものに書き換えよう
新たな気づきを得て、未来への軌道が修正される。
不協和音は鳴り止み、心も穏やかさを取り戻す。
この経験があったからこそ、
これから訪れる幸せを、人一倍敏感に感じることが出来るはず
明るい未来に目を向けると、親を始め、幼き悲劇のヒロインのために環境を整えてくれた全てのご縁に、感謝の念が湧いてくる。
人生という舞台の演出は、いつも見事だ。
こうしてまた、私は暗闇の奥底に置き去りにしていた私を迎えに行くことが出来た。
あなたの場合、
お金にはどんな感情や記憶が、反映されているだろう
お金のことで、モヤモヤする瞬間はどんな時だろうか
そんな疑問を携え、日々の生活や自分自身を観察していくと、お金のブロックを解くヒントが得られるように思う。
そして、考えるきっかけに出会ったら思いつくままに、モヤモヤの因を書き出してみてほしい。
書き出した中にきっと、癒やされるべきあなたを見出すはずだ。
実際私も書きだした言葉の中に、過去の私が作り出した不要なブロックを発見した。
(今noteを執筆出来ているのは、その殴り書きのおかげでもある。)
暗闇を覗いたあとは、理想の未来に想いを馳せてみてほしい。
私の場合、過去の自分が癒やされたら、我慢と怒りを反映していたお金には、自己実現を支援してくれ、豊かさを運んできてくれる存在という新しい価値観が反映され始めている。
奨学金も無事、本来の意味を取り戻した。
お金を支払うときには、前より感謝の気持ちが湧くようになり、また循環した後に増えて帰ってくるから大丈夫という変な確信とともに、温かい気持ちで送り出せる回数も増えた。
全てが整ったわけではないけれど、心はとても晴れやかだ。
意識が変われば、現実が変わる
私は今、これを体感する段階にいるように思う。
あなたにとって、お金とはなんだろう
お金が叶えてくれる、嬉しいことは何だろうか
そこに本来、プラスもマイナスもないのだとしたら、どんなポジティブな意味を持たせたいだろう
そんな問いに答えていくと、お金の新しい価値観が見えてくるかもしれない。
軌道(周波数)を修正したら、人生の舵を取っているのは自分だという誇りを胸に、あとは流れに身を任せたら良い。
ふと顔を上げると、私たち一人ひとりにとって正解と呼べる、心地良い場所に辿り着いていることに気づくだろう。
人生は自分で創造していける
答えはいつも自分の中にある
お金もまた、そう教えてくれたように思う。
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